ダニエル・ラドクリフ(23歳)は落ち着いた青年だ。10代を映画界最大のヒットシリーズの主演を務めるという日常とは程遠い生活に費やしたのにも関わらず、ほとんど何の問題も起こさなかったというのはもはや偉業といえよう。


だが彼は一体、どうやってそうすることができたのだろうか? 今回はダニエルに1時間のインタビューを行ない、ハリー・ポッターとして過ごした日々を振り返ってもらった。

ハリー・ポッターを演じたことについて
僕がこの先に得るチャンスの99%は、10歳のときに得たハリー・ポッターという役のおかげだと思うよ。今でも、男の子にとって撮影現場ほど面白い場所はないと思ってる。遊び道具や登れる場所が沢山あって、本当に楽しかった。ただ当時は日常だったから、自分の置かれた状況に感謝するのは難しかったね。そこで何週間も時間を費やす人がいて、ポスターが貼られて、映画が公開されるというのは大変なことなんだ。

10代を振り返って
10代の自分は「どうして僕は、他の友人みたいに出歩けないんだろう。なんでクラブへ遊びに行ったりできないんだ?」と思っていた。でも、今こうしてクラブに行けるようになって、あまり好きじゃないことがわかったから、当時行けなかったのは逆に良かった。当時は友人が「今日あそこに行くけど、どう?」って言ってくれても、僕は「明日朝の5時半起きだから無理だ」って感じだったんだ。

10代の世界っていうのは、ちょっと見逃したらストーリーが分からなくなる連続ドラマみたいなものだと思う。撮影で1年近く友人たちから離れると、皆、その間にすごく変化するものだから、元の関係には戻れない。だから同世代の人達とは距離を感じてしまった。でも現場で僕より年上の人達と仲良く出来たから良かった。

というのは、10代っていうのは今抱えている問題を世界一大きな問題みたいに考える時期なんだけど、僕は現場でそういう時期を既に終えた大人に囲まれていて、「大丈夫だよ。1年も経てばあの女の子のことなんて忘れちゃうよ」とか、「友人とケンカしても大した問題じゃない」と言ってもらえたからさ。

若くしてスターダムにのし上がったことについて
自然にそうなったわけじゃない。感謝の気持ちと努力から得るものだよ。それは幼い頃ころから分かっていた。僕がハリー・ポッター以外で成功して、この先のキャリアをしっかりと積むことができれば、次の子役たちはこういう質問をされずに済むようになると思う。なぜなら、世界最大のヒットシリーズに出演した僕やエマ(・ワトソン)、ルパート(・グリント)がそれを証明できれば、周りはもう何も言わなくなると思うからね。"僕らは『ハリー・ポッター』を超えることができない"と思っている人たちが間違っていると僕は証明したい。僕は既に『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』や、舞台『エクウス』に出演したけれど、これは長い道のりの第一歩に過ぎないんだ。『ハリー・ポッター』後について
「『ハリー・ポッター』が終わっても休まないのかい?」と聞かれたことがあったけど、僕はそんな余裕はないんだって答えたよ。『ハリー・ポッター』を終えた次に僕らがどうするかを映画界がチェックしているから、活動しないわけにはいかない。失敗したときの恐怖を考えると。落ち着かなくなってしまうんだ。

スターになることについて
誰かに会ったとき、その人が僕のことをよく知っているかのように接してくるのはすごく奇妙だ。皆は僕らが全員クールだっていうイメージを持っているんだけど、僕は違うからね。僕はクリケットオタクだしさ。でも僕はそういう自分に満足しているよ。僕は皆の期待に応えられるような人間じゃないけど、それでいいと思っているんだ。でも昔、自分のヒーローだった人物に会ったときに本当にがっかりした経験があるから、皆もそんな気持ちになっているんじゃないかなと思ってしまう自分もいるね。