旭山動物園・レッサーパンダの食事風景/(C)旭川市旭山動物園

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ヒョウやカバ、鳥類や小動物など、さまざまな動物を飼育している旭山動物園。肉食、草食、雑食など動物により食べるものは違うわけで、食事もバリエーションに富んだものになります。そんな動物たちの食事を一手に担っているのが、飼料担当スタッフ。なんとたった一人で飼料の管理をされているというので驚きです!

旭山動物園内にある調理棟。エサの保管・調理が行われる場所/(C)旭川市旭山動物園

とはいえ、一人ですべての動物のエサを切ったり、与えたりしているわけではありません。飼料スタッフのおもな仕事は、肉や魚、野菜や果物、固形飼料(ペレット)などエサの在庫管理と発注。エサの保管・用意を行う「調理棟」には動物たちの1日の使用料が書かれたホワイトボード(飼料表)があり、それを見ながらエサの注文をしています。

各獣舎の飼育スタッフは、この飼料表の分量通りに各自エサを運んで行くのですが、唯一飼料スタッフが切り分けまで行うのが「もうじゅう館」の動物のエサ。この館だけ個体別にエサの量が決まっているため、切り分けた肉や魚を、「リヒト」「キリル」など名前の書かれたバケツに必要量ずつ入れ、それを飼育スタッフが獣舎に持っていく、という流れ。

ちなみに「もうじゅう館」にいるネコ科の猛獣は、「丸トリ(内臓が入ったままの丸鶏)」、「肉(赤身)」、「ヒナ肉(ヒヨコ)」、「骨(その日によって部位は異なる)」、個体によっては「レバー(豚)」も食べているそうですよ。

「もうじゅう館」にはエゾヒグマのとんこもいますが、肉はほとんど食べないそう。なんとなーく肉食のイメージがあるエゾヒグマですが、実は雑食性。旭山動物園ではニンジン、白菜、カンショ(サツマイモ)、リンゴ、ホッケを与えています。

この調理棟からちょっとだけ離れた場所にあるのが乾草庫。ここには、草食動物に与える「乾草(干し草)」が置かれています。

この「乾草」、カバの百吉(オス)が1日に食べる量は15kg。夏期は「青草」を与えているそうですが、「青草」の場合は1日45kgも食べるのだそう! 「乾草」と「青草」で30kgの違いがあるのは、含まれる水分量の差。

「青草」には水分が多く含まれていますが、「乾草」には水分が少なく、別に水を与えることで「青草」と同じ量になるよう調整しているそう。

さて、ほかの動物たちはどんなものを食べているんでしょう? 北海道産動物舎にいるオオワシのエサは、ヒヨコと少しの肉(赤身)、それにホッケ。

ほか、猛禽類には肉や魚を与えていて、タイミングがあえば食事風景にも出会えるかも知れませんよ。

また、特にエサの種類が多いのがチンパンジー。毎日食べている野菜・果物は約15種類あって、群れ別にエサの分量が書かれているのも特徴的(旭山動物園にはキーボとピースケ、2つの群れがあります)。

群れ全体にどさっと与えてしまうと強い個体が独り占めしてしまうので、個体別に与えるものも。チーズやヤクルト(乳酸菌飲料)もそのひとつ。そう、ヤクルトを飲んでいるんです!

それぞれの健康状態、年齢に合わせて栄養を考えた飼料も与えているんですね。ちなみに風邪予防にネギを食べることもあるのだとか。ちょっと親近感が湧きますねぇ。

おもな食事風景は「もぐもぐタイム」で見られますが、チンパンジーの放飼場には葉物のエサが蒔かれているので、「もぐもぐタイム」以外でも食べる姿を見られるかも。また、普段は入ることのできない調理棟も、年に数回開催される裏側探検イベント「とことん旭山」で入ることができますよ! 気になる方は、旭山動物園まで問合せを。

※写真提供:旭川市旭山動物園

【北海道ウォーカー/出村聖子】(北海道ウォーカー)