今回はアメリカの大手広告業界誌<AdWeek>によって選ばれた、2012年CM年間ベスト10を紹介しよう。選出された10本について何の異論もないが、あえていうならば、10位と8位がそれぞれ1位、2位となってしかるべき秀逸なクリエイティブ作品となっている。



今年の傾向としてはコメディ要素が弱まり、インスピレーションを与えるような作品が増えたが、これはオリンピック年だったということも関係しているだろう。是非、以下に挙げたAdWeekが選んだCM年間ベスト10をチェックしてもらいたい。

10位:Carlton Draught 「ビールチェイス」
このCMは非常に面白く、UPROXXには2度も取り上げられたため、10位に留まっているのは少し不思議な気がする。映画のカーチェイスを面白おかしくいじっている内容は最高だ。


9位:Axe 「スーザン・グレン」
キーファー・サザーランドがナレーション及び出演をしているこのAxeのCMで、「スーザン・グレン」に恋してしまった男性は多いのかもしれないが、実際Axeのボディスプレーに手を伸ばした数はそこまで多くないのではないだろうか。というのは、もし「スーザン・グレイ」がCMの中のような完ぺきな存在であるならば、Axeには見向きもしないはずだからだ。

8位:P&G 「ベストジョブ」
このCMは将来オリンピック選手になる子供を育てる母親たちを取り上げており、見た人は感動することだろう。もしあなたが親である場合は尚更だ。このCMが広告している商品が、CMの補足にしか過ぎないという点は個人的には素晴らしいと思うが、次に洗剤を買う時はP&Gへの感謝の印として、彼らの商品を買うだろう。

7位:Chrysler「ハーフタイム・イン・アメリカ」
このスーパーボウル用のCMはクリント・イーストウッドが出演しているが、イーストウッドがオバマ大統領を支持しているようだと、共和党員が非難した。政治はさておき、このCMはアメリカの自動車産業の復活に焦点を当てた、ハートウォーミングな作品で、非常に良く出来ている。
6位:レッドブル「レッドブル・ストラトス」
このレッドブルのCMは、フェリックス・バウムガルトナーの成層圏からのスカイダイビングの様子を1分半にまとめたものだが、勇気のある大胆な行動は、飾り立てて語る必要がないということがよく分かる。バウムガルトナーは本当に凄いことを成し遂げたのだ。

5位:オールド・ミルウォーキー「フィールド・カットオフ」
ウィル・フェレルが出演したスーパーボウル用のオールド・ミルウォーキーのCMは、インターネット上で大きな話題となった。というのは、このCMはネブラスカ州のノース・プラッテという小さな町でのみ放映されたからだ(ちなみにノース・プラッテはアメリカで2番目に小さいテレビ市場を持つ町だ)。フェレルがノーギャラで出演している点も話題を呼び、コンテンツという意味ではなく、マーケティング戦略として非常に優れたCMと言えよう。

4位:DirecTV「チャーリー・シーン」
このCMが何故ここまで高評価を得たのか理解できない。確かに面白いCMだが、チャーリー・シーンに自虐的な行動を取らせている面白さよりは、本人が自分の馬鹿さ加減を楽しんでいる印象の方が強い。DirecTVが間抜けなチャーリー・シーンを褒めたというところだろう。

3位:Widerøe Airlines「おじいさんの魔法」
これはノルウェーの航空会社のCMだが、非常にキュートな内容だ。Carlton Draughtのビールチェイスより面白くはないが、とにかくキュートだ。

2位:Nike「ジョガー」
「偉大さ」に焦点を当てた、シンプルだが非常に力強いCM。待つのではなく、「偉大さ」が自分のところへ来るくるようにしろというメッセージは、多数の肥満気味の人にスニーカーを履かせたことだろう。

1位:The Guardian「3匹の子豚」
童話「3匹の子豚」を映画的に面白く解釈したこのCMは、イギリスの高級紙The Guardianとメディアのパワーを訴える素晴らしいショートフィルムである。確かに素晴らしいCMではあるが、やはり今年の1位はCarlton Draughtではないだろうか...。