「脂肪吸引」は安全なの?リスクはある?

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執筆:青井 梨花(助産師・看護師・タッチケアトレーナー)
医療監修:株式会社とらうべ

脂肪吸引は、ストイックな食事制限やハードな運動をしなくても、希望の箇所をサイズダウンできるという、美容外科手術の中でもポピュラーな施術です。

ダイエットするよりも手軽なイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

しかしやはり手術は手術、リスクはともないます。どのようななリスクがあるのか理解した上で、十分に検討したいものですね。

「脂肪吸引」とは?

脂肪吸引法とは、皮膚に数ミリの小さな穴を開け、細い管(カニューレ)を入れて、気になる箇所の皮下脂肪を吸引する治療法です。

吸引の補助として、超音波やレーザーを併用する場合もあります。サイズダウンや身体のラインを整えるためにおこなうので、体重減少を目的とした施術ではありません。

適応範囲は、皮下脂肪がある箇所になりますから、一般には、頬・フェイスライン(あご)・二の腕・お腹・ウエスト・おしり・太もも・ふくらはぎなどになります。

脂肪吸引のリスクにはどんなことがある?

まず、一般的に手術をおこなう上でのリスクが考えられます。

感染症や血栓症などのリスク、また麻酔によるリスクがあげられます。吸引部位や施術範囲などから、局所・静脈・硬膜外・全身麻酔など、どの麻酔方法が適切かを医師が選択します。

麻酔方法によってリスクの大小はありますが、アレルギーやショック症状、呼吸停止などを起こすこともあり、場合によっては生命の危機となる場合もあります。

次に脂肪吸引法をおこなう上で、特徴的なリスクは以下のものがあります。

脂肪塞栓症(しぼうそくせんしょう)


脂肪細胞が血管内に入ってしまい、血流にのって重要な臓器の血管が詰まった場合、生命にかかわることがあります。

内臓損傷


お腹など、吸引したい脂肪層の下に内臓がある場合、誤って脂肪層より深い層までカニューレが到達したさい、穿孔(せんこう)を起こし、内臓損傷を起こす可能性があります。

以上のようなリスクは、非常にまれですが、リスクとして知っておくべきものとなります。

その他のトラブルとして、皮膚のたるみやデコボコした感じが残る、しびれ、施術部位への体液の貯留、皮膚の壊死(えし)などが起こる場合もあります。

また、術後によくみられる経過として、手術後の痛み、手術箇所の内出血や腫れ、むくみ、つっぱり感などありますが、専用の圧迫下着を着用したり、場合により薬を使用したりして対処します。経過をみながら通常は徐々に回復していきます。

脂肪吸引を検討する上で重要なことは?

起こりうるリスクを知った上で、リスクを最小限にするために、以下の点に注意するとよいでしょう。

・持病やアレルギーなど、体調や体質に関して必ず情報提供し、相談する

・トラブルの予防のためのアフターケアについて、値段も含め、確認しておく

・事前のカウンセリングで、医師と充分にコミュニケーションをとる

・自分の希望を具体的に伝え、医師の説明を聞いた上で、あなたにとって本当に脂肪吸引という方法がベストなのか?他の方法はあるのか?そのさいのリスクも確認して検討する

・医師の技術力やリスク管理がしっかりしているか。手術件数はひとつの目安になるが、大きいクリニックだとクリニック全体での手術件数を公開にしている場合もあるので、注意が必要

・医師の指示に従い、アフターケアをしっかりおこなう


<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供