堅実女子の悩みに、柳原桑子先生が答える本連載。今週は、多くの人が悩む“夫が生活費をくれない”問題。

質問者は瑞希さん(34歳・マスコミ関連会社勤務)

「結婚2年になる夫(35歳・メーカー勤務・契約社員・年収400万円)が、家に生活費を入れません。ネットで検索していると、夫が生活費をくれないという悩みは多くあるようですが、どのように請求すればいいのでしょうか。

ちなみに、家は私が独身時代に購入したマンションで、毎月6万円の住宅ローンを返済しており、これはいいのです。(結婚した時に夫が転がり込んできた)しかし、光熱費、通信費、食費などのすべての費用は折半したいのです。こんな状況なので、彼を信じられず、子供もほしいのに作れない状況です。何度言っても払ってくれず、夫婦仲も悪くなっていますが、離婚するほどではありません。解決方法を教えてください」

柳原桑子先生のアンサーは……!?

生活費で夫婦がもめるケースは多々あります。共働きの場合、新婚時期に生活費について話し合わなかったのではないでしょうか。

民法にも、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(民法760条)と定められています。婚姻から生ずる費用の具体的な内容は、衣食住に要する費用、医療費、子供の養育費などです。

さて、生活費を払わない夫がいるケースですが、お互いに尊重しつつ結婚生活を継続させたいなら、最低限のルールは守るはずです。どちらかが不当にガマンしているなど“ひずみ”があるなら、話し合いなどで修正を重ねて行き、場合によっては別居を前提に話し合うことも必要かもしれません。

相談者・瑞希さんの場合で考えてみましょう。あなたは“夫との生活と将来”はどういうものなのかを考えてみたらいいかもしれません。彼は本当に夫婦として、協力して生きていきたい男性なのでしょうか。そこまでではない場合にこのまま婚姻関係を継続するのか、解消するのか……。

さて、これを踏まえた上で、お話していきますね。

2年間というのは、”結婚生活”ととらえると短いようにも思えますが、長い時間です。この長い時間を、夫婦としてひとつの家庭を築く意思を持って生活していて、その間に生活費を払わないのは問題です。独身時代にマンションを購入するほどしっかりしたあなたに単に甘えて生活しているだけという印象です。

ですから、彼と婚姻生活を継続したいのなら、生活のルールを約束事として決めてはいかがでしょうか。それを言った言わないにならないよう文章で残すことをおすすめします。

もし、離婚となった場合、財産分与の場面において、これまでの婚姻費用分担のかたよりを清算することも考慮に入れて、分与する余地があります。

夫婦の共有財布(口座)の設定を。生活費を振り込ませるなどの措置も有効。



■賢人のまとめ
もし離婚となった場合、財産分与の場面において、これまでの婚姻費用分担のかたよりを清算しましょう

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/