検診が重要! 「初産が35歳以上」「出産経験がない」人は乳がんに注意を

 乳がんへの意識を飛躍的に高めたのがピンクリボン運動。それでも、「検診を受ける人はまだまだ少ない」とよしの女性診療所の吉野一枝院長は嘆きます。というのも、乳がんはここ数年で増加傾向にあり、年間で1万人弱の人が命を落としているから。乳がんが増えている背景には、食事の欧米化や体格の変化などがあるといわれています。でも、欧米人は閉経後に発症するタイプが多く発症年齢のピークは60代ですが、日本人は乳がん患者は40〜50代に多く、約半分が45歳未満という報告もあります。若いころからの検診が大切なのです。

30代半ばから乳がん検診は、マンモグラフィと超音波を

「20〜30代前半は超音波検査だけでもいいですが、この世代でも出産授乳経験がある人、そしてそれ以上の年齢ならマンモグラフィと超音波の両方を年に1度は受けてほしい」と吉野院長。マンモグラフィは痛みを伴うので尻込みをする人もいますが、「一時的なもの。それよりも乳がんは早期発見が大事。高い治癒率が期待できる」といいます。早期発見なら部分切除が可能で、乳房の再建技術も進み、人工乳房も進化しています。

身内に乳がんをわずらった人がいたら

 女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳がんで話題になったのは記憶に新しいところ。遺伝子検査で乳がんになるリスクが87%と診断され、がんが発症する前に両乳房を切除し、再建手術を受けたことを告白しました。母を乳がんで亡くした彼女。手術後に叔母も乳がんで命を落としました。米国では、遺伝子検査で病気のリスクを判断して治療にいかすことも多いですが、日本では立ち遅れているだけでなく、賛否も別れるところです。ただ、乳がんには遺伝的リスクがあるのは確か。エストロゲンという女性ホルモンの働きが関与しているため、「初潮が早く、閉経が遅い人」「初産が35歳以上の人」や「出産経験、授乳経験のない人」なども注意が必要。「身内に乳がんを患った人がいるは特に意識して検診を。病気の発見を恐れるのではなく、年齢を重ねれば重ねるほど、自分のからだときちんと向き合うことが重要です」(吉野院長)。

セルフチェックで早期発見を

ほかのがん同様、乳がんも早期発見が重要。乳がんの増殖は比較的ゆっくりしていますが、放っておくと、周囲の組織に広がり、リンパ管や血液を通って内臓に転移し、命を落とすことも。そのためには、自分で乳房を触ってしこりを確かめるセルフチェックも重要。鏡で見て変わったところがないか、触ってみてしこりがないか、月に一度はセルフチェック。乳首を中心に4つにわけたときに、外側の上側、つまり、わきの下に近い部分が最も乳がんができやすい場所。あお向けに寝た状態で、手で乳房を軽く抑えながらしこりをチェックしましょう。

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