「今の何…?」初デートの帰り際。男は夢中にさせた、タクシーに乗る前の33歳女の行動とは
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:娘の小学校受験を終えてホッとしたのも束の間。慶應一家の夫が、妻に離婚を切り出されたワケ
あのハグは、一体どういう意味だったのか…。
亜美と初めてデートした帰り際、彼女が急にハグをしてきた。
あまりに突然のことで、僕は一瞬頭が真っ白になる。慌てて僕も腕を回し返すと、亜美はさらにぎゅっとしてきた。
「ありがとう。またね」
そう言うと、颯爽とタクシーを捕まえて行ってしまった亜美。酔っ払っていたこともあり、僕は麻布十番の商店街の石畳の上で、しばらくボケッとしながらそのタクシーを見送っていた。
Q1:初めて会った時からノリが良かったワケは?
亜美とは、友人の誕生日会で出会った。
僕は20時くらいからその会にいたのだけれど、亜美は僕が帰ろうとしていた、23時くらいに女友達と2人でやってきた。
華やかな亜美が来た瞬間に、場の空気が変わったのがわかった。僕以外のみんなも感じたと思う。
「前の食事が押してて。遅くなってごめんね」
そう言いながら主役と話している亜美から、僕はなぜか目が離せなくなった。
「あれ?秀明、さっき『帰る』って言ってなかった?」
友人にそう突かれたが、僕は、亜美と話したかったので、帰るのをやめてしばらく残る決意をした。
そして、僕の願いがかない、気がつけば亜美と僕を含めそれぞれの友人4人で話すことになる。
「秀明くん、お家恵比寿なの?徒歩で帰れるじゃん」
「亜美さんは?」
「私も恵比寿だよ!…もう1軒行っちゃう?」
「いいですね!行きましょう」
ちょうど誕生日会もお開きになりそうだったし、僕たちは4人でもう一軒行くことになった。
移動したバーで話しているうちに、亜美は渋谷にあるIT関連の会社に勤めていて、現在33歳で独身であることがわかった。
同じ歳くらいかな?とは思っていたけれど、亜美のほうが2つ年上だった。
「秀明くん、今31歳なの?」
「そうです!聞いても良いなら亜美さんは…?」
「私が33歳だから…って、年齢の話やめない?(笑)」
「ですよね」
「敬語もやめようよ。ちょっと距離遠く感じる」
「わかった、やめる」
亜美は、ものすごい美人とかいうわけではないが、会話も面白いし、可愛げがある。
何より、亜美には華があり人を惹きつける魅力があった。
「亜美ちゃんってさ、すごい華やかだよね」
「そう?今日ちょっとアイメイク濃いからかな」
「そういうことじゃなくて」
決して化粧が濃いわけでもないし、派手なわけでもない。説明が難しいけれど、これはたぶん本人が持っているオーラなのだろう。
「亜美ちゃん、絶対にモテるでしょ?」
「どうだろうね〜。それを言うなら秀明くんこそ。カッコイイけど話しやすいし、すごくモテそう」
お互いに褒め合う変なモードに入っていたけれど、楽しかった。
この日は25時に解散したものの、翌日、僕はダメ元で亜美を食事に誘ってみた。
― 秀明:昨日はありがとう!楽しかったね。良ければ、今度は二人でご飯行かない?
すると既読になるや否や、すぐに亜美のほうから返信が来た。
― 亜美:行きたい!いつにする?
下手な駆け引きなどを感じさせない、早いレスポンスはかなり好感を持てた。こうして、僕たちの初デートはすぐに決まった。
Q2:初デートで、女がハグをした理由は?
初デートは、麻布十番にある人気の焼き鳥店『瀬尾』を予約した。雰囲気も良いし美味しいワインも揃っているので、デートにぴったりだと思ったから。
「亜美ちゃん、何飲む?」
「私はとりあえずビールにして、その後ワインにしようかな。秀明くんは?」
「まったく同じです」
「本当に?無理しなくてもいいけど、一緒なのはちょっと嬉しいな」
― え?なにそれ、可愛いんだけど。
最初から、亜美のペースに巻き込まれていたのかもしれない。でも決して嫌な感じはしなかったし、そこに亜美の計算は見えなかった。
「秀明くん、今付き合ってる人はいないの?」
亜美は、僕に彼女の有無まで確認してきた。これは「僕に興味がある」というサインで合っているのだろうか。
「今!?いないよ。亜美ちゃんは?」
「私もいない。この前、彼氏と別れたばかりなんだよね」
「そうなの?いつ別れたの?」
「2週間前、かな」
「めちゃ最近じゃん」
とりあえず、亜美に現在彼氏はいない。すべての駒が揃い過ぎてて、勘違いしそうになる。
ビールからワインに切り替えた後も、僕は亜美のことをもっと知りたくてたくさん質問をした。
「亜美ちゃん出身は?」
「私は東京だよ。秀明くんは?」
「僕は千葉。ずっと東京なの?」
「小さい頃、少しだけ海外にいたけど、それからはずっと東京」
「そうなの!?カッコイイね」
「そんなことないよ〜。いたのは小学校の時だし、全然」
亜美のことを少しずつ知っていくなかで、気がついたことがある。亜美は話す時、僕の目を見ようとする。
カウンター席なので、ずっと目が合っているわけではないけれど、極力僕のほうに体を向けてくるのだ。
「亜美ちゃんって、聞き上手だよね」
「秀明くんのほうこそ。で、最後の彼女とはいつ別れたの?」
「僕は半年くらい前かなぁ」
「なんで別れたの?」
「付き合ってわかったんだけど、結構メンタル弱めだったんだよね…。だから次は、精神が安定している子がいいなと思ってる。亜美ちゃんみたいに」
会うのはまだ2回目だが、カラッとしていて明るい亜美にメンヘラ臭は感じられない。
「精神が不安定なのは一緒にいて辛いよね…」
「亜美ちゃんは?どういう人がタイプ?」
「私は、優しくて一緒にいると楽しい人かな。あと、こうやって美味しい物を食べて、一緒に感動できる人。今日の秀明くんみたいな感じで」
亜美に転がされているのかもしれないが、最後の一言に、僕は勘違いしそうになる。
しかも亜美は、お手洗いから戻ってきたタイミングでカウンター席の椅子を少し僕のほうへ寄せてきた。
― ちょっと待って。こんなに距離を詰めてくるってことは、脈アリってことでいいんだよね!?
店を出て、もう一軒行った後、帰り際にハグをしてきた亜美。
でも、この初デート以降、亜美のほうから積極的に連絡が来るわけでもないし、次のデートも決まっていない。
果たして、亜美は僕のことをどう思っているのだろうか…。
▶前回:娘の小学校受験を終えてホッとしたのも束の間。慶應一家の夫が、妻に離婚を切り出されたワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女のハグの意味は!?