センスよく見える!おせちの詰め方とポイント【小林まさみさんの簡単おせち 後編】

おせちを上手に詰めるのってむずかしい!

おせち料理を用意したらお重に華やかに詰めて、お祝い気分を盛り上げたいもの。しかし、いざ詰めようとしたときに「どこから詰めればいいかわからない」「バランスよく詰められない」なんてお悩みありませんか?せっかく頑張っておせち料理を準備しても、詰めたときの仕上がりがイマイチだと悲しい気持ちになってしまいそうです。

そこで『1日でできる簡単おせちと、いつでも役立つおもてなし』(扶桑社)をはじめ、レシピ本が人気の料理研究家・小林まさみ先生に、失敗しないおせちの詰め方とセンスよく見せるテクニックを教えていただきました。

「我が家では毎年お重におせちを詰めて、お正月を迎えています。重箱だけでなく、裏白(うらじろ)を敷いた経木のお弁当箱に詰めて、実家に届けることもありますよ。

私は料理教室でおせちをテーマにすることもあるのですが、生徒さんたちからは重箱への詰め方を相談されることが多いです。やっぱり盛り付けがむずかしいと考えている方は多いのかもしれませんね。

今回は初心者でも真似しやすいポイントまとめたので、今年はじめておせち作りにチャレンジするという方も参考にしてみてください」

おせちの詰め方には品数の決まりやルールがある?

段数と品数

「重箱の段数はご家庭の人数に合わせて用意するのがよいと思います。以前は3段の重箱を使う方が多かったようですが、最近だと2段や1段にする方もいるみたいですね。重箱は結構な量が入るので、あまり慣れていない方は小さめのものを選んだほうが隙間ができず盛りやすいと思います。

注意したいのは入れる品数。偶数は『割り切れる』という意味があり、縁起が悪いので、1段にごとに品数が奇数になるように詰めましょう。偶数になってしまう場合は、飾り葉のようなあしらいもカウントして調節できるので安心してくださいね」

仕切り方

「十字に仕切りを入れる田の字型や、真ん中にひし形を作る七宝型など8種類ほどパターンがあるといわれています。私は市松型にすることが多いですね。

はじめての方は、均等に9つのマスを作る市松型やお重に対し平行に3段に仕切る段取り型がおすすめです。特に段取り型は端から順番に詰めていくのでバランスが取りやすいはずです。今回は、市松型をご紹介します」

センスよく見せるコツは?

1. 飾り切りをする

2. 小さな容器を活用する

「黒豆や酢の物を入れるのに役立つのが、小さな器や木のカゴなどのアイテムです。ご家庭によくあるアイテムとしてアルミカップを使う方は多いかもしれませんが、より美しい見た目にするには器にこだわるとよいと思います。

たとえば和菓子を買うと、羊かんやゼリーなどが小さな竹カゴに入っていることがありますよね?そういった小物をとっておくと、おせちの仕切りとして役立ちますよ。ガラス製のおちょこも仕切りにぴったりです」

3. 飾り葉を使う

「食材の間に使える仕切りやあしらいには、飾り葉を使ってみましょう。

もっとも使いやすいのは、葉らんです。仕切りだけでなく、丸めて器として使うこともできます。昔ながらのお花屋さんやホームセンターに売っていますし、和菓子用に売っている笹の葉でも代用可能です。

もう1種類取り入れるなら、赤色が縁起のよい南天を用意してみましょう。裏白や葉らんを下に敷いたり、揚げたぎんなんを爪楊枝や松に刺したぎんなん串や松葉ぎんなんがあったりしてもいいですね」

おせちを上手に詰めるには?

1. 中心を決める

「市松型で重要なのは、中心を決めること。真ん中に配置する料理が確定すると、まわりに並べる料理とのバランスが取りやすくなり、きれいに仕上がります。

器は彩りをプラスできる柚子釜がイチオシ。なますや黒豆など器に入れて盛るおせち料理を入れてみましょう。

家族の人数に合わせて小さな柚子釜をいくつか並べる方法でもよいですよ。お重の縁の高さに合うように、ほかの具材を下に敷いておくと見た目が美しくなります」

2. 四隅から詰める

「次に四隅に料理を置いていきます。端のスペースから埋めていくと、空くスペースがわかりやすくなるので、迷うことなく詰めることができるはずです。四隅に置く料理は形の大きな伊達巻や、崩れにくいかまぼこなどが最適。

中央の柚子釜に合わせて高さをそろえるとよりきれいなので、かまぼこは高さが足りない場合は底上げをしてみましょう。

伊達巻は横に並べてもいいですが、“の”の字が見えるように積み重ねる方法もおすすめ。縁起がよいうえに華やかです」

「四隅に詰める料理は、色味を考えながら配置を決めてみましょう。容器やカゴなどをうまく使うと、よりバランスが取りやすくなります。黒豆や漬物など、バラバラになりやすい料理に活用してみてください。

カゴに詰めるときは、汁をキッチンペーパーでよく拭き取ると、ほかの料理に味がつかずおいしさがキープできますよ」

3. 間を埋める

「最後に空いた隙間に、残りの料理を詰めていきます。隙間を埋めるおかずは、量の調節が利くものや、形を自在に変えられるものがおすすめです。

器に入っていないかまぼこや伊達巻の横には食材同士の味が混ざらないように、葉らんを使って仕切りを作りましょう。葉らんを丸めて、器のように使う方法も簡単にできる工夫のひとつ。葉らんはマスキングテープで簡単に留められますよ」

「料理を入れるには狭い、微妙な空間が残ってしまうこともあると思います。その際は飾り葉を活用するとスペースを埋められるうえに、彩りが加わって華やかな見た目になりますよ。

赤色がアクセントになる南天の実のほか、ぎんなん串や松葉ぎんなんも使い勝手がよいです」

コツを押さえれば本格お重が短時間で完成!