色彩心理カウンセラーが警告、大人の女性ほど黒い服を避けるべき理由4つ
※本稿は佑貴つばさ『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』(マキノ出版)の一部を再編集したものです。
■黒は“無難”ではないことを知ろう
毎日のように黒を着ていると、心のなかにどんなことが起こってくるでしょうか。
黒は人が目にする色のなかで最も暗く、最も重く感じる色です。着る服の色は、潜在意識に強い影響を与えます。「黒を着ている自分」は、「いつも気持ちを抑えている自分」や「心のずっしり重い自分」として、潜在意識にインプットされてしまうのです。
自ら積極的に黒を選んでいない場合には、黒という「強い色」が持つイメージのなかでも、マイナスの効果が表に出てしまうからなのです。
そもそも黒は、無難な色だと本当に思いますか。
黒は、どんな色より強くて頑固で、気高さを感じさせる特別な色。
実は、大人の女性にとって、黒ほど着こなしの難しい色はないのです。
黒い服をよく着ている、という大人の女性にもう一度お聞きします。
最近のあなたに、黒は似合っていますか。
顔映りはどうでしょう。黒はあなたの気持ちに添った色ですか。
「どうも最近、しっくりこない」
「顔映りが悪い気がする」
「なんだか、老けて見えるように感じる」
「気持ちが重くなる気がする」
そんなふうに感じることがないでしょうか。そうであれば、もはや黒が似合わなくなっている証。「無難だから」と黒に頼っていい時期はすぎた、ということです。
大人の女性が、黒を着てはいけない理由は四つあります。
■1.大人の女性を老けて見せる
黒について、顔映りの面から見ていきましょう。
顔のそばに明るい色を持ってくると、その明るさが顔に反映し、肌が明るく見えます。シミやシワが目立ちにくくなります。反対に、顔のそばに暗い色を持ってくると、その暗さが顔にも反映し、肌が暗く濃く見えることになります。
人の目に見える色のなかで、いちばん明るい色が白、いちばん暗い色が黒です。白と黒で顔映りを比べると、顔色の変化がよくわかります。
実際に、洋服を顔の下に当ててみるとわかりやすくなります。黒い服と白い服の両方をお持ちのかたは、「交互に」首元に当て、鏡で見てください。ハンカチでもかまいません。
しっかり自分の顔を見つめてみましょう。その効果は一目瞭然。白い服を首元に当てたときと比べ、黒い服は顔色を暗く見せているはずです。とくに、ほうれい線やあごのラインなど、顔の下半分に顕著に表れます。
顔は服と一体化して見えやすく、色が同化して見えることが多くなります。顔のそばにある服が明るい色ならば顔も明るく見え、暗い色ならば顔も暗く見えます。暗い色は、顔にあるものを、より濃く見せ、影もつくります。
アラフォーのころから、目元のシワ、クマ、ほうれい線、シミなど、いくつかの悩みが増えてきていませんか。黒を顔のそばに持ってくると、それら「悩み」の部分が、服の色と同化し、より濃く深く見えてしまうのです。
肌の色も暗くなり、シワやクマが濃く見えることで、顔に険しさも感じさせます。このため、大人の女性が黒を着ると、実際よりも老けて見えてしまうのです。
もちろん、どんな色にも、マイナスの効果があれば、プラスの効果もあります。黒のプラスの効果は、顔の上にあるものをより濃く見せることから、目鼻立ちをくっきりと顔を立体的に見せるとともに、輪郭を引きしめてシャープに見せる側面もあります。このプラスの面とマイナスの面を天秤にかけながら、もう一度、自分の顔映りを、鏡の前で客観的に見てください。黒のマイナス面のほうが目立ちませんか。大人の女性が、黒い服を選ばないほうがよい大きな理由の一つがここにあります。
■2.女性を「重たく」見せる
多くの女性が黒い服を好む理由に、「やせて見えそうだから」という答えもあります。
たしかに、黒には「収縮効果」があります。物が、よりシャープに引き締まって見える効果です。
この効果がよくわかる例として、碁石の大きさがあります。
黒の石の大きさと白の石の大きさは、異なるようにつくられています。黒には収縮効果があるので、実際に同じ大きさにすると、黒の石のほうが小さく見えてしまうからです。そのため、黒の石は白の石より、ほんの少し大きくできています。そうすることで、両者は同じ大きさに見えるのです。
一方、色には「軽い」と「重い」という印象があります。色の明るさと暗さが、見た目の軽さ・重さの印象につながっています。
具体的には、色違いの二つの物があったとき、明るい色のほうが、より軽く感じられ、暗い色のほうが、より重く感じられます。
人の目に見える色のなかで、いちばん明るい色が白で、いちばん暗い色が黒です。
白と比べると、黒は見た目に感じる重さが、なんと1.87倍にもなるという実験結果もあります。黒を着ている人は、そのくらい重たく見えてしまうのです。
体型がスリムで引き締まっている人は、黒の収縮効果で、よりスリムに見えます。一方、ふっくらした体型の人が黒い服を着た場合、収縮効果より重たく見える効果のほうが顕著になります。つまり、ふっくらした体型を黒で覆ってしまうと、ズッシリと重たそうに見せてしまうのです。ましてや、トップスもボトムスも黒。全身を黒で固めてしまったら、黒の分量が大きくなってしまい、さらに重たく見えてしまいます。
最近は、ワイドパンツが人気です。「体型を隠すのによさそう」と、黒いワイドパンツを履いたときには、その幅広の形から、よりズドンと重たく見せてしまうので、要注意です。
いつも黒を着ている人は、まわりの人にも自分自身にも、重たそうに感じさせています。
「やせて見えそうだから」というのは、黒を着る理由にはならないのです。
■3.コミュニケーション下手になる
黒ばかり着るあなたはコミュニケーションが苦手では?
色は、体験や記憶、イメージとつながっています。そして人は、色に象徴的な意味を感じています。色の持つイメージ・意味には、すべてポジティブなものと、ネガティブなものがあります。
黒のポジティブなイメージ・意味には、「自己確立・意志の強さ・集中・高級感・威厳・重厚」などがあります。「プロフェッショナルに見える色」でもあります。
ネガティブなイメージ・意味には、「孤独・人と距離を置きたい心理・重苦しい・抑圧・反抗・悲しみ・威圧感・恐怖」などがあります。
私たちが色に惹かれるのは、その色のイメージ・意味がそのときの気持ちに合っているから。
そのときの自分の心と体に必要な色を、無意識にも選んでいます。
また、自分の気持ちを物語ってくれる色に惹かれることもあれば、その色のイメージにあたるものが今の自分に足りず、求めているときに惹かれることもあります。
では、黒に惹かれるのは、どのような心理でしょうか。
「強い意志を持って自分を確立していくとき」など、ポジティブなイメージが、気持ちに合っているときがその一つ。「強い自分」を表現したいときです。
プロフェッショナルであることや、ストイックさも感じさせます。自分の感情を表に出さないことから、仕事向きの色ともいえるでしょう。
でも、もしも「無難だから」との理由で、黒い服を着ているとしたら。あなたの心は、黒を通して「強い自分」を表現したいと求めていますか。
もし、ふだんから黒をよく着るならば、今、こんなことを感じていないでしょうか。「人間関係に疲れちゃった」「少し休みたい」「そっとしておいて」「自分を守らなくては」人とのコミュニケーションを今は避けたい。自分の気持ちに踏み込まないで欲しい。そんな思いが、もしかしたら黒い服を選ばせているかもしれません。
また、「孤独感が強まり、さびしい」「自分の本当の気持ちを抑えている、我慢している」というときにも、黒い服を無意識にも選んでしまうのです。
■黒を習慣化しないことが大事
思春期に、黒ばかり選んで着ることがあります。思春期特有の言葉にできないような葛藤や悩みに苛まれ、身近な大人への反発心が高まってくると、黒を好むようになります。それは「私にかまわないで」「そっとしておいて」「少し休ませて」、そして「孤独」「さびしい」という言葉にならない表現であることも多いのです。
また、心に深い悲しみを抱えているときにも、黒に惹かれることがあります。そんなときの黒は、心に寄り添ってくれる色です。黒に自分の心を重ねることで落ち着き、支えられ、心が守られることもあります。
こんなふうに、「黒で心をガードしたい」との心理から黒に惹かれているときには、黒で自分を守ってあげることも必要です。
しかし、着慣れているからという理由で、黒ばかりを毎日のように着ていると、人と距離を置きすぎてしまったり、孤独感が増したりします。考えが頑固になりすぎることもあるでしょう。自分の感情を抑えてしまうことにもつながっていきます。
しかも、色は習慣になります。慣れてしまうと、ついその色ばかりを選んでしまい、ほかの色を取り入れにくくなるのです。だから、黒をよく着る人のクローゼットには、黒の服がますます増えて、毎日のように黒を着ることになるのです。
■4.気持ちを抑えてしまう
色みを持たない色であり「無彩色」と呼ばれる、白・黒・グレイのなかでも、黒はとくに「感情を抑え込むイメージ」と重なりやすい色です。
少し専門的な話になりますが、色は、物体が光のなかの特定の波長域を反射、透過、吸収することで見えるものです。
黒は、可視光(目が感じることのできる光の波長)のほぼすべての波長域を吸収することで見える色。「光をすべて内側にしまい込んだ状態」「外側に表現していない状態」というイメージとつながります。
また、黒は人の目に重たさをもっとも感じさせる色です。人は物を見るとき、その物自体のイメージを重ねて見ます。黒は、心に重石をずっしりと乗せているようなイメージとつながりやすいのです。
こうしたことが、「自分の感情を抑圧するイメージ」と重なります。
私たちが目にする色は、心に影響を与えます。私たちは、鏡を通して、1日に何度も自分を見ます。
頻繁に黒を着ていれば、それだけ多く、黒のイメージと自分を重ねて、潜在意識にインプットしやすくなるのです。反対に、自分の感情を抑えているからこそ、黒い色が気になることもあります。惹かれる色には、自分の気持ちが投影されているからです。
だからといって、長い間、黒い服を着たり、身近に黒ばかり置くと、自分の本当の感情をさらに表に出せなくなります。黒は、そんな悪循環も起こしやすい色なのです。
■色を取り入れて新たな自分になろう!
色彩心理・自己分析のセッションに来てくださる大人の女性たちには、「いつも黒ばかり着ている」というかたが多くいらっしゃいます。
お話しをうかがうと、「知らずに自分の本音を抑えてしまっている」と答えるかたがほとんどです。
自分の素直な気持ちを表現するのが苦手で、まわりの人にイヤな思いをさせたくないと、本音で向き合うことを我慢してしまうのです。
「私も、自分の本音を抑えて生きている」
そう気づかれたあなた。気持ちに無理のないペースでよいのです。少しずつ、色みのある色を身近に取り入れていきましょう。
色は感情とつながっています。一つの色は一つの感情。洋服や小物に取り入れる色の種類を、少しずつ増やしてみましょう。
そうすることで、自分の心を解放し、表現できる感情の幅を広げていかれるのです。
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佑貴 つばさ(ゆうき・つばさ)
色彩心理カウンセラー
「色とココロのコンシェルジュ」、レゼル・ド・マクルール〜私色の翼〜代表。「色彩学校」上級認定色彩心理カウンセラー、認定色彩心理講師、認定色彩アートセラピスト、パーソナルカラーアドバイザー、A・F・T色彩検定1級取得。仏ブランド・シャネルの日本法人に、アシスタント、セールスアナリスト、ビジネス企画管理部門マネージャーとして25年間勤務。20年ほど前に書籍を通して「色彩心理」と出合う。「惹かれる色と心がつながっていること」「色が心に力をくれること」を知り、感銘を受ける。いつか、女性たちの可能性を引き出せる色彩心理の専門家になりたいと思い続け、50代で「色とココロのコンシェルジュ」として起業。現在は、「色彩を通して深層心理にアプローチ」するメソッドと、「色彩のイメージ効果」を使ったアドバイスで、「転機にさしかかり、これからの生き方を模索している」女性たちをサポート。「女性を内側からも外側からも輝かせる」ためのセッションやワークショップ、セミナー、企業研修を行い、好評を得ている。
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(色彩心理カウンセラー 佑貴 つばさ 写真=iStock.com)