そうだったんだ…「免疫と乳がんリスク」には関係があった

写真拡大

子宮がん、卵巣がん、そして乳がん。女性特有のがんといわれています。なかでも乳がんについては男性が1%ほど含まれているものの、女性がかかるがんのうちダントツ1位の罹患率です。

その反面、セルフチェックなどで発見されやすく、死亡率は第5位にとどまっています。かかりやすいけど、治すこともできるということ。しかし、できるならかかりたくないというのは誰しもが思うことですよね。

そこで今回は、予防医療推進協会の理事長を務める筆者が、女性に乳がんが多い理由を、“免疫”という観点からご紹介します。

■毎日つくられるがん細胞

実は健康な人でも毎日約5,000個〜6,000個のがん細胞がつくられているといわれています。

ではなぜ、がんが発病しないかというと、体内にはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)などの免疫細胞があり、それががん細胞を死滅させているからです。

当然のことながら、がん細胞ができる場所は自分で決めることはできませんが、免疫細胞は血流によって全身を回り、がん細胞や異物を見つけると攻撃してくれています。

しかし、冷えなどで血管が委縮して血行が悪くなっている場所には、免疫細胞も素早く行くことができないのです。それが体温が1度下がると免疫力が30%も低下するといわれている理由です。

■なぜ女性に乳がんが多いのか

乳房は乳腺と脂肪で構成されているため、実は冷えやすい場所でもあるのです。脂肪はエネルギー源になるものの、脂肪そのものがその場所で熱を産生するわけではありません。

脂肪がついていると保温もされますが、いったん冷えてしまうとなかなか温まらない、要するに“保冷効果”まであるのです。そして、35℃台の体温の人ではベースの体温が低いのでさらに、乳房の温度も下がってしまいます。

■体温が低いのは生活習慣が原因かも?

「私、平熱が低いんです」というのは、よく聞く話です。

正確に体温を計れていないケースもありますが、本当に平熱が35℃台の人の生活習慣を聞いていくと、睡眠不足や不規則な生活、喫煙、過度の飲酒、偏った食生活、運動はほとんどしない、ストレスをため込む考え方のクセ……と、体温を下げてしまう生活習慣をしている場合があります。

また、注意していただきたいのは“好き嫌いがないこと”と“偏食”は別物だということ。好き嫌いはなくとも、あれこれ考える暇がないなどの理由で同じものを繰り返し食べていれば、それは“偏食”ということになります。

まずはこのような生活習慣を見直してみましょう。

また、少しでも乳房への血流を良くするためには、乳房に近い胸筋をつけること。1リットルのペットボトルに水を入れ、腕を肩の高さで前に伸ばしたところから、大きく開いていきます。このとき、胸筋を意識することがポイント。

他にも最初はひざをついてでもいいので、腕立て伏せをするなど胸筋を落とさないトレーニングを日常に加えてみるのも、乳房の血行をよくするひとつの方法です。

胸筋を付ければアラサーあたりから気になるバストのたるみなどの予防にもなるので、試してみる価値はありますよ。

【監修者略歴】

※ 川上智史 ・・・ 医学博士。主に予防医学を専門とし、各種教育機関で基礎医学について講義を行う他、一般向けに予防医学に関する講演を行うなど、予防の重要性を啓発し続けている。また、アンチエイジングアドバイザー、メディカルアドバイザーとして医学的に“美と健康”を追求し、コメンテーターとしても幅広く活動。

【筆者略歴】

SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。

【画像】

※ Antonio Guillem / shutterstock