写真はイメージです(以下、同じ)
お店にも学校にも定期的に発生するモンスター〇〇。

特に日本は「お客様は神様」の文化があり、お店へのクレーマーはなかなかの激しさを持つ人が多く見られます。

桜井かおりさん(仮名・43歳)のパート先のファミレスでも、先日ものすごいモンスタークレーマーが出現しました。

ファミレスに入ってきた50代女性と小学生の子ども2人。ママは一見ヤンキー風で、お店に入ってきたときから少しイラついているような印象でした。注文したのはハンバーグとグラタン、パスタ。

◆新人アルバイトが多い中、事件発生

厨房やホールには、新しく大学生になった子など、まだ慣れないアルバイトの子も多く入っています。学生の子たちは初めての社会経験、多少の失敗はあるのは仕方がないと思うのですが、そこにモンスタークレーマーがぶつかると大ごとになってしまいます。

さて、この家族が注文した料理を運び終えたと思った10分ほど後、ママが雄叫びをあげ、スタッフを呼ぶベルが鳴りました。あわててテーブルにかけつける新人スタッフ。するとコワモテのママがスタッフを睨みつけながら何やら言っています。

大ごとになってはまずいと、あわててテーブルにかけつけた桜井さん。「お客様、いかがされましたか?」と尋ねると、ヤンキー風のママはすごみながらクレームを発します。

グラタンに指を突っ込む!?

「あのさぁ、グラタンがぬるいんだよね。指突っ込めるくらい。グラタンってさぁ、焦げ目がついてて、こうやって指突っ込んだら普通やけどするじゃん?でも焦げ目もないし、やけどなんてしないどころか、熱くもなんともないんだよ。熱いのがグラタンじゃないの?おたくのレストランはこんなぬるいグラタンを出すの?野菜だってぬるくてさ、どういうこと?」

新人スタッフはすっかり委縮してしまってうつむいてしまっています。おそらく厨房で新人さんがオーブンのタイマーを間違えたか何か、ミスをしたのだろうと想像できました。

桜井さんが「申し訳ございません。新しいものを持ってまいります」と平謝りに謝り、グラタンを下げました。が、なんだか半分くらい食べてあるような…。とはいえ確かに少し加熱が甘かったことはこちらのミスなので、今度はしっかりと焦げ目のついたグラタンを提供。最初にテーブルに行ったアルバイトのスタッフも勉強のために一緒に謝罪すると「そうそう、グラタンは焦げ目がおいしいからさ、ね、グラタンに焦げ目がなかったら出しちゃダメなんだからね」と得意げ。

大きな声で騒ぐクレーマーも困りものですが、このようにすごまれたり説教をされるのも困りものです。

◆なんと彼女は有名人

なんとか機嫌を直していただきホッとしていると、別のパート仲間がこっそりと「あの人、うちの学校のママよ」と教えてくれました。

なんでもこのママ、学校でも有名なクレーマーらしく、学校で子どもが何かトラブルがあると、すぐに乗り込んですごい剣幕でまくしたてるのだとか。先生たちからもマークされていて、すっかり有名人なのだそう。

けれど本人は、そんな自分をカッコいいと思っているのか「子どもに何かあったら守るのは親の役目よ」と言っているのだそう。けれど最近は子どもが学校であったことを話してくれないとこぼしているのだとか。

「子どもも大きくなってくると、自分のママが常識的かどうかがなんとなくわかってきてしまうんでしょうね。グラタンクレームのときも、子どもたちは恥ずかしそうにうつむいていました。もしかしたら子どもたちも『ママが出てきたら大変』と思ってあまり学校のことを話さないのかも…と想像してしまいます」

必要なクレームは伝える必要があると思いますが、あまり激しいやり方では周りに避けられてしまいますよね。主張すべきはし、冷静になるべきところでは冷静に対処したいものです。
<文/塩辛いか乃>

【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako