今では、条件によっては無痛や日帰りなどで中絶手術が行えるほど医療技術が発達していますが、古代の女性は信じられないような方法で中絶をしてきた歴史があります。アメリカのインターネットメディア「ハフィントンポスト」が伝えている事例から抜粋してご紹介します。

ワニの糞を膣内に挿入する

紀元前18世紀頃に書かれ、歴史上最も古い医学書の1つである『Kahun Papyrus』を解析する専門家によると、古代エジプト人は中絶に関して特筆すべきアイディアを持っていたそうです。それは、ワニの糞を用いるというショッキングな方法でした。

妊婦の膣に糞でできた膣坐薬を挿入することで、出産を制限し、流産を誘導したといいます。実際ワニの糞は、わずかにアルカリ性であるので殺精子の性質を持っていることが研究でわかっているそう。しかしそれは中絶ではなく避妊としての効果が高いということなので、妊娠中に行っても意味がなかったようなのですが、なんにせよ、糞を膣の中に入れること自体、今では考えられない行為ですね。

毒蛇、カラスの卵をまたぐ

「大プリニウス」と呼ばれた古代ローマの博物学者、ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(紀元後23年生まれ)は女性の体については熟知していませんでした。彼は、月経中の女性は一目で蜂の大群を殺すと考えていたそうです。そして、中絶を求める女性に対しておかしなアドバイスをしていました。

彼は自身の著書には、「妊婦はクサリヘビという毒蛇をまたげば、間違いなく中絶できるだろう」と書いているのです。カラスの卵もまた、またぐことで中絶をもたらす方法として紹介しているのですが、もちろんどちらも効果がありません。なんとなく見た目も邪悪な生物なのでわからなくもないですが、何かをまたぐだけでお腹の赤ちゃんが息を引き取るなんて、なんとも邪悪なアドバイスをしていたものです。

自分でジャンプしてお尻部分を蹴る

古代ギリシアの医者で知られるヒポクラテスは、中絶行為自体に反対していましたが、彼の著書ではとある中絶方法を勧めています。それは「妊婦自身がひと蹴りごとお尻部分にかかとがつくように飛び跳ねる」という何とも原始的な方法です。お尻を蹴ることで、お腹の赤ちゃんを動かすという考え方のようです。

この方法は後に「Lacedaemonian Leap」という名で知られるようになりましたが、こうした外的な運動でお腹の中を揺り動かすやり方は、もちろん現代では中絶を引き起こすものとは考えられてはいません。またこれは薬や道具などの中絶方法を選択できない、貧困層の女性の中で行われていたと考えられています。

歴史を知ることで見えてくることも

先日話題になった自民党の今津寛衆院議員による高校生の中絶についての発言は、「セーラー服」というワードを敢えて持ち出した点や、大元の議論からの逸脱などで批判を浴びています。

もちろん、高校生だけでなく女性全般における中絶のあり方を議論していくことは大切です。しかし、そもそもの中絶の倫理観や性教育について考える際には、医療技術が進歩した今だからこそ、こうした歴史を振り返ることで見えてくることもあるのではないでしょうか。

参考記事:Huffington Post

(石狩ジュンコ)