消えた目撃者と悩ましい遺産

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戦前から戦後にかけて、東京ではエノケン(榎本健一)、ロッパ(古川緑波)に代表される"軽演劇"が一世を風靡しました。年配の人から若い人まで、あらゆる年代の人達が一緒に笑える大衆的なお笑いを目指し、やがて東京喜劇と呼ばれるジャンルを確立していったのです。その伝統を受け継ぐ三宅裕司が率いる『熱海五郎一座』の新橋演舞場公演が今年もやってきます。

由来は「伊東」の手前で「四朗」の次

この一座は、伊東四朗と三宅裕司を中心に結成された『伊東四朗一座』がベースとなっています。伊東四朗が参加できなかった回に『熱海五郎一座』と銘打ち公演を行ったことがきっかけとなって、三宅裕司が率いる場合は『熱海五郎一座』と称するようになりました。ちなみに、名前の由来は、伊東の手前が熱海で、四朗の次は五郎、ということだそうです。

新橋演舞場で公演を行うようになって今年で4回目。今では毎年5万人以上を動員する人気公演に成長しました。

三宅が常にこだわっているのは東京喜劇。万人に受け入れられるお笑いに徹し、時には歌やダンスなども取り入れた、娯楽性の高い舞台を目指しています。冒頭のシーンから休憩を挟んで2幕のエピローグまで爆笑の連続で、ラストにはホロリとさせられるという物語構成は今回も変わらないはずです。

今年の物語はミステリー

夫婦デュオのボーカルとして活動していた京香は、類まれなる美貌の持ち主。相方の不祥事で芸能界を引退し、今は銀座の高級クラブで働いています。彼女の周りには医者、僧侶、弁護士、検事といった胡散臭い男たちがうごめいています。秘密裡に相方の救済に動く彼女ですが、次から次へとミステリアスな出来事が降りかかってきます。絡み合うそれぞれの思惑......そして、全員を巻き込んだ法廷闘争へと突入していくのです。

出演者は、三宅の他に毎年おなじみの渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太に加え、東貴博と深沢邦之がダブルキャストで交互出演します。それぞれが人を笑わせることにかけては一流の役者たちで、時にアドリブなのか台本通りなのかわからない掛け合いが行われ、抱腹絶倒の舞台が展開されます。休憩が入るものの3時間笑いっぱなしで、1500席の新橋演舞場は観客が笑うたびに大きく揺れているように感じられるほどです。

そして今回のゲストは藤原紀香。高校時代に落語研究会に所属していたということで、意外にもお笑いのセンスも抜群という噂も。

芸能界、仏教界、法曹界、サービス業界を舞台に、歌あり、ダンスあり、ミステリーありの大爆笑エンターテインメント作品です。

じめじめした梅雨を乗り越えるために、思いっきり笑いに新橋演舞場へ行きませんか?

熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第四弾 フルボディミステリー『消えた目撃者と悩ましい遺産』

6月2日(金)〜6月27日(火) 新橋演舞場
作:吉高寿男
出演・構成・演出:三宅裕司
出演:渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博/深沢邦之(交互出演)
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
ゲスト出演:藤原紀香
作品の詳細は公式サイトで。