『ワイドナショー』出演で批判殺到の31歳人気俳優、“政治的発言”を巡るバッシングに違和感の理由
 10月6日に放送された『ワイドナショー』(フジテレビ)に出演した笠松将が、政治に対して「無関心」だと話題である。

 まただよ。関心・無関心問わず、芸能人が政治にからんだ途端にこうなる。でも笠松の無関心の場合、政治的無関心を包み込んだ政治的態度とも考えられる。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、政治的な発言を多く遺した昭和の名優にふれながら、笠松の希少な気質を読み解く。

◆確かに正論だけれど……

「政治は僕、まったく詳しくないんで」

『ワイドナショー』に初めてコメンテーター出演した笠松将が、そう前置きしながら、10月1日の石破茂総理による就任会見映像に対して「嘘ばっかり」と言うMCの東野幸治にふられ、「石破さんの『言ってたことと違う論争』でいうと、誰がなってもこうなる。そうなると、つついている部分が違うというか、周りに原因があるのかなと。石破さんをたたくのは違うのかなと思います」とコメントした。

麻生太郎最高顧問の話題では、東野が「権力闘争に対しては興味もないし、そんなことよりも」と笠松のコメント中に代弁的に補足しようとすると、「僕はそもそも詳しくないんで、知らない漫画の13巻からでてきたマンガキャラクターたちがすごいこんなんやってるけどみたいな、誰だよっていう。もちろん知ってますけどねみなさん」と。

フリーアナウンサーの豊崎由里絵がすかさず「おっしゃることわかりますけどでもこのあとやっぱ選挙があるので、ボールが私たちに投げられちゃうわけですよね。それを考えると、この人がどういう人で、今後どういうことを計画してるのかっていうのは、やっぱり今みておかないとなかなか選挙行動に結びつかない」と食いぎみで制する。確かに正論だけれど……、もうほんと勘弁してくれ。

◆「ぶっちゃけ、えっ、時間もったいなくない?」

 この続きはあまたのこたつ記事にお任せしたいところだが、でもこのコラム内で笠松の発言のいいところだけが切り取られて誤読されるのは嫌なので、もう少しだけ詳述してみる。

 豊崎からの指摘を受けて「そこが結局は、でも何もじゃあよくなったか、わるくなったかっていったときに、よくなってないが何年も続いてるわけですよね。もちろん、よくなってるとこもある。悪いところもある。てなったときにじゃあみててもみてなくてもそうなるんだったら、もっとなんか他のことやったほうがって、思っちゃうんですよね、僕は」と笠松。

 さらに「ぶっちゃけ、えっ、時間もったいなくない?」と続ける。笠松の発言に対して、東野からコメントを求められた泉谷しげるが「ばか野郎ですよ」と言ってスタジオは笑っていた。

◆泉谷しげるの発言「国民が変わっていけばいいだけ」は…

「政治家が変えられないってことはみんなわかってるわけでしょ。選んどいて自分たちが変わっていくのさ。国民が変わっていけばいいだけの話じゃん」と諭すように語る泉谷は、いい感じのことを言ってる気もするが、ちょっと乱暴な言い方かなとも感じる。

 国民が変わるというより、国民が選ぶ政治家が変わると言った方がより正確である。石破内閣では何より内閣支持率が重要で、国民を味方につけなければならないのに、早期解散によって衆議院選挙の投開票が10月27日に行われる。国民の「判断材料」は? 東野が言うように単に「嘘ばっかり」内閣なのか。当初の石破総理に対する民意が問われるわけだから「選挙行動」は必須。

 選挙が近いのに政治に対する無関心が広まってしまっては困る。でもMCの口から最初に発せられたこの無関心という言葉ばかりが強調されるのは、なんだかあまりにも野暮ったい。