男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「年上の美女を落とせなかった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:年上の美女を落としたい…頑張ったのに男が振り向いてもらえなかった、たった1つの理由とは




二度目のデートの帰り道。突然、亮之助が真顔になった。そして遂に言われてしまった。

「碧さん、僕と付き合ってもらえませんか?」

― どうしよう。

真っ先に思ったのが、こんなことだった。外見も良いし、若くて可愛い年下の亮之助。本来ならば喜ぶべきだろう。けれども自分としては、今このタイミングでYESという感じでもなかった。

「…ありがとう」

そう言いながらも、どんな言葉を並べれば彼が一番傷つかないかを考える。

「亮之助くん、ごめんなさい。亮之助くんはすごくいい人だし大好きなんだけど、でも今のままがいいというか…。これからも仲良くしてもらえると嬉しい」

ここまで言うと、亮之助はまるで子犬のようにシュンとした表情になった。

「ダメですか…?」
「ごめんね。でもそう言ってもらえて、本当に嬉しい」

こんなストレートな告白をされて嬉しかった。でも私には、彼と交際しようと思えない理由があった。


A1:年下なのにリードしてくれていた点。


亮之助と出会ったのは、同期の琢也からの紹介だった。「今何してる?大学時代の後輩と飲んでいるんだけど、来ない?」というカジュアルな誘いに乗って顔を出した席に、亮之助はいた。

「亮之助、紹介するわ。同期の碧」
「初めまして。亮之助です」

私をじっと見つめてきた彼は、端正な顔立ちをしていた。

しかも話してみるとモテそうな外見とは裏腹に、真面目でとても腰が低かった。

「亮之助くんって、いい子だね」
「いい子って言われても、男は嬉しくないですよ」
「え!そうなんだ。ごめん。じゃあ…カッコイイね」

この日、すっかり盛り上がった私たち。後日亮之助からデートに誘われたとき、私の返事はもちろんYESだった。

しかも亮之助は、デートで私の好きな『あじゅう田』を予約してくれていた。




最初、来たことがあると言うべきか悩んだ。でも私のほうが年上だし、この有名店を知らないほうがおかしい。だから私は素直に、そして彼のプライドを傷つけないように気をつけながら、感謝を伝える。

「このお店、好きなんだよね」

すると亮之助は少し照れながらも、笑顔で私のほうを見てきた。

「知ってましたか?すみません、碧さんが好きそうなお店がわからなくて…」
「ううん。むしろ私の好きなお店で嬉しいよ。ありがとう」

年下ならではの卑屈な感じもないし、とにかくまっすぐで性格が良い。顔だけでなく性格まで良いなんて、最高だ。

「碧さんは、何が好きですか?」
「私は何でも好きだけど…亮之助くんは?」

食事が始まる前も、『春子鯛』をはじめとする美味しいお鮨を食べている最中も…。亮之助は常に私のことを知ろうとしてくれていた。




そんな彼のリードのおかげで、いつの間にか私もたくさん話していた。

「じゃあ亮之助くんって、幼少期は海外にいたの?」
「そうなんです。とは言っても2年間だけですし、幼かったから全然覚えていないんですけど」
「かっこいいね。いいなぁ。私も海外生活したかったな」
「碧さん、ご兄弟とかいらっしゃるんですか?」

会話が詰まりそうになったらさりげなく話題を振ってくれるし、お酒がなくなりそうになったらすぐに気がついてオーダーしてくれる。

「私は三姉妹の末っ子だよ。だから要領もいいし、親からも姉からも甘やかされて育っちゃって。だから今でもつい人に頼っちゃうんだよね」
「へ〜。意外ですね」
「亮之助くんは?」
「僕も末っ子です。あ、碧さん何飲まれますか?」
「じゃあ私はもう一杯ワインでも飲もうかな」

年下なはずなのに、頼れる点が多かった。

だから解散する際、キラキラとした目で次のデートに誘われたとき、私もかなり乗り気だった。

「碧さん、すごく楽しかったです。また次もデートしてもらえますか?」
「私もすごく楽しかった!もちろんだよ、いつにする?」

ただ2回目のデートで、彼は“友達枠”へと降格することになる…。


A2:“強くてカッコイイ年上のお姉さん”のレッテル貼りが辛い。


2回目のデートでも、亮之助のまっすぐな感じは変わらなかった。

「碧さん、今日もありがとうございます」
「こちらこそ」
「会えて嬉しいです!」
「亮之助くんって、まっすぐだよね」
「そうですか。思ったことを言っただけです」
「そのストレートさが、眩しいよ(笑)」

話しながら気がついたのだが、私は彼のことを気になっているけれど、まだ100%好きなわけではない。“もう少しゆっくり知りたいな”と、思っていた。

またこのデート中に、「彼と付き合うのは無理」ということを決定づける発言を聞いてしまったのだ。




「ちなみに…。碧さんって、どういう男性がタイプなんですか?」
「私は頼れる人かな。亮之助くんは?」

三姉妹の末っ子として育ったせいか、私はとにかく甘えたい。恋人は大人でリードしてくれる人がいい。でも亮之助からの視線を感じ、嫌な予感がした。

「僕は甘えさせてくれる人ですね。年上で、サバサバしていていて…。自立している人が好きです」

そう言いながら、私のほうをじっと見てくる亮之助。

「碧さんって、まさにそんな感じですよね。姉御肌って感じだし、サバサバしていて大人だし」

― 出た…。このパターンか…。

外見のせいか、性格のせいなのかはわからない。けれども私は、“姉御肌”と言われることが多かった。

でも実際の私はそんな良いものではないし、むしろ男性には思いっきり甘えたいタイプだ。

「それ、よく言われるけど私自身は全然そんな感じじゃないんだよね〜」
「そうなんですか?」
「うん。末っ子だから基本的に甘えたいし。なぜか甘えられることが多いけど」
「碧さんを見ていると、甘えたくなるんですよ」

― いや、だから違うんだって。私は甘えてくる男性苦手だから。

心の中でそう叫ぶ。甘えたい派か、甘えられたい派か。男女ともに、二つに別れると思う。

私は、断然前者だった。だから私の表面的なところだけを見て「甘えたい」とか言ってくる男性は、本当に無理だった。

「そうなの?まぁたしかに面倒見が良いから後輩に慕われるけどね」

そしてトドメとなったのが、亮之助のこの言葉だった。

「わかります。碧さんって、仕事もバリバリしていてカッコイイし、つい頼りたくなる強さがありますもん。まさにバリキャリって感じがして」




どうして30歳を過ぎた女がひとりで頑張って働いていると、“バリキャリ”という無駄な言葉で括られてしまうのだろうか。

人によるけれど、私は「強い」と言われるたびに違和感しかなかった。私だって1人の女性として、誰かに甘えたいし弱い部分もたくさんある。

「本当?私弱いけどな」
「そのギャップもいいですね」

― 彼と交際したら、“頼れるお姉さん”を…いや、“お母さん”を求められそうだな。

マザコンがダメとは言わない。でもそういう役を演じてくれる女性を探しているならば他を当たってほしい。

「碧さん。もう一軒どうですか?」
「いいね。行こう!」

そして二軒目で、亮之助は急ピッチでお酒を飲み始めた。

「亮之助くん、大丈夫?飲み過ぎじゃない?」
「全然大丈夫です」

― 違うよ。今じゃないよ?今日じゃないよ?

そう思ったけれど、私の予感は当たり、亮之助はこの帰り道に私に告白してきてくれた。

告白してくれたという行為自体は嬉しいし、本当にありがたいと思う。でも私の中ではYESと言えず、少しうやむやにしながらも断ることにした。

▶【Q】はこちら:年上の美女を落としたい…頑張ったのに男が振り向いてもらえなかった、たった1つの理由とは

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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