彼とのカンケイ、満足してる? アラサー女子「セックス」の悩みを産婦人科医に相談してみた
彼のことは大好きだけど、セックスに満足できない……そんな悩みを抱えた人もいるのではないでしょうか? 性交痛や感染症などお互いの体に関する不安や、「ちゃんと彼は気持ちいいのかな?」という精神的な不安など、二人の関係を良好に保つための悩みは尽きません。
そんな「セックス」についてのモヤモヤを抱えるアラサー女子のリアルな悩みを、産婦人科医の坂本愛子先生にぶつけてみました。
■<悩めるメンタル編>彼とのセックスを楽しむためには?
――相手が気持ちいいのか気になって行為に集中できません。うまくリラックスするにはどうしたら良いですか?
お互いが本音を話し合える対等な関係になっていますか? 相手がどう思っているのか、自分もどう思っているのか、話し合えると良いですね。
挿入行為だけがセックスではありません。オルガニズムに達するのは、二人同時でなくても、相手との交互でも構わないのではないでしょうか。本音を言える関係になって、お互いがストレスを感じずにMake Loveを楽しんでほしいと思います。
――まったく性欲が湧かずに、彼を困らせてしまうことが多々あります。性欲を掻き立てる方法があれば教えてほしいです。
性欲が湧かないという状況を彼に相談してどうしたらいいかの代替案を二人で考えられたら理想的ですね。
今は、女性向けのセルフプレジャー用品なども売っています。二人の満足は二人でしか答えは出せないもの。うまくフェムテック用品などを利用してみるのはどうでしょうか。
――彼氏が早漏です。それは仕方ないのですが、私が不完全燃焼な部分があり、心の置きどころを見出せず困っています。相手のことは好きなので関係を終わらせる気はないのですが、どのように気持ちを切り替えたら良いでしょうか?
彼氏が早漏、とのことですが、医学的には、挿入から1分以内に射精する場合を『早漏』と定義しています。自分たちで改善をはかれるメンズトレーニングカップというのがTENGAヘルスケアから発売されていますので、彼のトレーニングに一緒につき合ってあげるのはどうでしょうか。
そして、あなた自身が不完全燃焼していることを彼に伝えて、乗り越える方法を二人で見出してほしいと願います。
■<つらい痛み編>性交痛はどう対処する?
――何年も性交痛に悩まされています。以前、ウォシュレットを使っている人は濡れにくいという意見を聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか?
性交痛は、腟入口部の痛みなのか、濡れ不足なのか、腹腔への刺激痛なのか、などによって対策が変わります。
腟入口部の痛みは挿入行為自体の不安感が主となっていることが多く、濡れ不足は閉経後や興奮不足などで起こりやすいです。腟の奥やお腹の方に響く痛みは、子宮内膜症などの病気が危惧されます。いずれにしろ、程度がひどければ受診をおすすめします。
ウォシュレットは外陰部を洗浄するものですので、濡れやすさと関連してるとは考えにくいです。ビデのような腟内を洗浄するものは、やりすぎると常在菌のバランスを崩しますので乾燥感につながると思います。
――セックスの時、膣の入り口付近は濡れているのですが、挿入をすると中があまり濡れておらず痛みを感じることがあります。なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
腟入口部と腟内の湿潤が違うというのは聞いたことがありませんが、性交痛があるためにそのように感じるのではないかと予想されます。
診療では、乾燥感による性交痛にはゼリーを紹介することが多いです。最近は、ゼリーたっぷりのコンドームも販売されています。そのようなグッズを使ってみるのはどうでしょうか? 痛いのを我慢していると二人とも満足できないので、二人で色々と楽しんで試してみると良いかと思います。
――セックス直後や翌日に、子宮のあたりが痛くなることがあります。時間が経てば治るのですが、病気の心配などはあるのでしょうか?
セックスをきっかけに起こる腹痛はあり得ます。代表的なものは卵巣出血といって、排卵後のタイミングで卵巣からの出血が多くなり、腹腔内出血を起こすものです。
他にも、子宮内膜症やクラミジア感染なども下腹痛の原因になり得ます。痛みがひどかったり、頻回だったりするのであれば、一度受診することをおすすめします。
■<こわい感染症編>セックスには病気のリスクがあるの?
――セックスをするのは好きなのですが、感染症などの病気がこわいです。感染対策のために気をつけることや、考えられる感染源・病気のリスクなど教えてください。
セックスに対するリスクは、妊娠と性感染症です。
医学的な妊娠・出産適齢期は22〜26歳です。しかし、女性の初婚年齢が平均30歳を超えている現代では、結婚した時点でそれを超えています。37歳を過ぎると不妊治療をしても妊娠率は低下し、流産率が上がります。妊娠しやすい年齢は意識しておいてほしいです。
また、感染症に関しては、定期的にお互いに検査をするのも一つの方法です。最近は、コロナ感染の自己検査の様に、性感染症も自分で検体を採取して郵送して検査ができるキットも売っています。保健所で無料かつ匿名で受ける方法や、人間ドックとして感染症チェックを受けるコースを準備している医療機関もあります。もちろん疑う症状があっての受診では、保険診療としてどこの産婦人科でも検査・治療ができます。
感染を防ぐには、挿入の最初からコンドームを使うこと。女性は性器よりも咽頭に感染している可能性が高い、という文献もあるため、口腔性交でも使いやすい味つきコンドームも使うのも検討してみてください。そして、感染の機会を減らすために、パートナーを特定することも大切です。
性感染症は数多くありますが、男性に多いのは「クラミジア」と「淋菌」、女性に多いのは「クラミジア」です。クラミジアは女性の腹痛や不妊の原因になります。クラミジアも淋菌も、治療が簡便化されており、1回飲むだけ、または1回点滴するだけ、です。
HPVという子宮頸がんに関係する感染症にも注意が必要です。2025年までの3年間は、打ちそびれた年代(高校2年生〜25歳まで)の人なら、無料でキャッチアップ接種が受けられます。3回で5万円のワクチンが無料で受けられるので、該当する人は各自治体に問い合わせてみてください。
そして、20歳以上なら子宮頸がん検診のお知らせが各自治体から来ると思いますが、検診も婦人科を受診する良い機会です。ぜひ、機会があるごとに婦人科を受診をして、女性器のメンテナンスと基礎知識を得てほしいと思います。早いうちから、生理調節や避妊、妊活準備など、将来に備えたケアをしておくことをおすすめします。
(監修:坂本愛子、イラスト:爽あゆみ)
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