107年の歴史を誇る、東京を代表するホテルのひとつ「東京ステーションホテル」。

東京駅が開業した翌年の1915年、当時では数少ない欧州スタイルのホテルとしてオープンした。

内観もクラシカルで、タイムスリップにも似た独自の滞在は、宿泊した者のみが知るひとときだ。


新幹線が帰省先の静岡から東京駅に到着して改札を出た1分後、私は「東京ステーションホテル」にチェックインしていた。タッチ&ステイのスピード感がたまらない。

海外の空港のホテルに泊まるのにも似ていて、旅気分がいつになく盛り上がる。



#宿泊者専用入口が東京駅正面 #もの凄い立地のドア #東京駅 #住人気分

東京駅中央左側にある宿泊者専用エントランス。フロントを通らず客室に行けるので、お忍びステイには最適


そんな非日常をより楽しむために選んだのは、“川端康成の部屋”と呼ばれる3081号室だ。

文豪が1ヶ月こもって小説を執筆した背景にも惹かれるが、部屋からの景色も面白い。



#ホテルルーム #川端康成 #文豪御用達 #客室指定


川端康成が『女であること』を執筆したとされる3081号室。

1958年に映画化され、この部屋に女性客が殺到したとか。



#天井高 #シャンデリア好き #ベッドボードが素敵 #駅舎内


クラシックな洋建築で都内ホテルには珍しいほど天井が高い。英国のデザイン会社が手がけた洗練空間だ。

1泊1室62,385円〜。



#築108年 #東京駅 #復原 #赤煉瓦の中 #鉄道好き

2012年のリニューアル時に復原されたドームの内部。重要文化財であることを尊重した職人の手仕事を感じる装飾


カーテンを開けるとそこは南口改札のドーム。

改札をひっきりなしに出入りする人の流れが見え、近いのに誰もこちらに気づかないので異世界に紛れ込んだ気分である。

ドーム天井には復原された彫刻が見え、その眺めも醍醐味だ。



#杉本壽さん #レジェンド #バーテンダー #マティーニ #調子でた

現在『オーク』は金土日と祝前日のみの営業。杉本さんは月火木は『カメリア』に立つので、そこで会うことも可能


次に、歴史あるホテルでは歴史ある人に会いたいとバー『オーク』に向かった。

御年82歳になるマスターバーテンダーの杉本 壽さんは、同ホテルでお酒を作り57年。

「このバーは元客室で壁紙を剥がしたらレンガが出てきて」といった御大こそ知る話とともに味わうマティーニは最高の食前酒だ。

予約を受けず常に満席だが、開店直後の17時は高確率で座ることができる。



#和牛ハンバーガー #肉厚パティ #おかわり #とまらない

「OKAWARI」はランチ・ディナーで提供。食事のみはオンライン予約で6,000円、フリーフロー付7,000円、当日予約は+580円


そうしてマティーニで胃を開いたら『カメリア』でディナー。

目的はメインディッシュが食べ放題でフリーフローも付けられる「OKAWARI」というコースだ。

和牛バーガーもシュリンプフライも、食べ終わると店員さんが「おかわりはいかがですか?」と聞いてくれる。

なんとも太りそうで魅惑的なプラン!



#廊下 #ノスタルジック #東京駅駅舎 #国の重要文化財

廊下には東京駅の変遷を感じさせる写真やポスターが並び、まさに歴史探訪。改修前を含める100点以上の資料を展示する


無限つまみに杯も進み、ほろ酔いの館内散歩で廊下に飾られた大正〜昭和のポスターや写真を眺めるのもまた一興。

廊下は南北で約80mずつもあり、まるで長い車両内のギャラリーなのだ。

部屋に戻ったら文豪気取りで原稿を書くつもりがベッドの気持ち良さに撃沈。



#朝食ビュッフェ #ビュッフェのなかでも上質 #信頼できる料理長

駅舎屋根裏の『アトリウム』でいただく朝食ビュッフェ。基本、小皿に分けられフードロスも少ないのが好感度大。5,500円


翌日もただのんびりして筆は進まず、原稿用紙のメモに「ありがとうございました。また来ます!」と書置きして東京駅を後にしたのだった。



ノスタルジックな雰囲気が漂う時空間は、ゲストたちに最上級のくつろぎを感じさせてくれるだろう。