森真悠子さん(39歳・仮名)は都内でOLをしながら埼玉県でアパート暮らし。リモートワークに切り替わってから、自分の時間が増えたそうです。

今までは残業も少し多かったため、時間に余裕を持てるようになったのはありがたいこと。しかし真悠子さんからすれば「忙しい方が良かった」とのことで……。

「みんなやっているみたいだし...」興味本位でアプリに手を出したら

「暇だと余計なことを考えてしまいます。時間もあるし寂しいから、マッチングアプリをやめられなくなりました」

そう言ってスマホに入ったマッチングアプリをいくつか見せてくれました。インストールしているのは5つほどありましたが、積極的に活用しているのは3つ。課金もしているヘビーユーザーだと言います。

彼女がマッチングアプリにハマったのは約1年前から。サイトなどに表示されるバナーを見て興味を持ったそう。

「昔出会い系ってすごく危ないイメージだったじゃないですか。それなのに色々なサイトやアプリ内でマッチングアプリのバナー広告がたくさん出てくる。そんなに良いものなの?って思ったら、俄然興味が湧いてきちゃって」

調べれば調べるほど「アプリで結婚した」「アプリで恋人ができた」「若者はアプリで出会うのが普通になっている」など、今までのマイナスイメージを払拭するような情報が出てきたのだとか。

まずは興味本位で登録し、見事にマッチングアプリデビューを果たしたのです。

しかし当時の真悠子さんは二つ年上の旦那様がいました。結婚歴は5年、子供もいなかったのですが、なぜアプリに手を出してしまったのでしょうか?

「結婚後好きでいられたのは本当に半年くらい。あとの4年半はすっかり冷めきっていたんです。浮気もしないしモラハラやDVもないけれど、合わないと思う部分が多すぎて……。安月給のサラリーマンだったというのも冷めた理由の一つですね」

彼女の不満は結婚前に確認できそうな部分ばかり。性格や収入面をどのように考えて決断を下したのでしょうか?

「本当に自分でもそう思います(苦笑)。彼とは1年くらい付き合っていましたが、お互い結婚も全く意識してなかったんです。周りが“二人とも年齢が年齢だし、早く一緒になったら?”とせかすので、仕方なく籍を入れてしまった。スピード婚ってやつなのかも。だからそれまで同棲さえもしておらず……。いざ一緒に住んでみたら生活リズムや、家庭に対する価値観も全く違いました」

カップル時代も週1回、あるいは二週間に一度会う生活を続けていただけ。確かにそれでは性格の細かい部分や価値観が分からないのも無理はありません。一緒に旅行も行ったことがなく、お互いの親に会うのも結婚する時が始めてだったのだそう。

更に夫はあまり仕事に対する向上心がなく、「今あるお金で賄えばいい」というタイプでした。

「すごく素朴な雰囲気をしているので最初はそれが良かったんですけど、全く飾りっ気もない。結婚当時の相手は36歳でしたけど、悪い意味で実年齢より幼く見えました。物欲もないので生活が困ることはなかったんですが、オトコとしてギラついた部分もない。ずっとこの人と平凡すぎる生活が続くのかと思うと、刺激がなかったと言いますか……」

安定はしているけど新たな刺激もトキメキもない。かといって浮気をする勇気もない。真悠子さんは悶々としたまま結婚生活を過ごしていたそうです。

奥手な自分にとって、アプリでの出会いは衝撃だった

「だって私、モテないですもん。今までの人生でお付き合いした人はたったの3人で、そのうちの1人がダンナ。友達には“ちょっと遊んじゃえば?”とか、“合コンこっそり行こうよ”なんて言われたけど、行ったところで声もかからないしなと思ってしまい......。だから仕方なく我慢し続けたんです」

この日の真悠子さんはショートカットの黒髪にえんじ色のタートルネック、黒の無地のタイトスカートを履いていました。中肉中背で化粧っ気のなさがまさに年相応の女性といった感じ。落ち着いた雰囲気を持っているので、そういった部分を好む男性はいそうです。

しかし恋愛経験も少なく、ナンパもされたことがないために異性へのアプローチ方法が分かりません。そんな彼女にとって、マッチングアプリとの出会いは衝撃的でした。

「ひと言目に男性と何を話していいか、分からないんですよ。だからアプリを登録した時に相手のプロフィールがすぐ分かって、やりとりはメッセージで完結する。アプローチが苦手な私にとってはすごくイイ!って思ったんです。しかもイイネがたくさんくるので、モテない私でもたくさんマッチングするのが気持ち良くて……(笑)」

夫には内緒でアプリを始め、マッチングした男性とこっそりデートに行く機会が増えます。二人の結婚生活は冷めきっているので、どこかへ出かけるときも「どこへ行くの」といちいち聞かれることはありません。

それをいいことに様々な人と出会う真悠子さん。そして、とうとう運命を狂わせる男性とマッチングしてしまうのです。

「アプリで出会うことはあっても、皆一回きりでした。食事デートに行ってそのまま音信不通みたいな。けどある一人の男性は継続してデートをすることに成功したんです。彼は独身で年下、もうかわいくって……」

冷めきった結婚生活にはマッチングアプリの存在がより刺激的に感じたのでしょう。元夫に内緒で恋をした男性が現れた途端、歯車が狂い始め……。〜その2〜へ続きます。

アプリでの出会いがメジャーになっている今日この頃。ついついハマってしまう人も数多数。