検証! 流行りの兆しを見せる「マスク美容」の効果とは?

近年、花粉症や風邪・インフルエンザ対策といった用途以外にマスクを利用する「だてマスク」という言葉が生まれています。Yahoo!ニュース意識調査によると「すっぴん隠し8.8%」「防寒7.7%」「おしゃれ1.2%」という用途も生まれているようです。(2014年2月28日調査)。その中で一部の女性たちの間で流行の兆しを見せているのが「マスク美容」です。

マスク美容とは、一日中マスクをつけて、お肌を乾燥や紫外線、外部刺激などから守り、美肌効果を期待する方法のこと。実際、その効果はあるのでしょうか? また、長時間マスクを着用することについては、衛生面や肌トラブルなどの懸念があります。そこで、このマスク美容の効果や懸念点、有効な実践方法を検証します。

■肌の乾燥を防ぐ効果はある? 「ある程度は見込める」

フェイシャル専門エステサロン「クレッセンス」を営む美容セラピスト福島真由美さんによれば、「マスクの内側では、吐く息によって湿度が保持されるため、肌表面のうるおいが失われるのを防ぐことが見込める」のだそうです。また、マスクをしている部分は、紫外線に対して肌を保護することができます。よって、うるおいで肌の内側を守る役割の「バリア機能」を低下させるなどの、紫外線からの悪影響からも守られるので、乾燥や肌荒れ防止効果も期待できるそうです。

また、カナダに本社を置くマスクメーカー「メディコムジャパン」の担当者によれば、マスクの仕様の観点からしても、お肌の保湿効果はある程度見込めるようです。

■唇美容につながる! 「手でいじることを防止できる」

「ホワイトホワイトデンタルクリニック」院長で口元美容スペシャリストの石井さとこさんによれば、マスク美容は、唇の美容効果も期待できるそうです。唇のしっとり・ふっくら感を保つには、「なめない、むかない、こすらない(NMK)」がポイントになるそうで、マスク美容の「乾燥、紫外線、手でいじること、を防止できる」というメリットが、唇美容にも向いているとのことでした。

一方、マスク美容には次のような懸念点もあります。それぞれについて専門家の意見を元に検証してみます。

■マスクによって肌荒れ・肌トラブルが起きる?!

マスクの長時間着用で懸念されることのひとつとして、マスクが肌にこすれてしまい、肌荒れなどのトラブルを起こしてしまうことがあります。
「マスクのサイズが小さすぎたり、ゴムの圧迫が強すぎたりすると、頬の高い部分や耳まわりに摩擦が起きる可能性があります。」と美容セラピストの福島さん。

また、福島さんによれば、耳かけ部分のゴムやポリエステル、口当て部分の不織布など、マスクの素材によっても、肌荒れを起こしてしまう場合があるそうです。

さらに意外なのは、菌による肌荒れの可能性があることです。
口元美容スペシャリストの石井さんによれば、マスクの外側についた雑菌よりも、マスクの内側についた自分の唾液による菌のほうが多いそう。この唾液による菌がマスクの内側で肌に付着し、肌荒れが起きることがあるのだそうです。

■ニキビが悪化する?

マスクをすると保湿効果が期待できますが、一方でニキビにとってはマイナスになることもあるようです。福島さんによれば「マスクに覆われた部分は、吐く息によって温度・湿度ともに高くなりやすいため、肌表面に雑菌が繁殖しやすい環境になりやすいこともあります。その影響で、ニキビが悪化する可能性があります」とのこと。また、肌にできたニキビがマスクとこすれることで、ニキビの炎症が進んでしまう恐れもあります。

ニキビができているときは、できるだけ肌に負担の少ないマスクを選び、長時間の着用を避けるなどの対処が必要になりそうですね。

「マスク美容」の実践方法4つとは?

■マスクはこまめに取り替える

一日中つけたマスクを2日連続でつけるのはもちろんNG。一日のうちでも、一度取り外してしばらく放置したものは使わないなど、マスクについた雑菌を意識して、新しいマスクを着用するようにしましょう。

■肌の負担を減らすために、しめつけが少ないマスクや、天然繊維でできたマスクを使う

肌へのこすれやしめつけが気になる場合は、耳かけのところが幅広のタイプのマスクを使って負荷を減らすという方法があります。また、肌が弱い場合は、天然繊維のマスクがおすすめです。「洗って何度も使える」「保護・保湿効果も不織布より期待できる」「しめつけが少なく柔軟度も高いのでこすれる心配が少ない」などメリットも多くあります。不織布が気になる場合は、内側に布を挟むのもおすすめです。

■化粧水などで保湿ケアをしてからマスクをすると、保湿効果UP

保湿効果を高めたい場合、化粧水などで保湿ケアをしてからマスクを着用するといいそうです。「肌の乾燥が気になる場合は、メイクの上から使えるミスト状の化粧水などで保湿してからマスクをしたり、マスク自体にアロマスプレーを噴霧したりするといいですよ。保湿だけでなく香りの力で気持ちもリフレッシュできます」と福島さん。

また、アロマオイル(精油)を使用してもいいそうです。福島さんによれば、抗炎症・抗菌力のあるティートリーやラベンダーのほか、花粉症の不快感にも役立つユーカリやペパーミント、レモンなどがおすすめだそうですよ。

アロマスプレーは精製水と無水エタノール・お好みのアロマ精油などで、自分で手軽につくることもできますが、安全のため濃度には気をつける必要があります。マスクにつけて使う場合には、アロマショップや美容サロンなどの、専門知識のある人に相談してから行いましょう。

■唇にバームをぬってからマスクをすると、唇の調子がよくなる

また、「唇美容の観点からしても、リップバームを厚めに薬指か綿棒で縦塗りしてからマスクをすると、より唇がしっとり、ふっくらしますよ」と、口元美容スペシャリストの石井さんが教えてくれました。

「“肌は表に出ている臓器”といわれるように、うるおった健康な肌を保つことは、全身の健康にも、つながります。」と美容セラピストの福島さん。マスク着用と並行して、冷えないよう身体をあたためる、食事バランスに気をつけるなど、全身の健康に気をつかうことで、マスク美容もより意味のあるものになりそうです。

(石原 亜香利)