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南青山野菜基地のオーナー、中通寛記さんにお店を作ったきっかけを伺った。「フリーランスでプランナーという仕事をしている時は、野菜のことを考えることとは無縁の食生活を送っていました。仕事帰りの深夜、コンビニで買ってくる加工された食品を、ただ同じように食べ続けている毎日でした。」

ラオスで見つけた野菜基地、
誕生のヒント

「そんなある時、効率的な事とか、儲けを追求する事っていうベクトルで生活が加速して行くところで一度立ち止まりたい瞬間があって、思い切って休暇を取ってラオスに旅行に出かけました。ラオスという土地に行ったことあります？ これが、本当に何にもないところなんです。でもそこで暮らす人々の生き様はとてもシンプルで人間味があった。それが今の僕にとって大きなヒントになった気がしています。」その国には、ビルもなく、仕事の締め切りもなく、通勤する人々もいない。ラオス旅行の最中、自分のこれからの生き方のヒントを得た中通さんは、帰国してすぐに「おいしい野菜」をコンセプトにしたカフェレストラン開店へ向けて猛然と着手。「誰にでもふと、このままでいいのかどうか立ち止まりたくなることってあると思うんです。そんな時、自然とか命とかっていう視点から、選択肢を与えられるようなお店を作りたかった。そうしてできたのが野菜基地です。根底のコンセプトは『生きている実感』。内装のコンセプトは『縁側』＝都市生活と自然のあいだ。」

そして、今の日本の食事情について中通さんはこんな風に続けた。「僕は思うんです。気付かぬうちにどこかで分岐してしまっていると。加工を繰り替えし時間を経たものを口に運ぶ生活と、生き生きとした新鮮な農作物を口に運ぶ生活が。食は『人』を『良』くすると書きます。なのに、巷に溢れる『健康』や『おいしい』という謳い文句と、その言葉と比例するように増え続ける日本を含む先進国の人びとのアレルギー反応や人命を脅かす病気。なぜなのか。僕は“真っ当”な野菜やお米にはその『ヒント』があると思っています。野菜基地に関わる人たち、それぞれの生き方にとって何かしらの『ヒント』がここで見つかればいいなと思っています。」

写真上：右 中通さんがラオスに行った際に撮影。仲良くなったおばさんのために中通さんが作った看板には「ラオ心あります。」と書いてある。左 店内のインテリアには、世界の食に関する本が置かれている。南青山野菜基地では、定期的に「野菜」をテーマとしたワークショップを開催している。野菜コラージュ絵本づくりや植物の葉や枝、花、皮、種、根っこなどから抽出したエッセンシャルオイルづくりをするアロマセラピーのワークショップなど、和気あいあいとしたムードのなか、大地が育んだ植物や野菜の命の力に触れられるような楽しいイベントだ。ワークショップ後の旬野菜を使った懇親会もお楽しみのひとつ。

"おいしい野菜"は、以前よりずっと私たちの暮らしに身近な存在となった。余計な味付けなどいらない。素材の持つ自然な甘みや旨みは、合成調味料にはない味の奥行きを奏でて、私たちのちょっとプリミティブな感覚を呼び覚ましてくれる。そんな野菜たちに触れ、食せば、心もほっこりとして、どこか癒やしにも似たゆるやかな安らぎを感じる。南青山野菜基地を訪れれば、きっとあなたもそんな気持ちを実感できるに違いない。

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南青山野菜基地

東京都港区南青山2−10−11 1F (MAP)
Tel：03-6447-1607（電話予約）
やさい食堂 ／11：30 〜 15：30
やさい酒場 ／18：00 〜 23：00
日曜定休・祝日不定休

Webからもご予約いただけます（Web予約）★ランチ（やさい食堂）のご予約は承っておりません。