犯人を見つけると“胸キュン”する女刑事の漫画。

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若いイケメンたちと、オシャレでカワイイ女の子たちが、恋だ愛だを展開していく恋愛ドラマ。筆者も若かりし頃は良く見たものだが、結婚して三十路も超えると、自然とあまり見なくなった。恋愛というものに興味が無くなったともいえよう。まあ、結婚して子供もいるのに、恋愛ジャンキーというのもおかしな話ではありますが。

ところが、筆者の妻は最近、育児の合間に恋愛ドラマを見るのが趣味になっている。毎日育児で大変な中、何をするにしても息抜きが見つかってくれたことは、夫としても嬉しい限り。ただ……。恋愛ドラマを見ているときの妻の目が、明らかに“ハートマーク”になっているのが、なんというか……。その……。

「若い子たちの恋愛模様を見ていると、なんだか胸がキュンとする」と、妻。まあ、悪いことではない。恋愛ドラマを見ることで、妻も、若い頃の様々な恋愛や、甘酸っぱい気持ちなんかを思い出すのだろう。それは何も、悪いことでは決してない。でも、ですよ……。

「あ〜、私も胸キュンしたい!」なんてことも言うんですよ、妻。え? 何を言ってるんだい? 不倫したいってこと? 「そんなことは言ってない。ただ、胸キュンしたいだけ」。ふむ……。今さら筆者に、胸キュンさせてくれということだろうか……。胸キュンて……。

どうしたものかと思い悩んだ筆者。まずは、妻の今の心境を理解してみようかと、妻が好んで見ている恋愛ドラマを、こっそり見てみた。すると……。あっ……。何コレ……。胸が、なんていうか……。キュッとなる感じというか……。いや……。コレは……。

胸キュンである。筆者も、見事に胸キュンしてしまったのである。妻の胸キュン願望を、あれほど「どうよ?」感たっぷりに見ていたというのに。この始末。でも……。ああっ……。胸キュンって、なんだか……。イイ……。

と、三十路オーバーのプチオッサンである筆者が、胸キュンに恍惚の表情を浮かべていても気持ち悪いだけですよね。すみませんでした。ところで。この“胸キュン”って、一体なんなのだろうかと、筆者は思ったのである。

感情は、心臓では生まれない。「好き」「切ない」「会いたい」といった気持ちは、脳で発生するもののはずだ。けれど、そういった気持ちが生じたとき、たしかに胸=心臓がキュッと締め付けられるようになる。つまりは、胸キュンが起きる。

調べてみると、どうやら脳で生まれた感情が自律神経に影響を及ぼし、それによって呼吸の回数が増えたり、発汗したり、心拍数が上がって胸がキュッと締め付けられたりするらしい。ビックリしたときのドキドキ反応と似ているように感じるが、胸キュンに不安や不快感が無い点において、それとはまた異なる。胸キュンは、あくまでも気分が高揚した上での反応だそうだ。

また、好きな異性と接触すると、脳内に「PEA」というホルモンが分泌されるという。このPEAは俗に「恋愛ホルモン」とも呼ばれ、この分泌によって脳が刺激されることで、やはり自律神経に影響を及ぼして胸キュンが起こることもあるらしい。

ところで、この「胸キュン」という言葉。広く世間に浸透したのは、80年代初頭にYMOの「君に、胸キュン」といった歌謡曲が大ヒットしたことに端を発する。今では一般的にほぼ死語ではあるものの、三十代より上の年代では、割とフツーに使われてもいるようだ。

さて、妻の「胸キュンしたい!」オーダー。お菓子メーカーの不二家が2010年に13〜39歳の女性を対象に実施した調査によると、「男性にしてもらったら胸がキュンとすること」の質問に対し、約7割の女性が「頭をなでられること」と回答している。

なるほど。女性は、頭をなでられると胸キュンするのか。よし。では…。と、筆者、妻の頭をなでてみることにした。すると……。「ちょっと、何!」「え? いや、頭をなでて君を胸キュンさせようかと……」「やめてよ、気持ち悪い! 気安く頭に触らないで!」。え〜……。
(木村吉貴/studio woofoo)