ある時期を境に体重が激減したチュートリアル・福田充徳さん。仕事のストレスでお酒の量が増え、急性膵炎になって2011年に緊急入院したことが原因です。背中に激痛が走ったと言う当時の状況を振り返ってもらうと── 。(全4回中の2回)

【写真】病気を克服し、今では小学1年生の息子と穏やかに暮らす福田充徳さんの現在(全6枚)

酒が残りすぎて仕事でベロベロで

息子さんとプールで楽しむ

── 2011年に急性膵炎で入院。もともとお酒が好きだったそうですが、明らかにお酒の量が増えたと感じた時期はありましたか?

福田さん:2006年にM-1で優勝して、東京の仕事が一気に増えて、はためにはうまくいってるように見えてたかもしれないですけど、自分自身としては「あぁ、今日もうまくいかなかったなぁ」って。仕事へのプレッシャーがあったかもしれないけれど、そのあたりから明らかに、お酒の量が増えていきました。

── 1日にどれくらいの量のお酒を飲まれていましたか?

福田さん:もともと350mlとか、500mlの缶ビールを2、3缶飲んでいたのかな。でも、仕事が忙しくなってからは1時間でビール2リットルとか、焼酎3杯くらい。深夜に仕事が終わり、翌日も始発で仕事があるとしても飲んでました。たとえば、金曜日の深夜2時まで生放送をやって、2時半くらいに帰宅したら、3時くらいから飲み出して4時まで急いで飲み、4時から5時まで1時間寝て、5時にはタクシーに乗って東京駅に向かって、大阪まで新幹線の始発に乗るとか。寝る時間も少しでも確保したいから、お酒を飲むスピードはかなり上がっていましたね。

── 時間がないから今日は飲まない、ではないと。

福田さん:なかったですね。今もそうなんですけど、寝つきが悪いからお酒飲んだら寝れるような気がしてしまって。本当はちゃうと思いますけど。

── お仕事への影響はありましたか?

福田さん:ありましたね。今、話した大阪の番組、トミーズさんMCの朝の情報番組なんですけど。M-1を取った翌年、2007年は徳井とふたり合わせて5回くらい、生放送に遅刻したんちゃうかな。ひどいですよね。もちろん注意はされましたけど、みんな優しくて、今はしょうがないよって。徳井はぼくみたいに飲んでないけど、M-1の後で忙しいからってスタッフさんも気をつかってくれたみたいで。たぶん、内心怒ってたと思いますけど。

あと、遅刻以外でも地方のロケ番組に出たとき。「さぁ、今回は広島県のどこどこにやってきました!」って冒頭で言うときに、酒が残り過ぎてベロベロで、何言うてるかわからない。コンビの仕事やったんで徳井が代わりに言うてくれましたけど、たぶんあきれてただろうし、腹も立ったんでしょうけど、怒ってもけんかになるだけなので諦めてたんじゃないですかね。温厚な人なんで。もちろん「お前大丈夫なんか?」みたいに聞かれたことは何回かありましたけど「大丈夫言うてるやん!」と言いながら、飲むのはやめないですよ、そんなん。M-1から少し時間が経つと、忙しさは少し落ち着いてくるんですけど、飲む量はあんまり変わらなかったと思います。 

お正月に背中の痛みが「ただごとじゃない」


── その後、2011年に急性膵炎で入院。どのような状況だったのでしょうか?

福田さん:2011年にお正月休みがあって、この時期じゃないとなかなか連休がないんですよ。元旦の朝からずっと飲んで、寝て、夕方くらいに起きてまた飲んで、寝て、みたいなことを4、5日続けてたら、最後、次の日から仕事っていう前日に急にめちゃくちゃ背中が痛くなって。「ただごとじゃない!」と思ってマネージャーに救急病院を探してもらって急いで受診したら、急性膵炎と言われて即入院でした。

その後も10日くらい痛みが続いて、点滴で痛み止めも入れてもらえるんですけど、効いてるのか、効いてないのかわからない。薬が切れてやっと、「効いとったんや」ってわかる感じ。点滴も同時に4本くらい入れるんですよ。12時間の点滴が1本、8時間の点滴、6時間の点滴、2時間の点滴。入院してしばらくは絶食で水も飲めない。水を飲めたのは入院して1週間後、食事は10日後くらいやったかな。

結局、3週間くらい入院しました。前半は痛みがすごかったんですけど、後半は全然、痛みはなかったですね。点滴して寝てるだけなんで、早く退院して仕事したいなって思いながらようやく退院できた感じです。

── 退院したときは、またお酒が飲みたいと思いましたか?

福田さん:そのときはならなかったですね。お世話になった看護師さんとしゃべってるときに、「急性膵炎って退院したときに悪友みたいな人がきて、せっかくだから退院祝いやろうぜって言われて飲まされて、ワーってなってまた戻ってくる人が結構いる。そうならないでくださいね」って言われたんですよ。あと、さすがにこんなに仕事休んで大丈夫なのかなって思っていたし。退院後も自宅療養で1か月は家にいたんです。自分的には体調は問題ないから仕事に早く戻りたいって思っていたけど、お医者さんがまだ絶対ムリやって、許可がおりなくて。

── 仕事復帰は『笑っていいとも!!』だったそうですね。

福田さん:生放送が1時間あって、放送おわりに会場に来てるお客さんだけにアフタートークみたいなのが30分くらいあるんですけど、それ終わったときにギリギリ立っていられるくらい。体力めっちゃ落ちてたと思います。体重も15キロくらい減って、映像見たらげっそりしていて、自分でびっくりしましたね。

── 実際にお酒を口にしたのは、退院してどれくらい経ったときですか?

福田さん:2年ですね。仕事柄、打ち上げや飲み会に行くこともありますが、それまで飲まなかったです。退院後も定期的に検査に行っていて、退院から2年経過したときに、医者から「完全に膵臓が戻ってる。病気になる前の状態に戻った。ただあんまり飲んだらダメですよ」と。でも、戻ったと言われたので、番組の最終回の打ち上げか何かでちょっと一回飲んでみたら、すぐ酔いましたね。ビール1缶くらいですぐ。そこから、始めは月1回くらい飲んでいいことにしよう、週1くらいにしようとなり、最終的に毎晩、飲んでます(笑)。

ただ、これ以上飲んだらあかんとか、自制が効くようになったし、自分の状態を自覚することができるようになったと思っています。

PROFILE 福田充徳さん

ふくだ・みつのり。1975年生まれ。京都出身。幼稚園から幼馴染だった徳井義実と1998年チュートリアルを結成。2006年にM-1優勝。2016年に結婚し、現在は1児の父。

取材・文/松永怜 写真提供/福田充徳