「あなたの怪談、聞かせてください――」。ホラー漫画「水ムーちゃんねる 隣の晩怖談」では、作者水村友哉(@gontanopoo)さんが実際に聞いた・集めた・体験した「実話怪談」を描く。今回は、隣の晩怖談(ばんこわだん)より「鳩の鳴く家」を紹介するとともに水村さんに制作の経緯を聞く。

【漫画】「鳩の鳴く家」

■突然鳴き始めた鳩!外へ放つと、不審な飛び方をして…!?

【漫画】「鳩の鳴く家」


水村さんにホラー漫画を描くようになったきっかけを尋ねると、「子どものころ、水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』がきっかけで、妖怪やお化けの絵をよく描いていました。それが大きな軸となり、小学生の夢が漫画家となり、時間はほんとかかりましたが、現在こうして実話怪談漫画を描かせていただいている感じです。ほんとありがたいです」と、漫画家までの道のりを振り返る。

「鳩の鳴く家」02


今回紹介する「鳩の鳴く家」は、叔父が体験した実話。「子どものころから怖い話はよく聞いて回ったり話したりしていたのですが、実話怪談漫画を描くようになってから、あらためていろんな方に話を聞くようになりました。そのタイミングで祖母の法事があり、親族一同集まったときに“僕の漫画”の話になりました。叔父が幼少期からいろいろ体験したという話を聞き、意味不明な怖さがあったので、今回描かせてもらいました」

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水村さんが描くこだわりは「日常性」がポイント。「ちょっと笑えて、日常パートもあり、でも怪異がちゃんと怖くて、かっこいい…そんな漫画。それを意識して描いてます」

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幼いころの叔父は、母と兄、叔父、妹の4人暮らし。家は裕福ではなく、母は夜の仕事に出ていた。家は古く突き当たりにあるトイレは、夜は特に行けなくなるほど、気味が悪い。

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叔父の家では、鳩を飼っていた。ある日家で飼っている鳩が、檻から出たいと鳴きだした。叔父が外へ放ってやると、いつもと違い、やけにはしゃいでいて飛び方がおかしい。見ていると一羽は電柱に絡まり首を落とした。落ちた鳩を探すものの、姿が見つからない。「どこに行った?」と不思議に思っていると、その夜、隣人のおばあさんが「これ、あんたんとこのじゃないか?」と袋に入れた鳩を持ってきたのだ!!

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「隣の晩怖談」は、しゃもじを持って突撃する某テレビ番組「隣の晩御飯」からタイトルをオマージュしているという。また、「YouTubeのような怪談漫画を」という設定もあり、「水ムー」というフクロウがストーリーテラーになっているのもポイント。「古来よりフクロウとしゃもじは『魔除け効果』もあるので、ぜひ、水ムーの語りも飛ばさず読んでくださいね」と、水村さん。

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2024年8月29日に発売された第3巻には、「怪談ライブBarスリラーナイト」に所属しているプロの怪談師お二人の怖い体験談も掲載。「これは本当に怖くて、おもしろい。命に関わるような話もあったので、ホンモノの恐怖も味わえます。また、ほかの体験談も不思議かつクスッと笑えるシュールな体験談もあって、子どもから大人までも楽しめると思うので、ぜひ手に取ってみてください。

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リアルな実話から制作されただけあって、「なぜ鳩が、なぜおばあちゃんが…」と、つじつまがあわない出来事がリアル。さらには、夜中に兄の動向がおかしくなって…?

◆取材協力:水村友哉(@gontanopoo)