今週のテーマは「綺麗なお姉様からすると、5歳も年下の男は眼中ナシ?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:アプリで出会った年上美女と初デート。学芸大学駅の和食店を選んだら、2回目がなかったワケ




学大で食事を終えてタクシーに乗り込んだ途端。ドッと疲れが出てきた。

「疲れたな…」

マッチングアプリで出会った、5歳年下のイケメン篤。

最初はすごくいいなと思ったし、マッチした時に、真剣交際に進む覚悟で、真摯に向き合っていた。

しかし初めて一緒に食事をして、私は気がついてしまった。

「年下の甘い誘惑に、乗せられなくて良かった」と…。


A1:丁寧なメッセージが好印象だった。


篤と出会ったのは、マッチングアプリだった。そろそろ結婚がしたいなと思い、婚活目的でアプリに登録した。

すると比較的早い段階で、篤からいいねとともにメッセージが来た。プロフィールを確認すると同時に、私は驚いた。

そこには爽やかなイケメンが写っていたから。

身長180cm。鼻が高くて歯並びも綺麗な写真に、私は思わずいいねを返す。

― 篤:初めまして、あつしです。すごくお綺麗だったので、思わずいいねを押してしまいました。よろしくお願い致します。

それに、簡潔ながらも丁寧なメッセージも好印象だった。

― 亜美:初めまして、亜美です。ありがとうございます(笑)。

何度かやり取りをしているうちに、私は中目黒で、篤は恵比寿に住んでいることが判明する。

― 篤:良ければ近々会いませんか?

もちろん、会うに決まっている。こうして、私たちは渋谷の『WHITE GLASS COFFEE(ホワイト グラス コーヒー)』で実際に会うことになった。




しかし当日、篤から「5分ほど遅れる」と連絡が来た。

別に5分程度なら構わない。むしろ外が暑かったので、化粧直しをするにはちょうど良かった。

でも私が驚いたのは、遅刻のことではなかった。

「ごめん!遅くなって」

急いで来たであろう篤に対し、私は笑顔で対応する。写真通り身長も高く、顔も良い。

「全然大丈夫です。むしろ今日暑かったから、先に来て涼めたので良かったです」
「ごめんね。電動キックボードが近場で見つからなくて」

電動キックボードは便利だし、最近乗っている人も多いので特に気にならない。

でも私が感じた違和感は、篤の急なタメ語にあった。

― メッセージだとすごい紳士的な感じだったのに…。

でも年上だから偉いわけでもないし、敬語がマストなわけではない。どうしたものかと思いながらも話を進めてみる。

それに美味しいコーヒーを片手に話しているうちに、そんなことはどうでも良くなってきた。私の気にし過ぎかもしれないし、篤はいい人だったから。




「じゃあ篤くんは、営業職ってことですか?」
「そうそう…って、敬語やめない?」

私は、初対面の人には敬語で話したくなる。だからこちらは敬語が抜けなかったけれど、篤のフランクな態度のおかげで逆に距離が近くなれたようにも思う。

「じゃあお言葉に甘えて」
「亜美さんは?お仕事は何をしているんだっけ?」
「外資系のIT企業で働いてるよ」
「すごいね!」

初回は、お互いのことを根掘り葉掘り聞いているうちに終わってしまった。

正直、どうだったのかよくわからない。

― いい人だけれど、どうしようかな…。それに向こうも、5歳年上なんて眼中にないかもだし。

そう思っていてると、篤のほうからご飯に誘ってきてくれた。

「良ければ…また会えないかな?次はご飯とか」

これは、かなり嬉しい。次があるということは、向こうがいいなと思ってくれたという証。

多少でも良いから、こういう好意の証が欲しくなるものだ。

「もちろん!いつがいい?」

そしてすぐに、私たちはデートをすることになった。しかしここで、私は年下男の現実を知ることになる…。


A2:価値観が幼な過ぎた。


早速1週間後。私たちは食事デートをすることになった。篤が選んだのは、学芸大学駅にある創作系の和食屋さんだった。

「篤くんって、食事するの好きなの?」

雰囲気が良いお店だったし、私はレストラン巡りが好きなので、一緒だと嬉しいなと思ったから。

しかし篤自身は、そうではないらしい。

「いや、実は俺は全然詳しくなくて。同僚に聞いたんだ」
「そうなんだ。でもここのお店、雰囲気いいね!」

別にそこが合わなくてもいい、そう思っていた。しかしデートが進むにつれ、私の心の中ではクエスチョンマークが5個くらい浮かんでいく。

まずデート開始早々、篤は、やたらと値段のことを言ってきた。




「ここ、コスパがいいって聞いて」
「そうなんだ。私結構お酒飲むから助かる」
「それなら良かった!グラスワインも1杯1,000円以下だし。料理もそこまで高くないんだよね」

最初にそれを言われてしまうと、オーダーの時にすごく気を使う。半分払うつもりでいるけれど、自分だけたくさん飲んだら篤に負担をかけることになる。

篤の懐具合がまだ掴めていないだけに、かなり遠慮がちに飲むことになってしまった。

もしかしたら、この段階から疲れたのかもしれない。しかしその後の会話も、たいして盛り上がらない。

「亜美ちゃん、絶対モテるよね?どういう男性がいいの?」
「私は、尊敬できる人かな。篤くんは?」
「僕は仕事を頑張っていたりとか、自立している人がいいな」
「自立は大事だよね」

ここまで普通の会話だった。けれども篤は、急に私の家のことを聞いてきた。

「亜美ちゃんって今中目黒だよね?どんな家に住んでいるの?」

一瞬、どう答えるべきか考える。しかし嘘をついても仕方ないので、素直に答えることにした。

「駅前のタワマン、わかる?」

すると、篤は想像通りの反応をしてきた。

「え!?そこに住んでいるの?すご。俺の狭い部屋とか、絶対入れられないわ…」

自分の住んでいる家なんて、そんなすごい所でもないと思う。でもこうやって話すことで、相手に引かれたら嫌だなと思った。

そして一番嫌だったのは、篤が若干卑屈になり始めたことだ。

― 卑屈になられても困るんだよね…。




「ちなみになんだけど…年下はアリ?」
「全然大丈夫。年齢は関係ないかな。むしろ篤くんは大丈夫なの?私、5歳も年上だけど…」

本当に、年齢は関係ないと思う。年上でも年下でも構わない。私が気になったのは、年齢より篤の考え方だった。

「もちろん!前の彼女が年下だったんだけど、すごく幼くて…。年上の女性のほうが、落ち着いてるし包容力があるでしょ?」
「包容力があるかどうかはわからないけど…。年下の女の子よりはあるかな」
「でしょ?」

― ……これは“甘えられる、年上のお姉様”が好きなタイプか。

私自身、そこまで母性があるほうではない。恋人とは、対等な関係でいたい。

さらに決定打となったのが、「尊敬できない」ということだった。

「篤くんって、普段はどういう生活リズムなの?」
「平日は仕事帰りにジムに行って、週末はのんびりかな。大学時代の友達と恵比寿界隈で飲んだりも多いし、バラバラだけど。あとはお笑い芸人のYouTubeを見たり?」
「お笑い好きなんだ!」
「うん、好き。亜美ちゃんは?お笑い好き?」
「私は、テレビはほとんど見ないからなぁ…」

鬱陶しいかもしれないけれど、私は毎日英語の勉強をして将来に向かって頑張っている。

しかし篤の話を聞く限り、特に頑張っていることもなさそうだ。

「俺、そういう人好き。自分を持っていて、向上心ある人」
「そう?ありがとう。でも私さ、彼氏が欲しいし、結婚もしたいんだよね」
「僕も結婚願望あるよ!今すぐにでもしたいくらい」

結婚願望があるのはありがたいけれど、ここで問題なのはそこではない。

尊敬できるか、できないか。同じレベル感で、話せるか、話せないか。

結局はそれに尽きると思う。

そして帰り際まで、私は気を使うことになる。

「中目黒駅だよね?日比谷線まで一緒に行こうよ」
「いや、私はタクシーで帰ろうかな…」

基本的に私はタクシーで移動したい。けれども篤の目の前でタクシーに乗ることに対して、罪悪感を抱く。

― この人と一緒にいたら、こういう細かいお金の使い方も気を使わないといけないんだろうな。

年齢は関係ない。篤はとてもいい人だったから。

でもこんなうるさい年上女よりも、もっと「すごいね、かっこいいね♡」と言ってくれるような人と幸せになって欲しいと心から思った。

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