人に指摘することを恐れない。クリーンな職場をつくるコミュニケーション術

写真拡大

撮影:洞澤佐智子
取材・文:おてる/マイナビウーマン編集部

まだまだ新人だと思っていたのに、気づけばいつの間にか後輩が増えていて、なんと部下を持つことに……。そんな時、「私にできるかな?」と不安になってしまう。

人に仕事を任せるのに気後れしてしまうし、ましてや指導なんて……。そんな不安を捨てて、メンバーに頼ってもらえるようなリーダーになりたい。

今回は一から起業し、ファッションブランド「renacnatta」を25歳の若さで立ち上げた大河内愛加さんに、リーダーとしての心得について聞きました。

■CEO、デザイナー、PR……「なんでもできる」をかなえたのは好奇心

マイナビウーマン編集部のおてるです。今日はよろしくお願いします!

いきなりですが、大河内さんはCEO、ディレクター、デザイナー……などなど、ご自身のブランドのありとあらゆる部分を手掛けているんですよね。経営からECサイトの立ち上げまでできるって、すごすぎません? サイト作りなどは前からご興味があったんですか?

元々父がIT系の会社をやっていたので、デジタルやインターネットは常に身近な存在で、サイト作りにも抵抗感などはありませんでしたね。ずっとPCがおもちゃみたいな感じでした。(そんなことある?)ブランドを立ち上げる際にはクラウドファンディングを利用したんですよね。ブランドを立ち上げたのはまだクラウドファンディングがあまり知られていなかった時なのですが、たまたまmakuakeの代表の方と知り合う機会があって、ブランド立ち上げ時にそれを思い出したんです。まだあまり知られていないサービスを資金集めに使うって相当勇気がいることだと思うのですが、決断を下す上で不安に思うことなどなかったんですか?

私、元々決断がめちゃくちゃ早くて、あまり悩まないんですよね。自分がやるべきかどうかを考えた時に、「これは自分にしかできないな」と思ったら行動に移すようにしているんです。

今は年齢も重ねたので「これは本当に自分がやるべきか」ということを考えるようにもなりましたが……その時は自分が「やりたい!」と思ったらすぐにやってしまう傾向が強くて。

今お話ししている限りではとても落ち着いて見えますけど、好奇心が旺盛なんですね。クラウドファンディングのどんなところが良いと思ったのですか?

当時はクラウドファンディングって相当意識が高い人くらいにしか知られていなかったんですけど、仕組みがいいなと思っていました。在庫を持たず、受注生産できるのが強みです。

クラウドファンディングにすることでテストマーケティングもできますし、届けたい人に届けることができるのも良いですね。誰も知らなくても、クラウドファンディングというものがあるよ! と説明すればいいやと思いました。

ひとつでいろいろな目的が達成できるんですね。新しいことをやってみる勇気がすごいです。

■「自分でやった方が早い」は組織の成長を止めてしまう

ブランドをやっていくとなるといろいろな作業が発生すると思うのですが、最初は全ておひとりでこなされていたんですよね。それだけなんでもできてしまうと、どうしても新しい仲間に作業や仕事をお願いするのって「自分でやった方が早い」ってなりませんか?

ありました。最初は人に頼むのがすごく難しくて、ひとりでやっていた時間がすごく長かったというのもあって、なかなか周りを頼れませんでしたね。でも、ひとりでやるにも限界があるので。それで人に頼むようになりました。

やっぱり人に頼むと最初の方は説明もしなくてはいけないし自分でやった方が時短では、と思ったこともあったのですが、そこで「やっぱり私でやるわ」ってやっちゃうとそこで止まってしまうので。いつまで経っても会社がその規模までにしか成長できませんよね。

私も周りに仕事を頼むのが苦手で。頼んでからも「大丈夫かな……」って不安になってしまいます。大河内さんはその辺りをどうしていましたか?最初は人に頼んだら成果物が来るまで見ないようにしていました。全部つきっきりにならないようにして、人に仕事を頼めるようになりました。私ならすぐ不安になって「大丈夫?」って声かけちゃいます。でも、そうしているからいつまでも苦手意識が無くならないんですね……。そもそも、「仕事を人に頼むこと」をどう考えたらやりやすいと思いますか?人に頼まないと必ず限界がきます。さらに人に頼めば自分はまた新しいことができます。時間の使い方として考えると整理がつきやすいと思いますよ。なるほど。そう考えると、「ちょっと残業すればいいや」と思って人を頼れていませんでした。良くないですね。

■気まずくなっても、その場だけで終わればそれでいい

ちなみに、人に仕事を頼む時に成果物の質が不安になったりしませんか? そういう時ってどうしてますか?納得いくまで直してもらいます。あっ、正論だ。自分で手を加えてしまうのではなく、「ここはこうした方がいいよ」とその人に直してもらうようにしています。正論だ……(2回目)。でも、そういうのって慣れていないと言いにくくないですか?全部否定することはそもそも必要ないと思うし、そこにいいものはあるはずなので、そこを肯定しつつ、しっかり「こうしたい」というところを伝えるべきだとは思います。そういう時って、そもそも自分がやってほしいことを伝えきれていなかった部分もあると思うのでコミュニケーションはすごく大切ですね。自分も反省しつつ、フィードバックされているんですね。とはいえ、気まずくなったりしませんか?そうしていく中でぶつかったとしてもそれは必要な衝突です。私はイタリアで育ってきて意見をなんでも言うのが当たり前の環境だったので、指摘することも相手のためだと思っていますし、「これ言ったら気まずくなるかな」とかあんまり気にしないで、その場で向こうが気まずくなったとしても、別にその時だけでそれが終わればいいんです。正しいコミュニケーションを取っていくことが一番大事だと思います。仕事だと「ただ仲良し」だけではいけない時もありますもんね……。たしかに、なんでも言える方が健全な組織って感じがします。

まあでも、たとえ今「リーダーなんて無理」なんて思っていても、その場に身を置いてしまったらどうにかなるんじゃないかとも思いますよ。リーダーが別に偉いわけではないし、たまたま意見をまとめたり、決断を下したりする役ってだけ。

リーダーになったからといってそこまで気負うことはないし、「これはいい決断だった」ということを繰り返していけばいいんじゃないかなと思います。

まずはその立場をやってみることが大切なんですね。なんだか、これまでは何も始まっていないのに不安ばかりを抱えていた気がします。これから頑張っていけそうです!頑張ってください!

◇Information

ラグジュアリー化粧品ブランド「ランコム」では、グローバルなサステナビリティプログラム「Caring Together for a Happier Tomorrow(より幸せな明日へ共にケアを)」を立ち上げ、持続可能性と社会的包摂をめぐる多様な課題に向けた取り組みを行っております。

その活動の一つに、女性のデジタルリテラシーを高める機会を提供する支援プロジェクト「Write Her Future(女性たちが綴る未来)」を推進し、その一環として、国際女性デーの3月8日(火)にオンライントークセッション「彼女の選択」を配信します。

最終回となる今回は、15歳でイタリア・ミラノに移住し、イタリアと日本の素材を組み合わせたアイテムを展開するブランドrenacnatta(レナクナッタ)を立ち上げた起業家・大河内愛加さんをゲストに迎え「デジタル起業」をテーマに、ランコム公式Twitterアカウントにて配信! ぜひチェックしてみてくださいね。

URL:https://www.lancome.jp/maison-lancome/sustainability-program/write-her-future-jp/

【第4回オンライン トークセッション概要】
日時:2022年3月8日(火) 20時〜
配信プラットフォーム:
ランコム公式Twitterアカウント @Lancome_JP
※ランコム公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/user/lancomejapan)では3月8日(火) 21時よりアーカイブ動画を公開予定です。