挑発的、頭脳的、かつ軽妙。超ポップな音楽で繰り広げられる反スペクタクルなダンス

世界50都市以上でツアーを重ね、リヨン・オペラ座バレエ団のレパートリーにもなったジェローム・ベルの傑作「ザ・ショー・マスト・ゴー・オン」が満を持してさいたまに登場する。

写真：2004年ローマ公演より　©Mussacchio Laniello

今までも、神奈川国際芸術フェスティバルや横浜トリエンナーレでなどで作品を上演してきたベル。今回の上演作「ザ・ショー・マスト・ゴー・オン」は、ベルの代表作であると同時に、パリでの初演以来、観客に混乱と衝撃を与え、賛否両論を呼んできた作品でもある。ビートルズやデヴィッド・ボウイ、クイーンなど、誰もが知る名曲をプレイするDJ。その歌詞の一部をモチーフに、舞台上のパフォーマー達が動き出す。実は、この舞台の出演者は皆、公募で集まった職業も年齢も性別もさまざまなパフォーマーたち。「パフォーマーは観客を映し出す鏡でもある」と語る、ベルらしい演出だ。「出演者の構成は、上演する都市や地域社会の多様性を反映したい」という彼の意向に沿って、最終的に26名のパフォーマーが選抜された。17歳から67歳まで、ダンサー、俳優、主婦やフリーターなどさまざまなバックグラウンド、ルックスを持つパフォーマーが集合した。

大衆文化のシンボルともいえるポップな楽曲を用いて繰り広げられるこのパフォーマンスは、画一化された身体や行動に対する、ベルのアイロニカルで真摯な問いかけなのかもしれない。世界各国で様々な人々がパフォーマンスし、議論を巻き起こしてきた本作品が、今現在の日本で、どう展開され受け入れられてゆくのか。ベルからのウィット溢れる挑発を受け止めに、ぜひ会場まで足を運んでみては。自らのダンス、舞台鑑賞、そして日常的に接する身体とその在り方に対する既成概念を見つめなおすきっかけとなるはず。


ザ・ショー・マスト・ゴー・オン（The Show Must Go On）
日時：2011年11月12日（土）16：00、13日（日）16：00
※12日公演終了後、ジェローム・ベルによるアフタートーク予定
会場：彩の国さいたま芸術劇場　大ホール
料金：一般　前売3,000円、当日3,500円、学生2,500円（全席指定）

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