男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:交際前に関係を持ってしまったけど、男から「付き合おう」と言われた!この時の彼の心理は…




「はぁ…。結局あの子も、ダメだったのか」

沙耶から連絡が来なくなった携帯を見つめながら、思わずため息が出る。

今年で42歳になる僕はバツイチ。最近、再婚でもしようかなとようやく思い始め、相手を探していた。

だが経営者仲間や友人から何人か女性を紹介してもらったものの、結果はいつも同じだった。

「龍平さんは、どちらの会社を経営されているんですか?♡」
「どこにお住まいなんですか?♡」

そんなやり取りに疲れてきた頃、出会ったのが沙耶だった。

細くて長い手足に、綺麗な顔立ち。初めて見た時から、僕の心は揺さぶられた。

だから僕なりに頑張ってみたけれど、結局惨敗…。

年齢が上過ぎた?バツイチがダメだった?

僕の何が彼女に刺さらなかったのか、どうしても答えを知りたい。


“いい人”なんだけど…男が女にNGを出した本当の理由は?


Q1:初対面の時から女が抱いていた違和感とは?


沙耶に出会ったのは経営者仲間である太郎と、奥様の香苗さんが設けてくれた食事会の席。

香苗さんが連れてきてくれたのが、沙耶だったのだ。

「初めまして、沙耶です」
「初めまして。龍平です」

この食事会の席では、お互い探り合っている感じだった。しかし夫妻のナイスアシストもあり、食事が進むにつれて緊張の糸もほぐれ始めた。




「太郎と僕は、経営者仲間なんです。沙耶さんは、香苗さんと何つながりのお友達なんですか?」
「私は元々働いていた航空会社が一緒なんです」
「そうなんですね!」

香苗さんは、たしか元客室乗務員だったはず。そうなると、沙耶も同じ職業なのだろう。

「今も現役なんですか?」
「いえ、私は3年ほど前に辞めて、今は自分で小さな会社をしています」
「すごいですね!」

― まさかの経営者だったのか。

これは嬉しいサプライズだった。

「美人で綺麗な人なんてたくさんいるけれど…仕事ができて、かつ自立している女性って滅多にいないから最高ですね」

思わず、沙耶の前で本音が漏れてしまう。実は前妻と離婚の際に慰謝料問題でかなり揉めたのだ。

だから次に付き合う人は、自立していて金の亡者にならないような人が良かった。

「ちなみにどんな会社なんですか?」
「美容系の会社なんです。まだまだ発展途上ですが…」
「いや、自分でされているのはすごいですよ。経営って大変じゃないですか。僕の会社もようやく年商が10億くらいになって…」
「え…!!すごいですね」

情報を出すのが、早すぎただろうか。会社の規模を伝えると目の色が変わる女性が多いので、極力言わないつもりだった。

でもなぜか、沙耶の前ではうっかり言ってしまった。

― またこれで、お金目当てで寄ってこられたら嫌だな…。

そう思ったけれど、沙耶は違うタイプだと信じたい。そんなことを考えていると、横から太郎のサポートが入った。

「龍平はちょっと癖が強いけど、めちゃくちゃ良いヤツだから。体も鍛えてるし、何より仕事が本当にできるんだよ。会社の業績もうなぎ上りだし…だから沙耶ちゃん、龍平はオススメだよ!」

そんな太郎の言葉を聞いて沙耶も目を輝かせている。

「そうなんですね!素敵な人だなっていうことは、今日で十分伝わりました」
「本当に?ありがとう!一応見た目も気を使ってるから、年齢よりは若く見られることが多いとは思うんだけど…」
「シュッとされてますもんね♡」

とりあえず、沙耶からの好感度は高かったらしい。だからちゃんと次のデートの約束もして、この日は解散になった。


経済力もあって、性格も良い。そんな男なのに振られた理由は…?


Q2:女が見切った理由は、男がバツイチだったから!?


食事会の日から2週間後。沙耶とは丸の内にあるフレンチの名店『アピシウス』で会うことになった。

「こんな素敵なお店の予約、ありがとうございます」
「いやいや、喜んでもらえるなら。このお店、昔から大好きで。大切な日のデートはここって決めているんだよね」
「そうなんですね!素敵です♡」

ふわっとしたシフォン素材のワンピースを着ている沙耶は今日も美しく、店内のアールヌーボー調のクラシックな調度品によく映えた。




「ちなみに沙耶ちゃんに言っておかないといけないことがあって…」

言うべきかどうか迷う。けれどもこれから先長い付き合いになるならば、正直に話しておきたいことがあった。

「実は僕、バツイチなんだよね」
「え!そうなんですか!?」

この話はしないほうがよかったのだろうか。でも今時バツイチは珍しいことではないし、僕の年齢で“バツゼロ”より変な推測をされないかなと思った。

「前の奥さんと、かなり揉めて離婚して…。だから今はもう、一切の連絡は取っていないよ!」
「そうだったんですね。ちなみにお子さんはいらっしゃるんですか?」
「ううん、いないよ。だからこそ、前妻とはまったく関わりナシ。性格が派手すぎて、僕のお金もかなり使い込まれて…たぶん1億は使われた気がする」
「い、1億!?」
「別にいいんだけどね。でも沙耶ちゃんは、そういうのなさそうだもんね」

パッとみて、清楚な雰囲気が漂っている沙耶。きっと、前妻のような金遣いの荒さはないだろうと信じたかった。

「私ですか?そうですね…。一応自分で仕事もしていますし、そこまで恋人とか将来の旦那さんに頼ろうとは思っていないかもです」
「いいね〜最高。僕の周りって、結局僕のお金目当てで寄ってくる子が多くて。そういう子に辟易しているんだ」
「そっかぁ。龍平さんみたいな立場になると大変ですね」

沙耶が少し憂いを含んだ瞳で、こちらを見つめてくる。それがあまりにも美しくて、僕は引き込まれそうになった。

「沙耶ちゃんは自立している子だよね?一応、その辺りの男よりは稼いでいると思うし、次に結婚する人には不自由な暮らしはさせないけれど…。前妻のような、金遣い荒い人が苦手で」
「わかります。お互い自立しているって大事ですよね」

うんうんと頷く沙耶。久しぶりにいい子に出会えた感動で、胸が高鳴った。

「ちなみに沙耶ちゃんは、どういったタイプの人が好きなの?」
「私は…優しくて、尊敬できる人が好きです」

沙耶のタイプを聞いて、俄然やる気が出てきた。なぜなら、僕は優しい自負はあるし、経営者としてきっと尊敬はしてもらえると思ったから。沙耶のタイプには、しっかりと当てはまっている。

「わかる!尊敬できるかどうかって、大事だよね。沙耶ちゃん、よければまた次回も僕とデートしてもらえないかな?」
「いいですね!ぜひ」

こうして、この日は解散したはずだった。

しかしそれから1ヶ月経っても、彼女からの連絡はナシ。独身である程度良い暮らしをしていて、外見だって悪くないはず。

それなのに、どうして沙耶には響かなかったのだろうか…。

▶前回:交際前に関係を持ってしまったけど、男から「付き合おう」と言われた!この時の彼の心理は…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女はバツイチ男のどこを見ていた?