「誰でもいいから、結婚したい」。そう切に訴える、元港区女子30歳の残酷な成れの果て
港区女子。
それは港区に夜な夜な集う、得体の知れない女性たち。
煌びやかで豪勢な生活を送る彼女たちだが、いつか“強制的に”この街を卒業する時がやってくる。
果たして、その後の人生は、幸せなのだろうか?
前回は、20代で甘い蜜を吸い過ぎた女性の行きつく先を紹介した。今回は・・・?

-女は可愛いだけで、得をする。
どこかで聞いた言葉を、私はぼんやりと思い出す。
「由梨は本当に可愛いよね。どんな人と将来結婚するんだろう?」
でも、25歳の私に言ってやりたい一言がある。
とにかく適当なところで、早く結婚したほうがいいよ、と。
◆
芝浦にそびえ立つタワーマンションの36階から見える景色が、私は大好きだった。
東京湾を見渡せるこの景色を独占できる人間は、この東京に何人いるのだろうか...そんなことをたまに考えることがある。
「由梨、今日はどこの店がいい?」
振り向くと、だらしなくシャツを着た晴夫がにこやかな笑顔で聞いている。
このマンションは、晴夫が借りてくれている。でも彼とは、一緒には住んでいない。別の所に、ちゃんとした家があるから。
「ん〜どこでもいいけど。」
そう言いながら、私は気になっていた店の名を幾つかあげる。東京の高級店は行き尽くした。それでも、この街は次から次へと気になる新店がオープンする。
「本当に、由梨は贅沢だなぁ」
そう言いながら、晴夫はとても嬉しそうな顔をしていた。
しかしそんな生活から転げ落ちるのは、本当に一瞬の出来事だった。
港区女子にさえならなかったら・・・そう後悔する港区女子の闇
港区女子の転落は、突然に。
その日のことを、私はよく覚えている。
-由梨、ちょっと話があるんだけど...
そう言われ、私と晴夫は六本木にある会員制のバーで落ち合った。
行く前に、私は買ったばかりの洋服がずらりと並ぶクローゼットを開け、コーディネートを考える。そしてお気に入りの鞄を持ち、レッドソールの靴が大量に詰まっているシューズクローゼットから一足取り出し、タクシーで意気揚々と店へ向かった。
特に仕事もしているわけではなかったが、こうして食事へ出かけたり、ヨガへ行ったりと、毎日何かと忙しいのだ。
「シャンパン、飲んでもいい?」
晴夫の顔を見るなり、私はさっさとオーダーを済ませる。しかし、この日の晴夫はどこか様子が違っていた。
「ごめん、家を解約したいんだ。あと...会うのは今日で最後にしよう」
突然の晴夫の言葉に、私の頭は一瞬真っ白になる。言っている意味がよく分からない。この人は、何を言っているんだろうか。
「え?ど、どういうこと・・・?」
後から知人経由で聞いた話によると、晴夫の会社はかなり前から危なかったそうだ。
晴夫の転落とともに、私の華やかな港区生活は、突然幕を閉じた。

港区女子の卒業後の人生?〜由梨〜
「由梨ちゃんのタイプは、どういう人?」
「ん〜優しい人ですかねぇ♡」
そう言いながらも、心の中では“経済力がある人!”と叫ぶ。
晴夫と別れ、私は必死に“次”を探していた。でも、晴夫ほどの贅沢をさせてくれる人には中々巡りあわず、焦りは募っていく。
連日何かしらの集まりに顔を出すものの、なかなか実らない。
一年、また一年と時が経ち、気がついた時には、私はもう28歳になっていた。
-30歳までになんとかしないと・・・。
そう思うものの、年齢と反比例するかの如く、港区では価値が落ちていく。
一人で生きて行く術を20代の半ば迄にどうして身に付けなかったのか。どうして、社会で頑張って働こうとしなかったのか。
いくら悔やんでも、失った時間は取り戻せない。そして一度上げてしまった生活レベルを落とすのは、本当に難しいことだった。
可愛いだけが取り柄でキャリアのない私は、港区内でも、そもそも社会から見ても、完全に負け組だった。
港区女子の最悪パターン。彼女の現在は・・?
◆
30歳になった今、私は千葉の実家に住んでいる。
正確に言うと、実家に戻るしか手段がなかった。
晴夫から貰った物を切り売りしてしばらく生活していたが、そんなものは長く続かない。
知り合いの会社で事務職をさせてもらえているが、月給は25万弱でボーナスは無し。当然、東京で一人暮らしをする余裕なんてない。
「誰かいい人いないかなぁ」
そう言いながら、私はアプリで男性をチェックする。
仲の良かった港区女子たちは、段々と人数が減った。
結婚して幸せな家庭を築いたり、相変わらず豪勢な日々を送っていたりと皆バラバラだが、この世代になると、前ほどパーティや食事会の誘いも来なくなる。
日に日に、自分の市場価値が落ちていくのが分かり、港区にいるのも辛かった。
食事会に参戦しても他の参加者の女の子たちは皆自分より年下。仮に年上であったとしても、自ら働いて稼いでいるハイスペ女子ばかり。
そんな人たちと一緒にいると、否が応でも自分の市場価値の低さを痛感する。
「でもほら、由梨ちゃんはその美貌があるから」
そう慰め程度に言われるものの、皆薄々勘づいている。
外見だけで勝負できるのは、25歳まで。そこからは、その人の生き様が顔に出るのだ。
ベッドで寝転びながら、元港区女子仲間である涼子からのLINEを見て、私は大きくため息をついた。
-涼子:由梨ごめん!来週の食事会のお店、微妙かも・・・
落ちたのは、私自身だけではない。
出会う男性のスペックも確実に落ちた。
以前は高級店以外考えられなかったが、最近そんなお店へ連れて行ってくれる素敵な男性は、ほぼ誰かのものだ。
涼子のLINEには、麻布十番のカジュアルな店のリンクが貼られていた。

「由梨ちゃんって元タレントさんか何か?」
食事会の相手は、商社に勤める30歳くらいの男性たちだった。以前だったら出会いもしなかったような人たちだが、私は笑顔で対応する。
「違いますよ〜」
「じゃあ今は何をしているの?どこに住んでいるの?」
「今は知り合いの会社で事務職をしているのですが、千葉の実家に住んでいて・・・」
目の前の男性の顔が、“え?”という顔になる。
そんな生活をしているはずなのに、私は未だに“港区女子臭”が消えないらしい。
手元にはダイヤ付きの時計が光り、鞄は明らかにブランド物だと分かるものだ。そんな私に対する視線は皆同じだった。
-あぁ、そっちパターンの女の子か・・・
そんな視線を感じながらも、私はこの時計と鞄だけはどうしても手放せなかった。
自分が最高に輝いていた時代の思い出、たしかに私は港区で生きていたのだ。だからその証を残したくて、 私はこの二つを大切に持っている。
そして唯一、自分の価値を高めてくれる物たちでもあるから。
「由梨ちゃんって、結婚したらお金かかりそうだよね」
最高の生活を知っているから、下には行けない。でも、上からはもう相手にされない。
「そんなことないですよ〜♡私、電車にも乗りますし!」
あんな良い生活レベルを見ていなければ。こんな高級品がいとも簡単に手に入る過去がなければ、晴夫に出会っていなければ・・・
港区で生きた時代の経験が、今の私の足かせになっていることだけは確実にいえるだろう。
でも今はもう、誰でもいい。
年収だって、1,000万でいい。
誰でもいいから、私を東京に戻してくれて、幸せにしてくれる人を探している。
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港区女子の勝ち組パターンとは

