寒さが厳しくなる季節は「冬バテ」に注意して
新年が明け1月中旬になり寒さが厳しくなって身体の不調を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。冬に猛威をふるう感染症(風邪、インフルエンザ、ノロウィルス)以外にも「何となく身体がだるい……」「やる気がおきない……」が続いているのは、もしかしたら冬バテかもしれません。
冬バテとは夏には夏バテがあるように、冬には冬バテがあります。冬バテの主な症状は以下の通り。
・いつも疲労感がある
・身体が怠い、重い
・やる気がでない、気分が落ち込みやすい
・イライラする
・頭痛がする
・身体が凝っている感じがする(肩こり、頸こり、腰痛等の症状が悪化する)
・よく眠れない
・冷えの症状がある
・むくみやすい、むくみがとれない
・風邪をひきやすい
冬バテになる原因は?(1)寒さによる自律神経の乱れ
自律神経は生きていくために必要な内臓や血管の働きをコントロールする神経です。
身体の活動状態に合わせて、体温を調整したり、血液や消化液の量を調節したり、呼吸数を調節したり、心臓を動かしたり、ということを自動的に行います。
自律神経は交感神経と副交感神経が一日の中でシーソーのように入れ替わり、身体活動を支えています。日中、活動をする時に優位になるのが交感神経。交感神経は身体を緊張させ、活動しやすい状態にします。一日の活動を終えリラックスしている時に働いているのが副交感神経。内臓の働きを促し、呼吸もゆったりとし、筋肉もリラックスしている状態です。
寒い冬は寒さで身体が緊張し、交感神経が常に働いている状態。身体が緊張状態にある時は呼吸も浅くなり、血流も悪くなっています。その状態が続くことで、疲労やだるさを感じたり、身体のコリを強く感じやすくなります。
(2)日照時間が少ない
冬は太陽の光を浴びている時間が少なくなります。
太陽の光を浴びることで脳内でセロトニンやメラトニンと言うホルモンを生成しますが、日照時間が短いことで、正常に生成されなくなります。
セロトニンは主に人の精神のバランスを整える作用があります。メラトニンは睡眠に作用するホルモンで、睡眠の質を高めたり体内時計を整える役割があります。メラトニンはセロトニンから生成されるため、セロトニンの分泌が少ないとメラトニンの分泌も少なくなります。太陽の光を浴びないことでセロトニンやメラトニンの分泌量が減り、結果、気分が沈みがちになったり、夜の睡眠を妨げます。
(3)運動不足
寒い冬は暖かい部屋の中から出るのがおっくうになり、運動量が下がります。
身体を動かさないことで身体が衰えます。筋肉の役割は姿勢を保ったり、身体を動かすことだけではなく、体内で熱を生み出す役割もあります。
人は体温を維持するために自らの身体でエネルギーを生み出しますが、その多くを担っているのが筋肉なのです。身体が衰えることは、自ら熱を発する力も減ってしまうということ。運不動不足は冷えの症状を感じたり、太りやすくなったりします。
(4)気が張る
冬は忘年会やクリスマス、お正月、新年会と一年の中でもイベントが多い季節。常に気が張っている状態です。常に気が張っていると言うことは、活動モードである交感神経が優位な状態で身体が休まっていません。また、これら飲食の機会が多く、暴飲暴食が続けば内臓も疲労します。
冬バテを解消するために冬バテには自律神経が関わっています。冬バテを解消するためには、乱れがちな自律神経のバランスを整え、働きを正常に戻すことがポイントです。
(1) 呼吸を意識する
自律神経は自動的に働き、その機能をコントロールすることはできませんが、私達が唯一コントロールできるのが呼吸です。
イライラや気分の落ち込みを感じたり、一日の終わりのリラックスタイムに深い呼吸をしてみましょう。
呼吸のポイントは次の通りです。
・鼻呼吸 鼻から吸って鼻から吐きます
・複式呼吸 おヘソの下(丹田)を意識し、丹田に空気を送り込むイメージです。丹田が意識しにくければ、下腹を膨らませるのもOK。吐く時は下腹にためた空気を全て鼻から吐き出すイメージです。
・吐く呼吸を長目に 吐く呼吸は副交感神経を優位に導きます
(2) 適度に身体を動かす
新たに何かを始めたりしなくてもOKです。日常生活の中で、できるだけ動くようにしましょう。寒さを感じると、血管が収縮し血流が悪くなり、筋肉が硬くなります。
また同じ姿勢を取り続けることでも筋肉が硬くなります。寒いからと言って動かないでいると、身体はガチガチに硬くなってしまうのです。
1時間に1回は席を立って軽く身体を動かしたり、ストレッチをしたりしましょう。またエレベーターやエスカレーターではなく階段を使用したり、一駅分多く歩く等、日常の中での活動量を上げましょう。
(3) リラックスする時間をもつ
冬は寒さで何もしなくても緊張状態が続きます。意識してリラックスをする時間を作りましょう
お風呂にゆったりと浸かって身体を温めたり、好きなアロマ等でリラックスすることで、心地よく、質の良い睡眠が取れます。意識的にリラックスさせることは副交感神経を働かせることになりますよ。
冬は何かと交感神経が優位に働きがちですので、意識的に副交感神経を働かせることで、自律神経のバランスを整え、体調を安定させることが出来ます。
【参考】
※ 夏バテだけじゃない!「冬バテと自律神経の変調」 - サントリー健康情報レポート
※ その不調、「冬バテ」かも!?なぜ起こるかを医師が解説 - 東京ウォーカー(Yahoo!ニュース内)
【画像】
※ racorn / shutterstock
【筆者略歴】
浅見美菜子
パーソナルトレーナー・セラピスト。「心と身体は繋がっている」身体を動かすことで心もHappyがモットー。大手フィットネスクラブ、整形外科でのトレーナー活動の他、セミナー講師等、多方面で活動中。