「パンがなければケーキを食べればいいのに」という後世に残る迷言で、民衆から大バッシングを受けたと言われている王妃マリー・アントワネット。

実は貧しい人のために寄付を行っていたとか、この発言は彼女のものではないだろうという研究結果も出ていますが、浪費家ゆえ物資不足に困っている民衆の怒りを買ってしまったというのは事実のようです。

現在でも、マリー・アントワネットのごとく、怒らせるつもりはないのに軽卒な言動で、他人の怒りを買ってしまう女子を女子会などで目撃します。

女子会で「悪気はないのに変な空気になった」という“アントワネット的女子”の発言を、「あり得ないと思った」と怒りに震えた経験のある女子に聞いてみました。

    マリッジブルー女子 vs 彼氏できない女子

「なかなか彼氏ができない」と悩んでいるAさん。かれこれ3年ほど彼氏がいません。29歳で周囲は結婚ラッシュなので、女子会でも「3年彼氏いないから、もうマンション買っちゃおうかな」と自虐ネタを振りまきつつも、かなり焦っています。

そんなAさんが珍しく真剣に、本気で彼氏が欲しいと女子会で悩みを相談していると、メンバーのうちの1人、Bさんがとんでもないことを発言。「でも彼氏と婚約したらしたで、悩むことはいっぱいあるよ。今のうちにいろんな男と遊んでおいた方がいいよ〜」と言うのです。

これにはAさんは唖然。周りの友人たちも驚いた表情でした。Aさんは多くの男性と遊びたいタイプでもなく、男っ気もないのはBさんも知っているはず。いつもの自虐ネタも少し切実なものであることは、他の友人は理解しています。

    延々に続くマリッジブルー自慢

そんなAさんの心情にも気づかず、その後Bさんのマリッジブルートークがしばらく繰り広げられました。Bさんは最近婚約し、幸せ真っ盛りのツイートや、インスタグラムの投稿をしていました。

「他人の幸せは、できる限り祝ってあげたい」

Aさんはそう思いますが、このタイミングで、そんな言い方をされたら、祝う気持ちはまるで起きません。Aさんの心の中は、怒りと疑問符でいっぱいです。

Bさんは「私も悩んでいるよ」ということを言いたかったのかもしれませんが、これでは完全にマリー・アントワネット状態です。

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」発言と同じく、Aさんにとっては全くのお門違いのアドバイスなのです。

    昇給額に不満の女子 vs 無職女子

転職活動中のCさん。前職は銀行の事務員でしたが、上司のパワハラまがいの圧力に堪え兼ね、1年半ほどで転職先を決めずに退職しました。

次を決めずに退職したことに不安を感じていましたが、辞めてしまったものは仕方がない。少しですが貯蓄もあるので、じっくり合うところを探そうと、転職活動を始めました。ただ、1年半で退職した転職希望者に、世間の風は思いのほかきつかったのです。短い期間で退職してしまったという負い目を感じているのか、自信のなさそうに感じる話し方で、面接は落ちてばかりです。

ときには遊ぶことも大切、と久しぶりに女子会に参加したCさんを待ち構えていたものは、思ってもみないような友人の言葉でした。

Cさんが、「なかなか仕事先が見つからない…」と愚痴をこぼし、落ち込んでいると、友人のDさんがこういったのです。

「大丈夫! 私も今月、昇給月だったのに、思ったより給料が上がってなかったし。まだ手取りにすると30万円いってないよ。うまくいかないときもあるよね」

    一般職と総合職の埋まらぬ溝

Cさんは一瞬、Dさんがなにを言っているかわかりませんでした。

職がなくて焦っているCさんに、なぜ昇給の悩みで同調しようとしたのか、そもそも理解に苦しみます。そして、Cさんの前職は事務職で、手取りは17万円ほどでした。今回も事務職を中心に職を探しています。

一方、Dさんは、IT企業の総合職で、事務職と勤務体系が違うので、もちろん給料も違います。そんなCさんに具体的な金額まで言って、昇給の話をするなんて、自慢にしか聞こえません。Cさんは、その後無事に就職が決まりましたが、Dさんとはもう会っていないそうです。

それぞれ全く別の次元で深刻に悩んでいる女性が集っても、共感ができないのかもしれません。あまりにも悩みが違い、それが表面化されると、起こらなくてもよい憎しみが起こってしまうことがあるようです。

フランス革命が起き、マリー・アントワネットはギロチンにかけられました。現代の女子会ではそんなことにならないように、マリー・アントワネット女子と平民女子が分かり合える日が来ることを願ってやみません。

(泉華)