コーベビーフは海外で大人気ですが、実は本物の「神戸ビーフ」は海外にはほとんどない!

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海外で「KOBE BEEF」が大人気なのをご存じでしょうか。「軟らかい」「うま味が濃い」など高い評価を得ています。でも、実は本物の「神戸ビーフ」は海外にはほとんどないのです。

■「KOBE BEEF」は和牛のこと!?

例えば、アメリカのスーパーなどでは「KOBE」と表示された牛肉が普通に販売されているようです。しかし、これが「神戸ビーフ」かというと、実はそうではありません。「サシが入っている」などの特徴があれば「KOBE」、また単に和牛の肉であるから「KOBE」など、その定義はあいまいで、勝手に「KOBE」を名乗っていることがほとんどなのです。

■「神戸ビーフ」は純血の「但馬牛」から!

日本では、「神戸ビーフ」はとても厳密に定義されています。まず「神戸ビーフ」と名乗れるのは純血の「但馬牛(たじまうし)」から取れた肉でなければなりません。

但馬牛は、近江牛や松阪牛の素牛(もとうし)になったといわれています。但馬牛は肉質が良いために非常に評価も高いのです。『神戸肉流通推進協議会』によれば、但馬牛の定義は以下のようになります。

「兵庫県産『但馬牛』とは、本県の県有種雄牛のみを歴代に亘(わた)り交配した但馬牛(たじまうし)を素牛とし、繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し、本県内の食肉センターに出荷した生後28カ月令以上から60カ月令以下の雌牛もしくは去勢牛で、歩留・肉質等級が「A」「B」2等級以上とし、瑕疵等枝肉の状態によっては委嘱会員(荷受会社等)の確認により判定を行う。

なお、兵庫県産(但馬牛)を但馬牛、但馬ビーフ、TAJIMA BEEFと呼ぶことができる」。

※……生きている牛を『但馬牛』(たじまうし)、精肉を『但馬牛』(たじまぎゅう)と呼びます。

■海外には「神戸ビーフ」はほとんど出荷されていない!

神戸肉流通推進協議会の担当者にお話を伺ったところ、神戸ビーフはほとんど海外に出荷されていないとのこと。

そもそも「2011年までは海外に全く出荷されていなかった」そうです。ですので、それ以前に海外で「KOBE」と名乗っていた肉は全て「本物の神戸ビーフではない」ことになります。

また「2012年1月から海外向けの出荷を開始した」そうですが、2014年7月末現在で、その累計出荷数は「724頭分、5万1,571kg」と、非常に少ないものです。ですから、海外で「本物の神戸ビーフ」に出合う確率は非常に低いわけです。

協議会のお話によれば「国内のニーズも高いですし、海外に大量に出荷できるほどの生産量がないのが現状です」だそうです。

また、神戸ビーフのブランド力を守るために、

「指定登録制度を採用しており、その正規ルートで入手できるものが神戸ビーフになります。神戸ビーフを取り扱っているのは280店(国内250店、海外30店)を数えますが、その一頭一頭をトレースできるようになっています。

逆にいえば、トレースできないものはあやしいものということですね」

とのことでした。
日本の「神戸ビーフ」の評価が高いのは日本人としてうれしいことですが、そのブランドを守るのは大変なようです。

⇒『神戸肉流通推進協議会』の公式サイト
http://www.kobe-niku.jp/top.html

(猫一式@dcp)