やはりポーズよりもルックス、ルックスよりも中身のカッコよさが重要である。

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筆者は若かりし頃、それはそれは異性にモテ……たかった。何もしなくてもモテる人というのは、もしかしたら“モテたい”という気持ちはさほど無いのかもしれない。だが、モテない筆者は、どうすればモテるのか、そればかりを考えていた(考えるばかりで、実際にモテた試しは無いのだが)。

しかし、いつか自分も結婚して子供を授かったりして、いいトシになって落ち着けば、このモテたい症候群も消えてなくなるはず。と、思っていたのだが……。実際に結婚して子供も授かり、いいトシになってはみたものの。モテたい気持ちに、さほど変わりはないのがホントのところ。

といっても、若かりし頃のように(ムダに間違った)オシャレに力を入れようとは思わなくなったし、マユゲを整えたり、香水をかけまくったりということもなくなった。異性に対してあまりガツガツ、ギラギラしなくなったと我ながら思う。ただ、ちょっとしたときに、「あわよくば」的にちょっとだけカッコつけてみたりすることはある。たとえば……。

某コーヒーショップにて、甘〜いクリームたっぷりのフラペチーノが飲みたいくせに、うしろにキレイな女性が並んでいるのを意識してコーヒーを注文、それをブラックで飲んでみたり。某レンタルビデオ店のカワイイ女性店員さんを意識して、普段聴かない洋楽のCDを借りてみたり。電車で目の前の席が空いて座りたかったものの、隣に立っていたセクシー熟女に譲ってみたり。

自分の中の“カッコつけポーズ”みたいなものもあったりする。日差しがまぶしいときに片目だけつぶってちょっと空を見上げる。タバコは親指と人差し指で持ち、火を点けるときは必ずしかめっ面をする。そして。立ったまま誰かを待っているときは、ズボンのポケットに手を入れる……。

このズボンのポケットに手を入れるポーズ、筆者は昔から良くやっていた。思い返してみると、中学生の頃に大ファンだった「CHAGE AND ASKA」に影響されたようである。彼ら、特にASKAは、良くズボンのポケットに手を入れて歌っていた。チャゲアスの代表曲「SAY YES」のPV中でも、その映像の大半でポケットに手をIN。

ズボンのポケットに手を入れるポーズについて、『ヒトはなぜ拍手をするのか―動物行動学から見た人間』という本では、「ポケットに手を入れる=腕を休ませてリラックスしている状態。ひいては、エネルギーの使用を控えている状態にあり、そのポーズを見せている相手に対し、『あなたは私にとってエネルギーを使う必要のない、取るに足らない人です』と伝えていることになる」と分析している。

たしかに、上司や先輩など目上の人の前でズボンのポケットに手を入れることは、失礼にあたる。2011年1月にアメリカの国務副長官が訪韓した際、片方の手をズボンのポケットに入れたままで韓国の高官と握手をし、その態度が失礼だとして韓国国内で物議を醸したこともあった。

まあしかし、自分でカッコいいと思っていたポーズが、実は相手に「取るに足らぬ」と見下されているかのように思われていたとしたら……。まさに逆効果。アホである。好意をアピールしようと思っていた女性たちに、もしかしたらイヤな思いをさせてしまっていたのか。そう思うと恥ずかしい。親指一本だけ外に残して、ポケットに手を入れたりもしてたっけ。なにこれ。顔面発火。消したい。記憶から消し去りたい。

カッコつけのポーズも、人それぞれ。皆さんは、どのようなポーズをお持ちだろう。そういえば、ズボンのポケットに手を入れてカッコつける人って最近減っているような気もする。ミュージシャンのCDジャケットやPVなどでも、あまり見かけなくなっているのではないだろうか。カッコつけのポーズも、時代とともに変遷していくのだろう。妻子持ちなのに、あわよくばモテたい筆者。何か、新しいカッコつけポーズを身につけようかしら。まあ、ムダに終わるだろうけど。
(木村吉貴/studio woofoo)