「あまりにも落ち込んでいる私を見て、妹が『何かあった?』と聞いてきたんです。そういえば、妹もカナとは顔見知りだったなと思い、その日起きた話をしました。すると妹は急に鬼の形相になり、『地元で揉めないでよ!』と大激怒したんです。

 まさかの反応に話を聞いてみると、カナには妹がいて、その妹が中学〜高校の先輩とのこと。カナの妹も結構面倒臭い性格だそうで、『その妹に私が何か言われたらどうするの?』『お姉ちゃんはたまにしか帰ってこないから分からないと思うけれど、狭い地元で揉めるとめちゃくちゃ面倒なんだよ!』と、なぜか私が説教されたんです……」

◆勧誘してきた友人のその後

 結局、妹はそれから口を聞いてくれず、東京に戻る日に。何となく地元の友達にも気まずさを感じ、年末年始は結局帰らなかったといいます。その後、茉里さんはどうなったのでしょうか?

「あれから5年も経ち、今は普通に地元に帰れるようになりました。あの日、飲み会に来ていたメンバーにカナのことを聞くと、みんなカナのネットワークビジネスについては知っていたと言っていました。みんな適当にかわしていたそうですが、その後もカナは地元の友達を勧誘しまくっていたそうです。

 結局、カナの周りからは人がどんどん離れていき、今は違う街に引っ越したそうです。ちなみにあれだけ怒っていた妹は、しばらくカナの妹と会わないように地元を歩くときも気をつけていたみたいで。結局、カナの妹から何かされたりはなかったそうですが、妹には悪いことしたな……と思いますね」

 現在は妹ともすっかり仲直りしたといいいます。断るときはきっぱりと断る。地元の狭い人間関係をこじらせたくないという気持ちもありますが、今回の茉里さんの対応は正しかったのではないでしょうか。

<取材・文/結城 イラスト/とあるアラ子>

【結城】
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer