女を喜ばせるテクに長けている男。でも最後までイケないのは、“ある理由”があって…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「結婚も考えている」と言葉にしたはずなのに…。同棲2年目で、女が男を置いて出て行ったワケ
「和也くんカッコいいし優しいし…本当に独身なの?」
またこの質問だ。
「当たり前だよ!独身じゃなかったら、花ちゃんをデートにも誘わないでしょ」
「そうだよね」
先日、レセプションパーティーで知り合った花。
華やかな顔ぶれがそろう中、花は背が高く、そして何より綺麗で目をひいた。
だからその日、僕から声をかけてデートに誘ったが、花もまんざらではなかったようだ。
僕らは数回デートをし、かなり盛り上がったのだ。
「花ちゃんって、本当にかわいいよね」
「そういう和也くんのほうこそ。絶対モテるよね。こんなにも素敵だもん」
けれども3回くらいデートをしたあと、遠回しに断られるようになってしまった。
果たして、僕は何をしてしまったのだろうか…。どう考えても、悪かったところがわからない。
何も悪い点はないのに…完璧だけど、なぜかいつも先に進まないのはナゼ?
Q1:初対面と初デートで、彼女が気になった点は?
花と出会った当日。僕は男友達と一緒にいたが、ラッキーなことに花も女友達と2人でいた。
「俺、声かけてくるわ」
「どの子?あの綺麗な二人組?」
「そうそう」
小さな声で友達と作戦会議をしつつ、思い切って声をかけてみる。するとクールそうな見た目とは裏腹に、花はとても気さくで話しやすい子だった。
「じゃあ花さんはアパレル系なんですね!」
「そうなんですよ。そのつながりで、今日ここに呼んでいただいて。和也さんは?」
「僕はこの会社の社長と仲良しなんです」
「ナルホド。っぽいですね」
何が「っぽい」なのか分からなかったけれど、このあとも話は盛り上がり、連絡先を交換することができた。そして解散後すぐに連絡をすると、花からも返事が来た。
― 和也:今日はありがとうございました。もし良ければ、今度2人で食事でもどうですか?
― 花:はい、ぜひ。
こうして、僕と花のデートが実現したのだ。
店選びは迷ったけれど、『クローニー』にした。失敗できない初デート。僕は絵画を鑑賞しながら食事が愉しめる、特別な個室を予約した。
「わぁ、素敵…♡」
予想どおり、花は目を輝かせながら感動してくれている。感度の高い女性には、感度の高いレストラン。これはイケてるデートの掟だ。
「でしょ?ここの個室は特別だから、花さんと来たくて」
「嬉しい!ありがとうございます」
すでに僕を見つめる目はとろんとしている。
そして料理が進むとともに、お酒も進む。お互いの本音も見えてきて、心の距離はグッと近くなる。
「和也さんって、そんな若いのに経営者なんだ」
「いやいや。そんな若くもないし、年齢は関係ないよ」
「しかもそのルックス…。絶対モテるよね?」
「んー、どうだろう。人並みって感じだと思うよ。それより花ちゃんのほうこそモテそう。綺麗だし、気遣いもできるし…」
長い手足と、バランスよく配置されている顔のパーツ。周りがハッとするほとの美人で、かつ笑うと可愛いらしいのが魅力的だった。
「全然だよ。…ちなみに和也くんって、年上はアリな人?」
「ん?どういう意味?」
この返事をしてから気がついた。同い年くらいかと思っていたけれど、もしかしたら彼女は年上なのだろうか、と。
「私、和也くんより年上なんだよね」
「そうなんだ!若く見えるね」
「今年で34歳なんだよねー…」
ただ別に、年齢は関係ない。年上でも大歓迎だ。
「花ちゃん美人さんだし、全然見えないね。肌もすごい綺麗じゃない?」
「一応努力してますから(笑)」
「僕はむしろ、年上の人が好きだよ」
ちゃんと、僕の意思は伝えたはず。それに彼女の気分を害するようなことは決してしていない。
「和也くんといると、本当に楽しいな」
「こちらこそ。次は、いつ会う?」
「来週とかどうかな。早すぎる?」
「全然。むしろ早く会いたいから嬉しい」
こうして初デートは楽しく終わり、かなりいいムードで解散した。
1回目のデートで悪いところはなかったはず…。女がスッと逃げた理由は?
Q2:女が「この男って…」と思った言動は?
お互い好意的な気持ちを抱いて迎えた二度目のデート。この日はちょっと趣向を変えて、焼き鳥にした。
西麻布にある、“焼き鳥のグランメゾン”とも呼ばれている『焼鶏 ひらこ』。ここも、デートでは間違いのない店だ。
「なんてオシャレなお店…」
彼女の反応はまたしてもよい。
素敵な女性はたくさんいるけれど、一緒に食事をして、一緒に感動できること。結局、これがすべてな気がする。
「美味しい食事を一緒に愉しめる女性って、素敵だよね。花ちゃんは本当に美味しそうに食べるし、喜んでくれるし…。僕、花ちゃんみたいな人が好きだな」
遠回しに、でもちょっとダイレクトに言ってみた。すると花は驚いたような顔をした後に、嬉しそうに微笑んだ。
「和也くんって…そういうこと、よくサラリと言えるね」
「だって本心だもん」
「もー。人の心を弄んで!」
「そんなことないよ(笑)ひどいなぁ」
お互い明るく笑い合った。
このときはサラッと流されてしまったけれど、もう少し一緒にいたいと思っていたし、純粋に彼女と過ごしている時間が楽しかった。
「和也くんカッコいいし優しいし…本当に独身なの?」
「当たり前だよ!独身じゃなかったら、花ちゃんをデートにも誘わないでしょ」
「そうだよね」
美味しい焼き鳥を食べて心もお腹も満たされた僕たちは、ホクホクとした気分で外へ出た。
6月の西麻布の夜の空気は湿っぽく、少し重い。でも心は軽やかだった。
そして解散するにはまだ早い時間。そこで僕は、花に二軒目の提案をしてみる。
「花ちゃん、このあとどうする?よければうちで飲まない?家にお酒がたくさんあるんだよね」
「そうなの?でも今日は帰ろうかな。明日ゴルフだから、朝が早いんだ」
「それは仕方ないね」
もっと一緒にいたいけれど、「明日の朝が早い」と断られた以上、引き止めるわけもにいかない。
だから僕はサッとタクシーを止め、素早く彼女を先にタクシーに乗せ、しかも運転手さんに「お願いしますね」と挨拶までした。
三度目のデートでも、僕のスタンスは基本的に変わらなかった。あくまでも紳士的に、でも少し積極的に。
そのバランスは悪くなかったはず。
それなのに二度目のデート以降、彼女からの連絡は一気に減ってしまった。
― デートプランも完璧だし、会話も盛り上がった。そもそも、僕のスペックも悪くないはずなのに…?
一体、何が悪かったのだろうか?
▶前回:「結婚も考えている」と言葉にしたはずなのに…。同棲2年目で、女が男を置いて出て行ったワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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完璧な男なのに、女が落ちなかった理由