「彼がいるのにモテちゃって困る♡」恋愛未経験女子の恥ずかしい体験談
恋愛カウンセラーのmamiと申します。今でこそ、「お相手選びのポイント」だとか、「成功させる」「結果を出す!」「結婚までのストーリー作り」が得意なわたしですが……。今回はわたしのイタい恋についてお話しします。
■お嬢様じゃないけれど……
わたしが育った家庭は万事に親が厳しくて、恋バナなんて死んでも無理、そんなこと(という親の感覚)に興味があるとバレたらヤバい、とても窮屈な環境でした。門限もあり、趣味は読書。活字の中で息をしている感じ。少女漫画は読書の一環として、なんとかギリギリ許されてたかな。
中学までは共学だけど、男兄弟のいない女子校育ちで、異性ってとにかく特別な存在だったんです。「恋愛も人間関係・その中のひとつのカタチ」と理解できるようになったのは、ずっとずっと後のこと。
社会に出てからはカルチャーショックの連続でした。お堅い職場なんですよ。それにもかかわらず、「mamiちゃんかわいね」「頑張ってるね」なんて、とにかくもう、すっごく優しいんです、男性が。
「おはよう、天気いいね」なんて頭ポンポンされたり、お洋服を褒められたり。Aさんは「ご飯おごるよ」って何度も誘ってくるし、Bさんは「飲みに行こう」って言うし、Cさんは「映画のチケットあるんだけど」って。
友達に話すと、「普通にモテてる」と爆笑されました。モテてる……。たしかに小説でも漫画でも、何気ない日常からロマンチックが始まるんですよね。恋が向こうからやってくる! でもでも……困るんですよ、そういうの。
■わたし、大好きな彼と結婚するんで
わたしには大好きな遠距離の同級生がいたんです。大好きで大好きで。携帯もない時代だから、手紙を書いたり電話をしたり。半年に一度の彼の帰省が楽しみでした。
いろんな話をしましたよ。将来のことも話しました。住むならどこがいい? とか、家事や仕事はどうするか? とか。美大卒業しても就職せずにバイト生活の彼だったから、「結婚しよう」とは言われてないけど、ずっと何年も付き合ってる。だからいくら周囲の男性からアプローチされてもね。勝手に惚れられて断りきれなくなって進展しちゃうとマズいじゃないですか。
24歳の時です。彼が事故で骨折という知らせが耳に入り、入院先に駆けつけました。ええ、飛行機です。彼の一大事だもの、飛んでいくのが当たり前ですよね。デイルームで会った彼は、松葉杖だけど元気そうでした。テーブルをはさみ、向かい合って顔を見るだけで、今度会ったらあれも話そう、これも話そうと思っていた言葉があふれかけて息詰まり、ようやくわたしは口にしました。
「心配したよ。どうしてすぐ連絡くれなかったの?」
「どうしてって……」
■衝撃が深すぎると瞬間は冷静でいられる
なぜか微妙な空気のまま、しばらくすると一人の女性がデイルームに。そして、メチャすんなり親しげに彼の隣に座るんです。「具合どう?」ってボディタッチで聞くんです。彼、微笑みで応えます。
は? 何このシチュエーション。何なの? 何が何だか分かりません。
嘘です。分かりました。空気って凄いですね。
二人は付き合ってる……。恋人同士……。え? いつから? あたしは? あたしは何? どうしたらいい?
頭の中で必死に正しい答えを探す自分……。「じゃぁ、そろそろ帰るね」って、平常心を装い席を立ちました。何がそろそろなんだか、意味はありません(笑)。心に木枯らしどころじゃない。ツンドラです。凍土です……。
■だけど涙が出ちゃう、女の子だもん
時間はかかったけど、分かったの。彼とわたしは昔の同級生、友達。彼は「好き」とは言ったけど、それは告白とは違うものね。思えばセフレですらなかったかも!? いや、そういうことはありました。だから何年も何年も思い違いが続いたんです。
振り返れば、会いたがるのはいつもわたし。電話するのもわたし……。考え出すと、あれもこれも芋づる式にヤバくなります。
いろんな男性からアプローチされちゃうエピソードだって、勘違いとか先走り妄想レベルに近いかも。それが証拠に、誰からも告白されてませんから! モテて悩むというなら、告白されてから悩めば良くない? 女子しかいない空間で育ってきたから、男性の普通の優しさとか新人さん歓迎行為まで、ものすごく特別なものに受け取ってしまっていたのです。男慣れしてないって悲劇なのか喜劇なのか。
■イタい恋から得た教訓「ちゃんと現実を理解しよう」
わたしがこの経験から学んだのは以下の3つ。
1)お付き合いの始まりと終わりのスタンダードを知る。
2)女子が好む女子のための恋愛フィクションと現実は違う、ということを理解する。
3)自分の立ち位置を確認し、相手の行動を見る。
始まってなかったのに終わるって超つらいけど、彼も謎の距離感に怯えていたかも(笑)。とはいえ、わたしが壮絶なショックを受けたのは事実。ここから妄想癖をプラス変換するためにも、人間心理を勉強し「本気出して作家になろう!」と志すことになったの(キラキラ)。結論を言うと、作家にはなれなかったけどね。でも、結婚はできたし今もとても幸せ。命短し恋せよ乙女! ですね。
(文・mami、イラスト・菜々子)