花粉症の薬の上手な選び方を、薬剤師が伝授します

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花粉症の辛いシーズンがやってきますが、「花粉症の薬はだるくなるからイヤ!」という方多いのではないでしょうか?

「なんで花粉症の薬はこんなに眠くなるんだろう?」、「なんでこんなにダルいんだろう?」

花粉症も辛ければ副作用も辛いという二重苦ですよね……。

朝起きるのがだるかったり、仕事中に眠気に耐えられなかったり、口の中が乾燥してしまったりと、色々な副作用による生活への影響がありますが、ちょっとした薬選びの工夫でこういった症状が緩和される
かもしれませんよ!

そこで今回は薬剤師であり長年に渡り薬剤師教育に携わっていた筆者が、花粉症の薬について説明します。

眠気や口の渇きが強い花粉症の薬

いわゆる“昔ながらの鼻炎薬”というのが眠気の強い薬の代表です。

処方せんで購入する薬にはほとんど見かけなくなりましたが、市販薬ではまだまだ販売されていています。

分類で言えば“第一世代抗ヒスタミン薬”というもので、代表的な成分は『マレイン酸クロルフェニラミン』です(多くの鼻炎カプセルなどに配合されています)。

この分類の薬は、鼻水やくしゃみに非常に効果的である代わりに“眠気やだるさが強い”というのが特徴です。

話は少し逸れますが、皆さんは『ドリエル』という睡眠改善薬をご存知でしょうか?実はこのドリエルに配合されている成分『ジフェンヒドラミン塩酸塩』も“第一世代抗ヒスタミン薬”なんです!

花粉症の薬では副作用となっている眠気も別の見方をすれば主作用なんですね。

で、何が言いたいのかというと、“第一世代抗ヒスタミンはそれぐらい眠気の副作用が強い”ということ。

花粉症の薬を服用して副作用で生活に支障が出てしまう方は、“昔ながらの鼻炎薬”の服用を避けた方がいいかもしれませんね。

現代の鼻炎薬は副作用が弱い!

それに引きかえ、“花粉症の症状を抑える効果は限定的だが、副作用が軽い”という花粉症の薬があります。

分類で言えば“第二世代抗ヒスタミン薬”というもので、近年CMで流れているような商品群です。

『アレグラ』、『アレジオン』、『ザジテン』など、以前は処方箋で購入するような商品が今では薬局やドラッグストア等で購入することができるようになりました。

この第二世代抗ヒスタミン薬は、症状を抑える効果は限定的とはいえ、プラスの効果として“アレルギーの予防”がありますので、特に花粉症のピーク期には随分と楽に過ごせるかと思います。

ただし注意点として、“症状が出始める前から服用をする”ということが大切です。ヒドくなってしまった症状を抑えるには少し物足りないと感じるはずです。

遅くとも「あれ?花粉症かな?」と感じたら直ぐに服用を始めたほうが良いでしょう。

最後に、上に挙げた第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、「眠気はより少ない方がいい!」という方は『アレグラ』を、「症状をより強く抑えてほしい!」という方は『ザジテン』をお薦めします。

いかがでしたか? 筆者の経験から第2世代抗ヒスタミン剤の服用をおすすめするのは間違いないんですが、市販されている薬を購入するにはまだまだ高価かなと思います。

病院や診療所で診てもらう時間的な余裕のある方は、処方せんを書いてもらった方が金銭的に安く済むと思いますよ。

ぜひ参考にしてくださいね。

【参考】

※ 『治療薬マニュアル2016』(医学書院 )

※ 一般社団法人日本OTC医薬品情報研究会(2016)『OTC医薬品事典2016-17』(じほう)

【画像】

※ puhhha / shutterstock

【筆者略歴】

言霊小町

薬学部を卒業後、製薬会社の学術職を経て、薬局・ドラッグストア業界で教育・採用などの業務に従事し数百名の薬剤師を育成。現在は独立し、薬剤師の転職を支援する会社「薬剤師キャリア」を運営している。