我慢しない! お米を食べてダイエットを成功させる方法
お米などの炭水化物に含まれる糖質は、ダイエットの敵だと思われがちですよね。ダイエット中にお米を抜く人もいるかもしれませんが、お米を食べないことで体にどんな影響があるのでしょうか? ダイエット中にお米を食べるメリットやデメリット、お米を食べる際の注意点などについて、管理栄養士の関口絢子さんに教えていただきました。
■お米の成分と体への影響
そもそもお米とはどんな食品で、食べることで体にどのような影響があるのでしょうか。お米の成分と体への影響について解説します。
◇お米の成分
関口:お米は体のエネルギー源であるでんぷんが7割以上を占め、消化吸収がよく、腹持ちがよいのが特徴です。たんぱく質や脂質、ビタミンB1、B2、E、食物繊維、亜鉛なども含まれています。お米の中でも、玄米には糖質を燃焼して排出させるビタミンや食物繊維が多く含まれているため、体にとって理想的なエネルギー源だと言えるでしょう。もちろん、白米でもおかずとの食べ合わせによってバランスを取ることが可能です。
◇お米が体に与える影響
関口:お米の主成分である炭水化物は3大栄養素の1つで、体内でブドウ糖に分解され、エネルギーとして使われます。ブドウ糖は脳のエネルギーにもなり、頭を働かせるために必要な栄養源です。
お米は粒のまま食べるので、精製された小麦粉で作るパンや麺類よりも消化・吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑えることができます。そのため腹持ちがよく、インスリン(体に脂肪を溜めるホルモン)の分泌も緩やかで、体脂肪の蓄積を抑えることができます。
■ダイエット中にお米を食べるメリット&デメリット
お米にはパンよりも腹持ちがよく、体脂肪になりにくい食品だということがわかりました。それでは、ダイエット中にお米を食べるメリットやデメリット、お米を含む炭水化物を控えるメリットやデメリットについてはどうなのでしょうか。詳しく教えていただきました。
◇ダイエット中にお米を食べるメリット
関口:適量を摂取することで血糖値が安定し、食欲を抑えられる点や、腹持ちがいいので間食を抑えられる点が挙げられます。お米は消化吸収が緩やかなため、精製された小麦粉から作られる食品よりも低GI(血糖値の上昇が穏やか)な食品です。上手に取り入れることで、ダイエット中の空腹感や疲れやすさなどを解消することができます。
◇ダイエット中にお米を食べるデメリット
関口:体脂肪を燃やすためには、まず血液中のブドウ糖を消費させることが必要です。お米を食べた場合、お米に含まれるブドウ糖をある程度消費してからでないと、体脂肪の燃焼が活発にならないため、脂肪を減らすまでに時間がかかります。効率よく体脂肪を燃焼させるためには、ある程度お米などの糖質を減らしたほうがよいでしょう。
◇ダイエット中にお米などの炭水化物を控えるメリット
関口:炭水化物には糖質が含まれるので、お米に限らず炭水化物を摂取することで血液中にブドウ糖が流れます。先ほど説明した通り、血糖を消耗すると体脂肪の燃焼が活発になるので、炭水化物に含まれる糖質を控えることで、体脂肪をエネルギーに変換しやすくなります。
◇ダイエット中にお米などの炭水化物を控えるデメリット
関口:人間には1日に100g程度の糖質が必要だと言われています(※)。脳のエネルギーとして糖を使うほかにも、体を動かして脂肪を燃焼させるためのエネルギーとしても、最低量の糖質は必要だということです。
さらに運動をするときには、筋肉中に蓄えられた糖質(グリコーゲン)が必要になります。運動量が多い人が炭水化物を控えすぎてしまうと、不足した糖を自らの筋肉(たんぱく質)を分解して作り出す「糖新生」が起こり、筋肉量を減らしてしまう恐れがあるのです。
ご飯1杯(150g)には約55gの糖質が含まれていますが、そのほかの食品にも炭水化物は含まれているので、お米として食べる量は最低1日に1杯程度でよいでしょう。
■ダイエット中の上手なお米の食べ方
お米を摂りすぎるとダイエット効果を減少させてしまいますが、体のエネルギー源として1日にお茶碗1杯分くらいは摂取したほうがいいとわかりました。しかし、お米以外にも炭水化物を含む食品は多くありますよね。おかずとの食べ合わせのことも考え、具体的にどんな食べ方をすればいいのかについて聞いてみました。
◇ダイエット中におすすめのお米の種類
関口:ダイエットにおいて、特に大切なことは以下の4つです。
☆ダイエットに大切なこと
・血糖値の急上昇を抑える
・消化吸収を緩やかにする
・体脂肪を燃焼させる栄養素を摂る
・排せつを促す食物繊維を一緒に摂る
そう考えると、白米よりは玄米のほうが優れている食品だと言えるでしょう。特に発芽玄米は栄養素が豊富で、炊飯しやすいためおすすめです。また、さまざまな微量栄養素を含む雑穀類を白米や玄米に混ぜて炊くのもおすすめ。雑穀ご飯は白米よりもそしゃく回数が増えるため、少量でも満足感を得ることができます。
◇ダイエット中に適切なお米の量
関口:「炭水化物を控えるデメリット」でお伝えした通り、人間には1日に100gの糖質が最低限必要であることから、主食としてご飯を摂る場合は1日にお茶碗1〜2杯程度を目安にしてください。もし一緒に食べるおかずやデザートに以下の食材が含まれていたり、味付けに砂糖を使った甘いたれがかかっていた場合は、ご飯を半分程度に控えるとよいでしょう。
☆注意したいおかず
・根菜類
・大豆製品
・乳製品
・果物
おかずとの全体的なバランスとしては、たんぱく質食品(肉や魚など)に対して3倍以上の野菜を摂取するように心がけると、栄養バランスがよくなります。また、ダイエット中には汁物を加えることで満腹になりやすく、食べ過ぎを防げます。
◇ダイエット中にお米を食べるときの注意点
関口:食事の際、糖質を最初に摂ると血糖値が急上昇しやすいため、食べる順番に気をつけましょう。食物繊維の多い物から食べ始めると、糖質や脂質の吸収が緩やかになるので、太りにくくなります。ご飯を最後に食べるようにすれば、おかずでお腹が満たされて食べ過ぎを防ぐこともできますよ。
■まとめ
ダイエットを成功させるためには、血糖値の急上昇を抑えて、なるべく安定した状態をキープすることが大切です。そのためには、食べる順番を考え、糖質は最後に摂るようにすることがポイント。また、お米の種類を変えて、ダイエット中は玄米や雑穀入りご飯にし、そしゃくを増やして少量で満足感が得られるようにしましょう。糖質をすべてカットするのではなく、ご飯やおかずとのバランスを考え、低糖質を心がけると無理なくダイエットを継続できます。
(監修:関口絢子)
※画像はイメージです
(※)厚生労働省「日本人の食事摂取基準/2010年版」