鹿児島市を訪れてまず目を引くのは桜島の近さではないだろうか。街のあらゆる場所から雄大な桜島が目に飛び込んでくることに驚きを隠せない。錦江湾の向こうにそびえる桜島は、県民にとってまさに“心のよりどころ”。年間を通して数百回もの噴火を繰り返している活火山なので、県民は噴火そのものには驚かない。気になるのは“風向き”一択だ。毎日チェックするのは、天気予報よりも「降灰予報」と言っても過言ではないだろう。「今日はどちらに火山灰が流れるのか」という風向きのほうが話題になるほど、桜島は暮らしの一部として溶け込んでいる。

【写真】鹿児島市街地と桜島。距離感の近さがうかがえる。県民は噴火には驚かず、風向き命!

【写真】鹿児島市街地と桜島。距離感の近さがうかがえる。県民は噴火には驚かず、風向き命!


■鹿児島県民の誇り「桜島」と、おいしい「黒グルメ」

もちろん、鹿児島の魅力は桜島だけではない。黒豚や鹿児島黒牛、黒さつま鶏、黒酢、黒糖焼酎など、「黒」の名が付く名産品はどれも全国屈指のブランドとして知られている。そのほかにも、鹿児島ラーメンや白熊(しろくま)、さつま揚げなど、おいしいご当地グルメがそろい踏みな点も鹿児島の特徴。観光とグルメのどちらも満喫できる、九州屈指のおでかけスポットである。

黒豚のとんかつや黒豚なんこつ煮込み、黒豚のしゃぶしゃぶなど、同じ黒豚でも食べ方もさまざま


■桜島だけじゃない!日本夜景遺産にも認定された“ムーンロード”を望む展望室へ

そんな鹿児島市でぜひ立ち寄りたいのが、鹿児島県庁18階にある展望ロビーだ。地上約93メートルから桜島や錦江湾、市街地を一望できるこの展望ロビーは、入場無料で利用できる人気スポットである。県庁舎であるものの、なんと土日祝日にも開放され、夜も21時まで利用でき、美しい夜景は日本夜景遺産にも認定されて多くの写真愛好家や夜景ファンを魅了している。

なかでも注目したいのが、条件がそろうと現れる「ムーンロード(月の道)」が望める点ではないだろうか。満月前後の夜、桜島の向こうから昇った月が錦江湾の水面を一直線に照らし、まるで月光の道が海の上に伸びているかのような幻想的な光景を生み出す。今回は、そんなロマンチックな光景を望むことができるという鹿児島県庁の展望ロビーについて、管財課の野村さんに話を聞いてみた。

桜島から伸びる月光の道。息を呑むほど美しい!


--桜島を一望する景観は圧巻ですね!おすすめの時期や時間帯はございますか?

時間帯については、昼夜問わず見事な景観を誇ります。昼間は錦江湾と桜島が一望でき、その景色はとても迫力があります。夜になると、街明かりの先に錦江湾が広がり、錦江湾にまるで浮かび上がっているかのような桜島を一望できます。

--桜島以外ではどのような景色が見えますか?

北側には、すぐ真下にある鴨池公園や北西に広がる鹿児島中央駅周辺の密集した市街光が見どころです。鹿児島中央駅から与次郎周辺までと、鴨池から谷山方面の広い範囲の夜景を楽しむことができます。

北側方面の夜景。白波スタジアムや霧島連山を望む。


北西側からは鹿児島中央駅やアミュプラザ鹿児島の観覧車、繁華街の天文館や標高107メートルの城山まで一望※展望フロアから直下の道路は見えない


--やはり日本夜景遺産にも認定されただけあり、夜景が見どころなんですね!

はい。北・南・東に面した各スペースから多彩な夜景鑑賞が楽しめます。先ほどお話した眼下に広がる鴨池公園や北西方向の鹿児島中央駅周辺の密集したエリアが圧巻ですが、南側も港湾施設「マリンポート」に世界の大型客船が入港している日もあり、見応え十分です。そして東側は市民や観光客からも人気の高い鹿児島のシンボル・桜島を望みます。夜の闇のなか、錦江湾にうっすらと桜島が浮かび上がる景観を、一度見ていただきたいです。

西側に広がる街並み。鴨池市民球場も見える※展望フロアから直下の道路は見えない


東側からは桜島を一望!


--じっくり見てみたいです!そういえば望遠鏡も無料だそうですね。使用上のルールなどありますか?

使用上のルールはありませんが、混雑時は譲り合ってご利用いただければと思います。桜島を望む東側に2台設置しているので、ぜひお使いください。

--ある一定の条件を満たした夜に、桜島から錦江湾に一直線に伸びる「ムーンロード(月光の道)」が見られると聞きました!この幻想的なシーンを求めて訪れるファンも多いようですね?ムーンロードについて教えてください。

満月の日前後に見られる、特別な夜景です。桜島のシルエットを際立たせながら海上に月光の道が出現します。まるで桜島と鹿児島市街を結ぶ奇跡の道が錦江湾に浮かび上がったようで、とてもすてきな景色です。

--野村さんはムーンロードを見たことは?

県庁に配属されてから日が浅く、まだ見たことはありません。

--そうなんですね。実は私、偶然ムーンロードを見たことがあるんです…!前知識もなく、本当に偶然だったので「夢でも見てるの?」と信じられない光景でした。

私も一般の人が投稿している写真を拝見しましたが、まるで一枚の絵画のような景色に心を奪われ、感動を覚えました。

月明かりに照らされ、黒いシルエットとなった桜島もかっこいい!


--今日はありがとうございました。最後に、展望ロビーに併設されているコワーキングスペースについても教えていただけますか?

コワーキングスペースは平日の10時から18時まで、無料でご利用いただけます。「新事業の創出やスタートアップ支援の拠点」として設置しており、県内外を問わずどなたでもご利用可能です。また、ビジネスに関する相談対応のほか、起業や新事業に役立つセミナーやイベント等も定期的に開催しています。

--新たな取り組みについても教えてください。

この18階の展望ロビーと2階の県民ホールは、クーリングシェルターに指定されております。4月の第4水曜日から10月の第3水曜日まで開放しておりますので、ご自宅で暑さを感じている方はぜひご利用ください。また「クールシェア」の取り組みを推進するため、7月から9月の3カ月間は「クールシェアスポット」にも登録しています。旅行中に暑さで体が疲弊する前にちょっと立ち寄っていただければと思います。

コワーキングスペースの「かごゆいテラス」


■鹿児島県民が誇る「黒」と「桜島」!おいしい“黒グルメ”と“桜島ムーンロード”を満喫

鹿児島県庁18階展望ロビーは、昼は雄大な桜島と錦江湾、夜はきらめく市街地の夜景、そして満月前後の夜に条件がそろえば姿を現す幻想的なムーンロードを眺められる絶景スポットだった。今年・2026年の中秋の名月(十五夜)は9月25日(金)。1年で最も空気が澄んで美しいといわれる旧暦8月15日の月夜に、ムーンロードは現れるのだろうか?ちなみに中秋の名月は必ずしも完全な満月とは限らない。今年の9月の満月は2日ずれて、9月27日(日)が満月となる。この時期に鹿児島旅行を予定している人は、ぜひ無料で利用ができる県庁の展望ロビーへ立ち寄ってみてはいかがだろうか?

そしてせっかく鹿児島を訪れたなら、県民自慢の「黒グルメ」も堪能しよう。記事冒頭でも触れたが、鹿児島県民には、「黒こそ上質」「黒こそ最高級」という“黒”至上主義の価値観が根付いており、黒豚や鹿児島黒牛、黒さつま鶏、黒酢、黒糖焼酎など、全国に誇る"黒"の名産品が数多くそろう。さらに、黒潮の恵みを受けたキビナゴやカツオなどの海の幸も鹿児島ならではのおいしい味覚であろう。県民の誇りである桜島を眺め、鹿児島ならではの食文化に触れ、タイミングが合えば幻想的なムーンロードにも出合える--。今年の秋のシルバーウィークはそんな鹿児島の魅力を満喫する旅に、出かけてみてはいかがだろうか?

取材・文=大庭かおり

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