“おこもり”が日常になり、お家で過ごすことも多くなった。

そんな昨今は、ちょっと贅沢な大人の時間を過ごすのに、ワインがちょうどいい。

今回は、ワイン片手に優雅なおやつタイムを過ごすのにぴったりの1本をご紹介。

ドライフルーツやクリームチーズ、パウンドケーキなど、食後の甘いモノとの相性抜群だ!



左:東京カレンダー編集部 嵩倉伶奈/右:ワインジャーナリスト 柳 忠之氏


専門誌からライフスタイル誌まで幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト・柳 忠之氏。

柳氏が東京カレンダーでワイン連載の担当となって5年目。ワインの勉強に日々奔走する編集・嵩倉の質問に、いつも親身になって答えてくれる。


シャンパーニュが危機でも、英国スパークリングがある


――柳さん、浮かない顔してどうしたんですか?

柳「ああ、クラリン(編集担当の嵩倉)。4月の初めにフランスのブドウ畑を遅霜が襲って、シャンパーニュ地方も被害を受けたらしい。去年は遅霜に加えてベト病も広がり、ブドウの収穫量が激減。

幸い、シャンパーニュにはリザーヴワインといって、過去に収穫して醸造したワインを寝かせておく習慣があるからいいけれど、この先も凶作が続くようだと心配。

需要と供給のバランスが崩れて、シャンパーニュが高騰しかねない。」

――ひぃ〜。それは困ります(涙)。

柳「それもこれも温暖化ガスの影響による、気候変動が大きな要因だな。春が暖かく、芽吹きが早まる分、遅霜のリスクが高くなる。」

――シャンパーニュのためなら、私、今年の夏は、寝苦しい暑い夜でもクーラーを弱にして耐え抜くことにします!

柳「いい心がけだけど、屁のつっぱりにもならん。」

――え〜ん、なんとかなりませんか〜?ぐすっ。

柳「ひとつ、面白いことを教えてあげよう。じつは今、温暖化前のシャンパーニュ地方と同じ気候のワイン産地がある。」

――えっ、どこ、どこ?

柳「英国南部。この10年でブドウ畑の面積は2倍近くにまで広がり、現在、3,800ヘクタール。生産量の72パーセントが、シャンパーニュと肩を並べる高級スパークリングワインだよ。」

――まさか、あんな寒そうな国でワインが造られているとは。

柳「ブドウにとって開花から収穫までの理想的な日数は、およそ100日とされている。

シャンパーニュではこれがどんどん短くなってるけれど、英国南部のケント州やウエストサセックス州でちょうど100日だ。アロマ豊かでバランスのとれたブドウが収穫できる。」


英国のスパークリングワイン
「Gusbourne Estate Blanc de Blancs 2015(ガズボーン・エステイト ブラン・ド・ブラン 2015)」


2004年、ケント州のアップルドアに創業した「ガズボーン・エステイト」。中でも今、イチオシなのがこのワインだ。

複雑味を出すため、原酒の一部は古いオーク樽で発酵。最低42ヶ月と、ヴィンテージ・シャンパーニュの規定よりも長い熟成を施す。

8,340円/ベリー・ブラザーズ&ラッド 日本支店 TEL:03-3518-6730


プラチナ・ジュビリーの公式スパークリングに!

今年2月、即位70周年を迎えた英国のエリザベス女王。そのプラチナ・ジュビリーを祝う公式スパークリングとして選ばれたのが、「ガズボーン」だ


――それで、柳さんおすすめの英国スパークリングは?

柳「ガズボーンの「ブラン・ド・ブラン」かな。シャンパーニュのブラン・ド・ブラン同様、シャルドネ100パーセントから造られたスパークリングワインだ。

冷涼な気候と海岸線からわずか10キロの距離にあるおかげで、キリッとミネラル感にあふれるブラン・ド・ブランができる。

ひょっとすると、今となっては本家コート・デ・ブランのブラン・ド・ブランより「らしい」かもしれないね。」

――よかった。シャンパーニュになにかあっても、英国スパークリングがあればひと安心。

柳「クラリン、今年の夏はエアコン節制するって言ったよね?」

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