女は、直感にしたがい、時として大胆にお金をつかう。

その瞬間、彼女たちが心に描くのは、とびきりの夢や幸せな未来。

この連載で紹介するのは、“ある物”にお金をつかったことで人生が変わった女たちの物語。

欲しい物にお金をつぎ込み、夢を見事に叶えた女や、それがキッカケで人生が好転した女もいれば、転落した女もいる。

これまで、子供の塾代に500万円支払う女性やドクター争奪戦に敗れた女性や、結婚相談所に130万円かける女性が登場した。

さて、今回登場するのは?




Vol.4 美容医療に1年間で約240万支払った女性


名前:井出夏美さん(仮名)
職業:主婦、ハワイアンマッサージサロン経営(自称)
年齢:42歳

「綺麗な人が言う、“私何もやってないんです”っていう言葉、素直に信じられます?」

インタビューに応じてくれた夏美さんは、不満そうに語り始めた。

「私、美容医療に240万もかけて、せっかく綺麗になったのに、夫に離婚をほのめかされるようになったんです」

今回話を聞いた夏美さんは、二人のお子さんを持ちながら自宅でハワイアンマッサージサロンを開いているという。42歳にしてずいぶん肌は滑らかで美しく、人を惹きつける華やかさを持ち合わせている女性だ。

「人が老いに抗いたいっていうのは自然なことじゃないですか?でも、夫はそんなことしなくてもいいって言うんです。それって、何もしなくても若さを維持できるという幻想を追い求めている、そう思いませんか?」

彼女は、35歳の頃から美容クリニックに通い始め、ここ最近は毎月約20万を美容医療のために遣っている。すなわち、この1年間で約240万を支払った。

内訳は、ボトックスやヒアルロン酸注射、レーザーなどのしみとり、目の下のクマ治療など、その時々で肌の状態に合わせてメニューを組んでもらっている。

しかし、この金遣いのせいで、夫婦仲が険悪になっており、このまま美容に投資し続けるなら離婚すると脅されているとのこと。しかし、夏美さんは「女性は常に若く綺麗であるべき」という信念のもと美容に投資し続けている。

そんな夏美さんとハイスペだという夫の話を詳しく聞いてみた。


ハイスペ夫との出会いは戦略的に



「弁護士をしている夫と結婚したのは、私の人生計画通りでした」

夏美さんは、小学校から大学まで、お嬢様学校として名高い女子校に通っていた。

彼女の父親も弁護士で自身も何の苦労もなく育ち、母親も常々「女の人生は、結婚相手で決まる」と言っていた。

そういう環境で育ったため、いつの間にか、夏美さんは”ハイスペ男を捕まえ結婚する”ことが人生の目標となり、それが女の幸せだと信じて疑わなかった。

そして、大学卒業後は、法律事務所に秘書として就職。

「もちろん法律事務所に就職したのは、はじめから弁護士との結婚を狙っていたところもありました」

夏美さんは、絶世の美女とまではいかないが、自分がまあまあ美人の部類に入ることはわかっていた。

それに加えて、どうやったら周りに気に入られるかもわかっていたという。

得意の気配りで担当弁護士が何を望んでいるかを把握し先回りして仕事をしていたら、「美人で気が利くね」と職場での評価は上々だった。

「私そういうところはちゃっかりしてるんです。自分の売りを分かっているので自分を最大限に売り込みました」

その結果、事務所のホープと言われていた今の夫と付き合うようになると、父親が弁護士だったこともあり、とんとん拍子に話が進み結婚に至った。

当時夏美さんは26歳、彼は28歳だったという。

ここまでは、夏美さんの人生はパーフェクトだった。




しかし、結婚して仕事を辞め念願の専業主婦になったあと、急に自分の居場所がなくなったような気がした。

それまでは結婚がゴールだったため、目標を達成してしまい、急に目標を失い無気力になったという。

「当時は弁護士の夫がいること以外に、自分に誇れるものが何もなかったんです」

結婚後、娘が生まれたにも関わらず満たされぬ思いをずっと抱えていたと語る。

そんなとき、なんとなく夏休みに親子でハワイ留学をし、子供がサマースクールに行っている間に、夏美さんはハワイアンマッサージ・ロミロミのコースを受講した。

3週間程度のものだったが、これが人生を変えるきっかけとなった。


彼女の人生が一転、カリスマ主婦になった理由


たまたま、そのハワイアンマッサージ受講中の写真や、娘のハワイでのサマースクールの写真をSNSで上げたところ、思わぬ反響があった。

当時こぞってモデルや芸能人がハワイからブログやSNSを発信していたこともあり、素人の夏美さんもそのブームにあやかり「いいね!」や「フォロワー」が増えたという。#ママ #ハワイ #ロミロミなどの組み合わせがウケたようだ。




調子に乗った夏美さんは、インスタやツイッターなどSNSを頻繁に更新するようになった。そのために、おしゃれな服を購入し、旅行に行ったり、有名レストランを訪れたりしてキラキラネタを仕入れて、その都度記事や写真をあげた。

そして本当はマッサージサロンなんて開設するつもりはなかったが、長期休みを利用して子供とハワイに度々行きロミロミのアドバンスコースなどを受け、SNSにアップした。

実際は、友人たちにたまに施術をする程度だったが、自宅をまるでロミロミサロンのように撮影してみたりと、その虚栄はエスカレートしていった。

「こんなこと初めてでした。SNSのお陰で急に女性から“カリスマ主婦”としてネット上で羨望のまなざしを受けるようになって」

“ママなのに綺麗!そしてハワイで資格取得なんて素敵!”という憧れの目でみられ、それまで満たされなかった何かが急速に満たされるようになった。

「もちろん写真はアプリで加工して自分がきれいに映っているものを投稿するのですが。ちょっと綺麗で華やかなことをしている主婦というだけで、ブランドになるんですね。しかも、夫がハイスペだと怖いものなしです」


世間が求める“美人カリスマ主婦”という虚像を守るために


「ところが、ある日、自撮りした写真をみたら、目の下に大きなクマがあったんです。あの写真を見た時は恐怖でした」

もちろん写真には加工アプリを駆使していたが、加工した写真と本当の自分の顔との間にあるギャップが次第に許せなくなったのだという。

「SNS上では綺麗で憧れのカリスマ主婦なのに、実はただのオバサンだなんてみんなもがっかりするでしょう。みんなの期待を裏切ってはいけない、そう思いました」

そして美容皮膚科の門を初めてくぐり、ヒアルロン酸の注射をうってもらった。その後はカウンセリングを受けて、勧められるままにボトックスや高濃度ビタミンC注射なども打つようになったとのこと。

「その時はいいんです。でもすぐに元に戻っちゃうので、そしたらまた注射を打ちに行きます。自分の本当の顔が老婆に見える瞬間があって、それを見たくなくて美容皮膚科などに通い詰めるようになりました」

そして、40歳を過ぎたあたりからはさらにエスカレートして、本格的に美容に投資するようになった。美容外科でメスを使わないリフトアップなども取り入れ、最近では月額平均20万ほど遣うようになった。

「加齢の問題って、自分の努力だけではどうすることもできません。だからこそ、きれいであり続けるためには医療の力を借りることも必要だと思ってるんです。アンチエイジングできるのであればこの金額はむしろ安いとすら思いますね」

しかし、この状態に待ったをかけてきたのが、夫だった。

「初めは夫も賛成してくれてたんです。でも、金額と頻度が増えると反対し始めて。ひどいと思いませんか?夫だって妻が美しい方がいいに決まってるのに」

夫は、「そんなことをしていたら、自分の本当の姿が受け入れられなくなるからやめるべきだ」と言ってきたという。そして、その忠告をなかなか受け入れられない夏美さんに対して離婚をほのめかしてきたとのこと。

「昔からアンチエイジングは人類のテーマだと思うんです、なぜ、現代医学の力を利用して若くあり続けることがダメなのか理解できません」

そう語る夏美さんの横顔は、シミ一つなく相変わらず完璧に美しかった。そう、まるで彼女が投稿しているSNSの世界のように。

高額を支払い手に入れた「若さ」は、「離婚」という代償を負うかもしれない。

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離婚後の女の金遣い

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〜夫の学生時代の友人2家族と、家族ぐるみの付き合いを開始した美希(36)。マンネリな日常からの脱却に喜んだのも束の間、いつしか関係はいびつに変化していき…。続きは、明日の連載をお楽しみに!