「Blanc」の「イワシオイルサーディンとみかんのサンドイッチ」¥680。シャルドネ種の白ワインと一緒に

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パンブームの昨今、お酒が飲めるパン屋さんも急増している。パンのことはその道のプロに聞くのが一番。そこでパンの研究所・パンラボ主宰の池田浩明さんに、“パンの飲み”の魅力について語ってもらった。

「高知県野菜のリヨン風サラダ卵のせ」¥1,296。パンは「瓦」(手前)とマスカルポーネを練り込んだ「ブラン」(奥)。ワインは自然派を中心に約60種

■ ここ数年のパンのグルメ化がお酒との“出合い”を増やしている

― 昨今、本格ベーカリーが手がけるレストランが増え、“パン飲み”という言葉も生まれています。そのブームの要因は?

「ワインが好きな人が、パンの魅力にも気づきつつあるのを感じています。今、自然派ワインが注目されていますが、パンの世界も国産小麦だったり、具材にオーガニック食材を使ったりと、よりグルメ化しています。そんな流れのシンクロも、パンとワインが出合う機会を増やしていると思います」

― 池田さんがおすすめするパンとワインの組み合わせは?

「カンパーニュのような、発酵種を培養させて作ったパンと自然派ワイン。自由に伸び伸びといろいろな菌たちに任せて作ったパンと、自然派ワインは波長が合います。あと、おもしろいのがカレーパンとスパークリングワイン。カレーの辛味をシュワシュワと洗い流すイメージで、その爽快感が気持ちいいです」

■ 個性的なパンと自然派ワインを楽しめる「Blanc」(虎ノ門)がおすすめ

― 最近では、日本酒などワイン以外のお酒パンのマリアージュが楽しめる店も登場しています。ワイン以外のお酒とも合うのでしょうか?

「国産小麦のパンと日本酒は合うと思います。特に北海道産の『キタノカオリ』や『ゆめちから』のフレーバーは、お米のあと味に近いので。そのほかではカンパーニュとウイスキー。麦を熟成させているもの同士なので相性がよい」

― 最後に池田さんのお気に入りの“パン飲み”の店を教えてください。

「うーん、たくさんあるので迷うなあ…(としばし考える)。1つ挙げるとしたら虎ノ門の『Blanc』ですかね。ここは旬の食材をアドリブ的に調理する店ですが、定番ものでは『イワシオイルサーディンとみかんのサンドイッチ』(要予約・テイクアウトのみ)と白ワインの組み合わせが好きです。あとは『瓦』というカンパーニュもぜひ味わってほしい。味わいは重く、食べ口は軽いという不思議なパンで赤ワインとよく合います」

【池田浩明】パンライター。日本中のパン店に赴き、取材をしてその魅力を伝えるパンの研究所・パンラボを主宰する。近著は「パンソロジー:パンをめぐるはなし」(平凡社)など。(東京ウォーカー・取材・文=河合哲治郎 撮影=三佐和隆士)