親から子に、遺伝する病気にはどんなものがある?
私たちの体は両親から1組ずつの遺伝子をもらってできあがっているので、ひとりあたり2組の遺伝子を持っているわけです。その遺伝子のうち、特徴がでやすい遺伝子を優性遺伝子といい、特徴が出にくい遺伝子を劣性遺伝子といいます。よく誤解されますが、優性だから優れている、劣性は劣っている、という意味はでは、まったくありません。どちらかが優位、ということなのです。
メンデル遺伝病は単一遺伝子疾患ともいわれ、人の体は約2万数千個の遺伝子で作られますが、その内のひとつの遺伝子の異常により、発症すると考えられています。遺伝の仕方には、大きくわけて「常染色体優性遺伝」、「常染色体劣性遺伝」、「X連鎖性劣性遺伝」、「X連鎖性優性遺伝」の4つがあります。では、早速これら遺伝による、病気の特徴を見ていきましょう。
1.常染色体優性遺伝による病気
特徴としては、1/2の確立で病気に関係する遺伝子が伝わり、男女差はなく、病気もしくは病気の原因となる遺伝子の変異は世代ごとに発現します。代表的な病気としては、家族性コレステロール血症、ハンチントン病、家族性線種性ポリポーシス、マルファン症候群、などがあります。
2.常染色体劣性遺伝による病気
特徴としては、子どもに症状が現れた場合、両親のどちらもその病気の保因者があるケースもあります。ただ、男女差はないのですが、生まれてくる子どもだけが遺伝性疾患による症状をもつこともあります。代表的な病気としては、ヘモクロマトーシス、フェニルケトン尿症、アルカプトン尿症など
3.X連鎖劣性遺伝による病気
特徴としては、父親から息子に遺伝することはなく、その病気の患者である男性から娘を介して孫へ遺伝し、孫が男なら1/2の確率で病気になる可能性があります。代表的な病気としては、血友病、ファブリー病、デュシェンヌ型筋ジストロフィーです。
4.X連鎖優性遺伝による病気
特徴としては、症状が現れた男性はその変異を娘に伝えますが、息子には伝えません。代表的な病気としては、低リン酸血症性くる病です。
■まとめ健診ではよく、糖尿病、高血圧、心筋梗塞などの生活習慣病の家族歴を聞かれると思いますが、これらは、多因子遺伝病と言い、複数の遺伝子と環境要因の相互作用により発症すると考えられています。
(35歳女性産婦人科医/Doctors Me)
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