ボーイズラブは世界の10%以上の動物で見られる

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ボーイズラブの名で知られる男性同士の恋愛話。タブー視する傾向が強いなかで世に広まったのは、興味を持っている人が多いことに他ならない。

それもそのはずで、日本では平安時代から存在していたほど歴史が長い。しかも世界の10%以上の動物で同性同士の恋愛行動が見られるというから、ボーイズラブは意外と普通なのだ。

■ぼくらはみんなボーイズラブ

ボーイズラブは古今東西から存在し、日本最古の記録とされているのは養老4年(720年)に完成した日本書記で、小竹祝(しのほふり)と天野祝(あまのほふり)という仲が良すぎる二人の神官が記されている。

精神的なつながりが中心で、現代とは比較にならないソフトな内容だが、西暦170年ごろは特異的な話だったに違いない。これを起点と仮定しても、ボーイズラブの歴史は1,800年以上の歴史を積み重ねていることになる。

平安時代になると、稚児(ちご)の呼び名で市民権を得た形となる。本来は若い修行僧を指す言葉なのだが、女人(にょにん)禁制の寺では女性の役割を果たし、僧侶のお相手を果たしたと記す文献が多い。

古典の教科書にも稚児は登場するので、背景を想像しながら読むと真の内容が把握できるだろう。

やがて江戸時代になると、職業としてのボーイズラブも登場する。陰間(かげま)、色子、若衆(わかしゅ)と呼ばれる人たちだ。

多くは役者の副業として男性のお相手をしていた。現代ならコールガール改めコールボーイと言ったところだろうか、何でもありの江戸時代ならではの商売だ。

驚くことに、動物界にもボーイズラブは存在する。アメリカの名門校イェール大学が運営するYale Scientificによると、世界中の動物の450種以上に同性同士の恋愛行動が見られたという。

オスのペンギン同士が首をからませ合って声を発する求愛行動をしたり、メスをしり目に互いをなで合うオスのキリン、3頭のオスイルカのカップル(?)、オスが減るとメス同士のペアが登場するアホウドリなどだ。

もっと強烈なのは、オス同士で交尾するゴキブリなどの昆虫だ。これは付着したメスのフェロモンによる誤解から始まる場合もあるが、コクヌストモドキという甲虫は、メスと交尾する前に古い精子を排出するのが目的と考えられている。

キリンだって、イルカだって、ゴキブリだって。みんなみんなボーイズラブさ。

■頭文字(イニシャル)Xの歴史

ボーイズラブのきっかけは何か? 母親が怖くて女性嫌いになった、ヒドいフラれ方をして異性を信じられなくなったなどメンタルな要素も多いのだろうが、生まれながらに同性の方が好き!という人もいる。これは性染色体によるもので、Xq28と呼ばれる部分が好みの性別を決めているのだ。

性別を決める性染色体にはXとYの2種類があり、XXの組み合わせは女性、XYなら男性になる。Xq28は頭文字が示すようにX染色体の一部を意味し、また、染色体は長短2種類の腕を持つような構造で、短腕をp、長腕をqで表す。ここまで聞けばお察しの通り、Xq28は「X染色体の28番目の長腕」の意味だ。

このXq28の状態によって、異性よりも同性が好きになる傾向が強くなるというデータがある。加えて遺伝子だけに先代から受け継がれるため、近親者にも同じ「好み」が起きやすい。近親者が同性好きだった場合、自分も同じ好みになる確率は、

・一卵性双生児 … 52%

・二卵性双生児 … 22%

で、遺伝子の役割がはっきり分かる。洋の東西を問わず、古代から脈々と受け継がれているのも、当然の結果と言えるだろう。

■まとめ

Xq28はX染色体の一部だから、女性にもあり得る話だ。「オトコの人って、なんか苦手」と感じている人は、もしかしたらXq28の影響かもしれない。

遺伝子レベルの好みだから、考えても始まらない。自然な自分を受け入れるのが良さそうだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)