「若作りカジュアルおばさん」画像へ、角さんの反論イラスト
先日、X(旧Twitter)で「カジュアルおばさん」なるワードがトレンド入りしました。黄色のロゴTシャツに身を包んだミドルエイジの女性の写真に「イタい若作りカジュアルおばさん」と文字の入った画像が拡散され、「何を着ても勝手でしょ?」「おばさん上等、これからも着たい服を着る」など、様々な批判やコメントが飛び交いました。

元々はブログ「TOKYO REAL CLOTHES 大人世代のリアルクローズ」で、2023年2月15日に公開された記事の中の1画像。記事自体は、ロゴTをイタく見せないために大人世代に似合う組み合わせを解説するというもので、「お洒落迷子さんの参考になれば嬉しいです」と優しく締めくくられていました。

それがこのタイミングでXユーザーの投稿をきっかけに拡散し、あの1枚の画像だけが独り歩き。不幸にも多くの女性をイラッとさせてしまった「若作りカジュアルおばさん」画像に関して、ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子さんに意見を聞きました。

◆日常のいたって普通の服。自分のスタイルを守ってほしい

――角さんは正直、この画像を単体で見たときにどう思いましたか?

角佑宇子さん(以下、角):街中でよく見かける、いたって普通のミドル世代かなという印象です。たしかにすごく洗練されているかと言われると、そうではないかもしれません……。いろんな方がいますし、エリアによって違いはありますが、とにかく、当たり前の日常の服装だと思います。

雑誌やドラマの世界ではカジュアルコーデも常に洗練されているものですが、実際の生活においてはそんな服ばかりは着ていられませんよね。ある意味、現代社会を生きるママさんのリアルクローズではあるし、それが一番ストレスフリーに着られる服というのであれば必要不可欠なファッションです。ご自身のスタイルを守ってほしいと思います。

◆どれもド定番アイテムだけど、なぜ突っ込まれたのか

――画像内で名指しで指摘されている、ロゴT、デニムパンツ、スニーカーはいずれも、大人女性向けファッション誌の最新号にも登場するような「ド定番」アイテムです。なぜわざわざ突っ込みたくなるのだと思いますか?

角:おっしゃる通り、全てのアイテムはいたって普通の定番服です。それを着ているからといって「若作りを狙うカジュアルおばさん」と思う人は実際にはほとんどいないのではないでしょうか。しかし、カジュアルな定番服を着て洗練されて見える人とそうでない人は存在します。その点で言うと画像のアイテムは定番とはいえ、あえてちょっと古びたアイテムを選んでいますよね。

つまり、ブログで解説されていた組み合わせの他に、定番アイテムの鮮度も重要だと言いたいのかもしれません。10年近く着続けているTシャツやデニムはどうしてもシルエットが古めかしくなってしまうので、それ=「カジュアルおばさん」と揶揄(やゆ)されるのではないでしょうか。若作りとは違いますが。

スニーカーに関しては、今回のアイテムのデザイン自体、若作りも何もありません。ただ難しいのは着る服との組み合わせバランスですね。スニーカーとの組み合わせで、相性の良いボトムスも悪いボトムスもあるので、それを間違えるとコーデが野暮ったくはなるかもしれません。

◆そもそも今回の画像の服装を「若作り」とは言わない

――大人女性の服装において、カジュアル=若作りでしょうか? また、若作りと思われやすい服装とはどういうものでしょうか。

角:いえ、カジュアルは若作りではありません。

この画像の「カジュアルおばさん」というのは、時代遅れになってしまったカジュアル服を今も着ている=若い頃の自分を捨てきれていないのでは?=無理に若作りしているカジュアルおばさん、と言いたいのではないかなと思います。