他にも、電車で爆睡して、気付いたら車内に誰もいなくて暗い野原を爆走していたとか、フランクフルト国際空港に行こうとしたら、フランクフルト・ハーン空港という野原の真ん中にある空港に到着してしまった、といったスリリングな失敗談も。

 部屋の鍵を閉める習慣がなく、深夜に酔っぱらった別の部屋の男性が間違えて入ってきたときは、思わず「あなた、この部屋に住んでいる人ですか?」とやさしく声をかけたら、謝って出て行った、という話も印象的でした。

 危険を感じる場面でも怒ったり声を荒げたりすることなく、丁寧な応対をされるところにプリンセスの気品と、トラブルを円満に解決する秘策が表れています。

◆徳でバズっているインスタグラムや留学記

 宮内庁のインスタグラムや、「赤と青のガウン オックスフォード留学記」のバズられ方を見ると、話題のニュースや商品の力を借りず、徳でバズっているように思えます。

 届くべき人に届いて、深く心に残るのが、消費されない理想のバズり方かもしれません。

<文・イラスト/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。