「実は、奥さんとずっとレス…」美人妻を持つ、33歳医者の衝撃告白。エリート夫婦の実態とは
一見、何不自由なく、幸せそうな夫婦。
けれど、彼らにも抱えている問題がある。
― セックスレス ―
はたから見れば、あんなに綺麗な妻・夫がいるのにどうして?と思うだろう。
相手と体を重ねなくなったとき、夫婦関係はどこへ向かうのか。
充実した仕事、十分な収入、美しい妻を手に入れたものの、レスに悩む男たちの本音が、今浮き彫りになる…。
小野幸弘(33) 大手法律事務所 弁護士
「琴子、俺の白いネクタイ知らない?」
幸弘は、1階にあるヨガスタジオから戻ってきたばかりの妻・琴子に尋ねる。
「あれ、いつものところにない?この間クリーニングに出して、コンシェルジュの人が持ってきてくれたはず…」
琴子は、慌ててウォークインクローゼットの中を探す。
「ほら、あるじゃない」
細く引き締まった体が強調されるヨガウェアを着た琴子は、幸弘の首にネクタイをかけて結ぼうとする。
「あ、そこか。見えなかったわ、ありがと」
幸弘はお礼を言うと、琴子の手からネクタイをさりげなく奪い、自分で締めた。
身長182cm。程よく筋肉のついた幸弘の体に、オーダースーツがよく似合っている。
「今日って高校時代の友達の結婚式だっけ?」
「そうそう。多分飲んでくるから、帰りは遅くなると思う。先に寝といて」
「そっか。じゃあ私も、誰かとご飯でも行こうかな」
琴子の言葉に、幸弘は「そうしたら?」と微笑んだ。
「お、タクシー着いたって。そろそろ行くわ」
「うん、楽しんできてね」
「ありがとう。琴子もね」
玄関で見送る琴子に、爽やかに別れを告げる。
ドアが閉まったのを確認して、幸弘はスマホを取り出した。
LINEには、ある女性からのメッセージ。
幸弘は「また、後で」とだけ素早く打つと、タクシーへと乗り込んだ。
同級生3人の再会
「幸弘!久しぶりだな」
「ザ・リッツ・カールトン東京」のエントランスでタクシーを降りた幸弘は、不意に後ろから声をかけられた。
振り返ると、高校時代に仲の良かったミナトが立っている。
「おー、ミナト。久しぶり。お前いつも忙しいから、来られないかと思ったわ」
「いやいや、幸弘ほどじゃないよ。最近どうよ?相変わらずか?」
幸弘とミナトが世間話をしながら会場へ通されると、同じテーブルに中肉中背の男がすでに座っていた。
「うわ、陸じゃん!久しぶり。陸、ちょっと太った?」
言った途端、ミナトはわざとらしく口に手を当てる。
「やべっ。今の時代、見た目のことを言っちゃ、いけないんだっけ?」
いつものミナトのノリ。
陸は「おい、幸弘。訴えたら勝てるよな?」と笑って返した。
幸弘、ミナト、陸の3人は、港区にある中高一貫校の出身。
高校1年生のときに、同じクラスになって以来の付き合いだ。
3人がいつものようにじゃれあっていると、司会者の声が会場に響き渡る。
「それでは皆さま、新郎新婦の入場です。温かい拍手でお迎えください」
気恥ずかしそうな顔をした元同級生が、着慣れないタキシードに身を包み、会場へ入ってきた。
彼の隣を歩く花嫁は、まだ20代半ば。
みずみずしい白い肌の腕やデコルテを惜しげもなく露出し、彼女の美しさを最大限に引き出している。
披露宴が始まり、2人のプロフィールムービーが流れる。新郎新婦は幸せな表情を浮かべながら、時に笑い合い鑑賞している。
そんな彼らを見た陸は、心の底から「はぁーっ」とため息をついた。
「なんだよ陸、めでたい場でしけた面して。こんな時まで、患者のことでも思い出したのか?」
からかうように言うミナトに、陸はため息の自覚がなかったのか、慌てた表情を見せた。
陸は高校を卒業したあと、一浪して、東京の私大医学部へと進んだ。
同じ医学部にいた1つ上の先輩と結婚し、今では妻の父親が経営する病院で働いている。
「違うよ。ただなんか、奥さん綺麗だし、幸せそうで良いなって」
「え、なんだよ?陸の奥さんだって、美人なうえに女医で、親は病院経営。最高だろ?」
「まあ、そうだけど…」
陸はバツの悪そうな顔をして、口を閉じた。
陸の表情を察してか、ミナトもそれ以上は何も聞かず、新郎新婦の方を見る。
そしてミナトまで「確かに、なんか初々しくていいよな…」と、独りごちた。
うっとりとする2人の隣で幸弘は、興味なさそうな顔をして、シャンパンを静かに口に含んだ。
それぞれの胸の内
披露宴が終わり、軽く一杯飲もうという話になり、3人はホテル内にある『The Bar』へと移動した。
乾杯し直した後、ミナトがウイスキーのソーダ割りを勢いよく喉へと流し込むと、薄笑いを浮かべて聞いた。
「で、2人はぶっちゃけどうなの?色々とうまくいってんの?」
「仕事?まあな」
ミナトからの質問に、幸弘が怪訝な顔をして、そっけなく答える。
正直、何か問題があっても、職業も環境も違う彼らにわざわざ打ち明けたところで仕方がない、と幸弘は思っている。
いつもこんな調子で幸弘が会話を終わらせてしまうため、話を広げるのは陸の役目だった。
「幸弘は、企業専門の弁護士だっけ?」
「あぁ。M&Aとか知財とかやってる」
「そっか、じゃあもし僕が患者から訴えられても、幸弘には頼めないかな?」
陸が冗談交じりに言うと、ミナトが「違う、そうじゃなくて」と語気を強めた。
「俺が聞いてんのは、夫婦仲!嫁さんとは、うまくいってんの?」
「なんだよミナト。結婚式見て羨ましくなったか?」
ミナトを冷たくあしらうように言う幸弘。
けれど、披露宴ですでに5杯のシャンパンやワインを飲んだミナトは、お構いなしに続ける。
「ああそうだよ、何が悪い。羨ましいさ、正直。若くて可愛らしい奥さんで、幸せそうでさ…」
「それを言うならミナトだって。奥さん、元モデルだし綺麗だろ?子どもだっているし、幸せそのものじゃないか」
陸が驚いたように言うが、ミナトはすでに酔っているのか「フン」と鼻で笑う。
ミナトは、慶應を出た後、総合商社を経て、現在は外資戦略系コンサル会社に勤めている。妻と出会ったのは、今の会社に入ってから。
忙しい合間を縫っては、同僚と食事会を開いているなかで、2人は出会った。
モデルの彼女に一目惚れしたミナトは、彼女に気に入られようと、高級レストランやホテル、ブランド物をあげるなどをして、なんとか彼女の心を掴んだのだ。
3年前には子どもも生まれ、幸弘からすれば、不満などなさそうに思われたのだが。
「結局さ、手に入ったら、価値がわかんなくなんのかな…」
寂しそうに言うミナトの言葉を、黙って聞いていた陸が、静かに口を開いた。
「あのさ、僕、実は…。ずっとしてないんだよね、その、奥さんと」
突然の告白に、ミナトが目を丸くして陸の顔を見た。
「してないって…もしかして、レスってこと?」
「そう。なんか、できなくて奥さんと…」
陸の思わぬ告白に、酔っていたミナトが続ける。
「マジで?実はさ、俺んとこも、ずっとセックスレスなんだ」
「うそ、ミナトも?良かったー、同じようなやつがいて」
2人の会話を黙って聞いて幸弘は、スーツの胸ポケットでスマホが振動するのを感じた。素早く取り出し、通話ボタンをタップする。
「わかった、今から出る」
幸弘は電話を切ると、2人に「悪い、俺、いくわ」と告げた。
「お、仕事?それとも奥さん?良いよな、結婚して2年半くらいだっけ、幸弘が一番幸せもんだな」
絡むミナトに、幸弘が涼しい顔をして答えた。
「いや、彼女。妻となんて、両手ほどもやってないから。じゃ、またな」
表情ひとつ変えずにそう残すと、幸弘は颯爽とその場を後にした。
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衝撃の発言をした幸弘の夫婦生活の実態とは…?