コロナ禍で爆売れ。「スリムウォーク」ヒット商品の裏側には開発側のリアルな生活があった!?

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取材・文:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部
撮影:中納俊/マイナビウーマン編集部

「ただいま〜。あ〜〜疲れた……」

疲れて帰ってきた後、私たちを一番……といっても過言ではないほど助けてくれるアイテム。何だと思いますか? 人によっていろいろあるかと思いますが、今回ピックアップしたいものは、そう、「着圧ソックス」です。

履くだけで脚をすっきりさせてくれる着圧ソックスの中でも、ピップ株式会社の「スリムウォーク」はやはり大定番。そんな「スリムウォーク」が近年大きな進化を遂げていることはご存知でしょうか?

コロナ禍でも販売数を大きく伸ばしている「スリムウォーク」の新商品を開発した熊川 裕美子さんにマイナビウーマン編集部が直撃。そうとうなバリキャリ女性なのかと思いきや……意外な発言が出てきました。

■「好きな物に携わりたい」という思いから物づくりの世界へ

本日はよろしくお願いいたします! 熊川さんは4年前にピップに転職されたとのことですが、前職ではどんなお仕事をされていたんですか?化粧品会社で5年ほど商品企画をしていました! そこで物づくりの面白さを経験させてもらいました。それではキャリアアップのために転職をされたのですか?実はそうじゃないんです……。結婚をすることになり、相手の勤務地との兼ね合いで大阪の企業を探すことになったんです。でも、物づくりは続けたいと思っていたので、その時に募集が出ていた中から女性の美しさを応援するスリムウォークに思い切って応募してみた……という経緯で入社しました。なるほど。前職もそうですが、元々女性の美しさをサポートすることに興味があったのですか?純粋に自分が好きなものに携わりたいなと思ってこの業界に入りました! スリムウォークも元々好きなブランドだったんです。ただ、本当に好きな物を担当できるなんて思っていなかったので、運が良かったです(笑)。

■「ズボラさ」からヒット商品が誕生

スリムウォークで担当された製品がコロナ禍でヒットしていますね! 詳しいお話を教えてください。コロナは売上の拡大に繋がった大きな要因ではあるのですが、コロナ禍に入る前の2019年秋の段階で弊社の中では反響をいただけていた商品でして、それに「ステイホーム」で後押しされたという形ですね。元々の需要に時勢が味方したんですね。今までの商品展開とはかなり違う商品だと思うのですが、どのようにして生まれたのでしょう?

スリムウォークは元々、外用のソックスから始まったブランドなのですが、私たちの世代にとっては「家用のレッグケアアイテム」というイメージが強いですよね。ここ10年くらいはそのようなアイテムが市場の大半を占めています。

ただ、このアイテムってパジャマにプラスαして着るものなんですよね。脚が重ダルい時こそ履くべき……と分かっているのに、そこまで頑張れない……という日もありませんか?

あります!(クソデカ声)ですよね(笑)。そこで使うのをやめてしまうお客様が多かったので、じゃあ一枚で済むものがあればいいじゃん! と思ったのが開発のきっかけです。私自身も、買っては使うのをやめてしまう……という経験を繰り返していました。これだったらそのまま寝てしまえるのがいいですよね。ズボラでも続けられるところがうれしいです。社内の反応はどうでしたか?既に売れていた既製品を「めんどくさいよね?」と言ってしまうことに対して、今までお客様への裏切りなのではないか……とか、メインの売り上げに響いてしまうんじゃないかとか、上層部の方々からの反応は厳しかったですね。そこをどうやって説得したのですか?周りの方々が協力してくださって、当時の上司や製品開発の方々も総出で、熱量でぶつかった形です。絶対にやりたいです、絶対いけます! ということを裏づけもしながら説得しました。熱い! 開発中、大変だったことは他にありますか?試作品のチェックですね……人に履かせても問題無いかなどをひとつひとつマネキンに履かせるんです。盛った話ではなく、一日に何百足もソックスを履かせるんですよ。そうしていくと指紋が無くなりそうになるんですよね……。指紋が無くなる!? 恐ろしすぎる……。でも、それだけ真剣に物づくりをしているということですよね。

■休みの日は全力で休む

開発に関する熱い話を伺えましたが、熊川さんは現在、テレワークがメインなんですよね。私生活との切り分けが難しいと思うのですが、どのように過ごされていますか?

私は切り分けが苦手な方ですね……夫が帰ってくるギリギリまで仕事して、急いでご飯を作っています。その分、土日は全力で休んでいます。仕事の携帯は見もしないです。

私、昔から仕事の時以外は仕事のことを考えないようにしているんですよ。

意外! とても熱いお話がたくさん出てきたのでいわゆる仕事人間なのかと思っていました。前職では担当商品が生活の中に入ってくることが多かったのですが、今はわりとそうでもないので、完全に忘れて休んでいます。その方が消費者のリアルな感覚が掴みやすいですし。あ、もちろん着圧は普段から履いていますよ!

■将来的に楽をするために頑張りたい

転職でお仕事の幅が広がった熊川さんですが、「今後、こういう仕事をしたい!」「こうなりたい!」というビジョンはありますか?

今まではモノとしてアウトプットされるものに携わってきたのですが、最近は自分がお金を払いたいと思うものの価値って、「モノ」に限らないなと思っていまして。

サービスなどで人を喜ばせるための知識が今は全く無いのですが、今後はもっとそこが必要になりそうと思っています。始めはECやWEBマーケティングの知識から身につけたいですね。老後も生きていけるように……ずっと働き続けるんだろうなあとは思っています。

本当にお仕事が好きなんですね!好きではないんです(食い気味に)!え!? ここにきてそれですか!??本当は専業主婦になりたいと思って20代は生きてきたんですよ。仕事に対して熱意があふれていますし、そうは見えませんが……。

本当にお金があったら猫みたいな生活をしたいです。でも、好きなものを買ったり好きな事をしたりしたいってなったら働かない選択肢って無いじゃないですか。

「お金は無いけどゴロゴロできる生活」か「働かなきゃいけないけど好きな事はできる生活」かの二択だったら「じゃあ、働くか!」って感じです。

リアル(笑)。働くことがものすごく好き! って感覚ではないですが、毎日8時間も働くんだから、自然と熱も入るし、少しでも楽しく頑張りたいなって思っています。あ、安心しました。この記事がどうなってしまうのかと思いました。とても真面目な性格なんですね。熊川さんのように思って働いている人は多そうです。宝くじが当たらない限りは生きているために真面目に頑張っていくと思います(笑)。いずれはフリーランスでも働けるように、楽するために頑張って知識をつけていきたいです!ピップさん的には熊川さんに宝くじが当たらないことを祈りつつ……すてきなお話をありがとうございました!