500人以上の女性の仕事と恋を幸せに導いてきたキャリアコンサルタント・小川健次が、堅実女子の皆さんの人生を上方修正する、ちょっとしたコツをお教えする連載です。

今回のテーマは働く女性の多くが抱える「キレる」または「キレそうになる」問題。感情的になる自分をおさえるのではなく、コントロールする方法を紹介します。

ノリがいい場所が苦手という共通点で急接近

国内メガバンク系証券会社で働く真帆さん(仮名・29歳)は、2年交際している恋人の伸一さん(仮名・31歳)に振られそうになっています。

大手の有名広告代理店の営業部門で働く伸一さんとの出会いは、友人が熱心に誘ってくれて出席した合コンでした。出席した男性らは、皆同じ広告代理店に勤務している仲間で、広告マンらしく軽くてノリの良いメンバーです。

友人の誘いで出席はしたものの、元々大勢の人のいる場が苦手な真帆さんは、彼らのノリについていけません。とはいえ、場の空気を壊すわけにもいかず、とにかくその場の雰囲気に自分を合わせることに必死でした。

会も終盤に差し掛かった頃、トイレに立った真帆さんは、席に戻る途中、伸一さんと一緒になりました。何気ない会話を交わしていると、ふと伸一さんが真帆さんの顔を見て「無理をさせてしまっているようですいません」と言ったのです。

自分が無理をして、場の雰囲気に合わせようとしていることを、この人に見抜かれている。そう気づいて焦った真帆さんでしたが、何とか取り繕うと、無理していない旨を答えました。

それなら良かった。そう言いながら、自嘲気味に伸一さんは言葉を続けました。

「実は僕がこういう場が苦手で、今日は彼らに合わせているんです。真帆さんも僕と似た空気を醸し出していたので、ひょっとして無理させてないか心配だったので」

それを聞いた真帆さんは、途端に伸一さんを近くに感じるようになりました。それは、自分と価値観が近い人がいただけでなく、それを理解してくれている人がいるという、安心感のような感覚です。

それから数日後、伸一さんからのLINEが届きました。あの合コンの日、解散する際に、真帆さんは複数の男性と連絡先を交換。彼らから即日メッセージが来たものの、すべて無視していたのです。

誘われるまま会ってみることに…

迷惑になることを恐れ、相手からの連絡を待つ

伸一さんのことは気になっていましたが、自分からLINEはできません。相手の迷惑にならないか、怖かったそうです。だから伸一さんからLINEが来た時は嬉しかったと、出会った当初を振り返ります。

「2人で一度会って、伸一さんのことをもっとよく知ってみたいと思い、誘われるまま会ってみることにしました」

始めての二人の食事では、先日の合コンのときの空気とは打って変わって、とても落ち着いた会話を二人で楽しむことができました。

真帆さんは、「あのとき、本当は無理をしていたこと。それを伸一さんに気付いてもらえたことが、実は嬉しかった」と語ります。伸一さんは笑いながら、「そうだと思ってた、自分も真帆さんが同じタイプの人だと気づいて嬉しかった」と話してくれたのです。

お互いに言葉数の多いタイプではないこともあって、会話が途切れてお互いに無言になることもしばしばでした。それでも、お互いがそういうタイプだとわかったこともあって、むしろその無言の時間が心地良く、真帆さんの心は伸一さんに惹かれていきます。

それから数度に渡ってデートを重ねた二人は、やがて正式な交際関係へと発展しました。しかし、交際がはじまってから半年が過ぎると、二人の間にはいさかいや行き違いが頻発するようになったのです。

仕事が忙しいという伸一さんに気遣い、真帆さんが連絡を控えていたら、実は伸一さんはヒマで別の友達と遊びに行っていた、なんてことが頻繁に起こるようになったのです。そのたびに、「なんで連絡をくれないの?」と真帆さんは思ってしまうのです。

「察することができない相手」に怒りが制御できなくなってしまう。

【いきなりキレてしまう原因はなんなのか…後編に続きます】

■プロフィール

恋愛・キャリアの賢人 小川健次

恋愛カウンセラー/営業・マーケティングコンサルタントとして、年間約500名の女性をカウンセリング。恋愛とキャリアの両立のためのアドバイスが支持される。同時に、中小企業を対象とした営業、マーケティングのコンサルティングを行なう。 株式会社リエゾンジャパン代表取締役、社団法人感覚刺激と脳研究協会理事ほか、多岐にわたる活動をしている。
Blog : https://ogawakenji.com/