年上だけどキャリアは下、という方の扱いが一番めんどくさいのよね……。

ビジネス女子マナーの基本ともいえる「オフィスでの敬語の使い方」。働く堅実女子のみなさんは当然、「社内の上司や先輩、社外の方やお客様には敬語」、「社外の方に自社の社員の話をするときには敬称や敬語を用いない」など、ベーシックなマナーは抑えていると思います。

でも、仕事の場では、年齢は上、立場は下という方とのコミュニケーションも発生します。この場合、「どう対応していいかわからなくなる……」という堅実女子も。本日の相談者・金融関連会社にお勤めの佐藤あかねさん(仮名・34歳)も、こんなお悩みが。

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「この春から月末月初の繁忙期だけデータ入力業務を請け負う派遣社員の方々をまとめる担当部署に配属になりました。メンバーは毎月ほぼ一緒。15年選手という40代の方が何人もいらっしゃって、すでにベテラン。チームリーダーの私は、上司という立場にはなりますが、みなさん、私よりよっぽどその業務についての知識があるんです。とはいえ、なめられるのは困ります。どのように関係をつくっていっていいのかわかりません」

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鈴木先生にビジネスマナーの視点から答えていただきます。

ビジネスの場では、相手の年齢や立場で区別せず、丁寧語が基本

敬語文化が根強い日本の社会では、言葉使いを丁寧にすることで相手に敬意を表すことを大切にしています。ビジネスの現場でも同じです。また、敬意を払われていると感じることは、その相手に好感を持つきっかけにも。相手のために役にたってあげようという気持ちの喚起にも役立ちます。「なめられたら困る」という気持ちはわかりますが、高圧的な態度で接すれば、チームワークが乱れる要因になりかねません。年齢や立場で区別せず、仕事をする「仲間」に敬意を払うという気持ちの表現として、相手には丁寧語を使いましょう。

社内で「〜ございます」は使わない

丁寧語の基本は語尾の「です」「ます」です。加えて、お金、お名前、ご確認など、「お(ご)+名詞」という言い方。「〜でございます」という言い方も丁寧語に入りますが、社内の人とのやりとりに使うのは少し大仰でしょう。たとえば、「資料でございます」は丁寧語ですが、一緒に仕事をする相手なら、「資料です」で十分。
会話の場面では、杓子定規に丁寧語を使うと堅苦しすぎてむしろ違和感を感じるものです。多少のフランクさは人間関係を円滑にします。「〜ございます」は省いてOKです。

お礼の言葉は丁寧度「高」を使う

ただし、感謝を伝える「お礼の言葉」は、どんなに親しい関係であっても丁寧度の高い言葉を使うのがビジネスマナーです。「ありがとう」「サンキュー」より「ありがとうございます」です。
メールなどの文面にする場合は「誠にありがとうございます」が丁寧度「最高」のお礼の言葉となりますが、会話の中ではやりすぎ。「ありがとうございます」「とても助かりました」がよいでしょう。とくに、「助かりました」は有効です。相手の功績を労う気持ちが加わり、言われた本人のモチベーションアップにもつながります。

「悪いけど」「ご苦労様」はNG

また、人にものを頼むときに「悪いけど〜をやってくれない?」と枕に「悪いけど」をつけるのが口癖になっている人を見かけますが、これはあまりマナーとして美しくありません。本人は恐縮しているつもりなのかもしれませんが、「悪いと思ってるなら頼まないで(悪いなんて思ってないくせに)」と反発心を芽生えさせる要因になることが。また、「ご苦労様」は目上の人が目下の人を労うときに言葉です。生意気な印象を与えてしまうので、使わないことと決めてしまったほうがよいでしょう。



■賢人のまとめ
チーム内では丁寧語を基本に。年齢や立場で区別しないことで、あなたの立ち位置が決まり、好感度アップにつながるというメリットもあります。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『もう必要以上に仕事しない!時短シンプル仕事術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部に迫るヒットとなる。 

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