強制わいせつ罪である痴漢が、なぜ電車内で当たり前のように発生し、未だ撲滅することができないのか。田房永子氏と小川たまか氏が6回わたり徹底討論を交わした連載「お前らいつまで痴漢し続けるつもりだ問題」は大反響の中、先日最終回を迎えました。

これに伴い、ウートピ世論アンケート「過去に電車内で痴漢にあったことがある?」では、1,500を超える多くの回答が集まりました。今まで声を上げることができず、悔しい思いをしてきた女性たちの本音をお届けします。

【アンケート】過去に電車内で痴漢にあったことがある?

※サンプル数:1,503人(10月22日現在)
※ウートピ世論調査結果より(投票結果はコチラ

<アンケート結果>
「ある」・・・・・66%
「ない」・・・・・34%

あると回答した人は66%も「昔は犯罪扱いすらされていなかった」

※回答はわかりやすいよう一部表記を変更しています/すべてのコメントはウートピ世論をチェック

電車内痴漢について「被害経験あり」としたのは66%にも及び、その発生率は非常に高いものであることが明らかになりました。

・昔は犯罪扱いされていなかったので、山手線の短大通学時はほとんど毎日でした
・電車の中は当たり前にあったけど駅のホームや、ショッピングモールとかでもあった。その度に怖くて震えが止まらなくなる
・ふざけるなーって言ってやりたいけど、その時は恐怖で声も出ない
・電車内に限らず、本屋や昼間の道路などでも痴漢にあった。最初に被害にあったのが小学生の頃で、それからずっと今でも性的な事に嫌悪感がつきまとう。毎日の電車通勤は気を張り詰めている

痴漢被害にあった女性や子どもは、人としての尊厳、普通に生活する権利を奪われ、恐怖や怒り、嫌悪でいっぱいの日々を過ごしています。

大人しい子どもや学生を狙う卑劣さ

・中学・高校の頃、毎日の様に痴漢に遭っていた時期があった。毎日毎日嫌で嫌で、学校に着くとトイレで泣いて… 一時期学校に行くのが嫌になった
・セーラー服の脇ファスナー開けられてたり、スカートにザーメンかけられてたり。ショックだった
・満員電車でも、空いている電車でも、JRでも私鉄でもあります。次が自分の子供の番かと思うと耐えられない
・痴漢は駅のホームで相手を物色してるパターンもありますよね。やばそうな人物は避けるようにしていましたが、それでも痴漢にはあいました。
・男だけど、中学のとき地下鉄でやたら痴漢されたな。相手は、大人の男。男が痴漢されるって、誰にもいえなかったわ。家帰って親の顔見るんが、なんか辛かった記憶があります
・全部「ちかん」で軽く済ませすぎ。親の立場になって、自分の子供が強姦や精液つけられたとか言われたら犯人殺すって思う。仕方ない、なんて絶対言わない

これだけ多くの人が被害にあっているのに、まるでなかったように見過ごされてきたことが信じられません。

ないと回答した人も被害を見聞きしている

一方、ないと回答した人も、「痴漢は日常的にある」と感じているようです。

・周りの女友達で痴漢にあったことない人聞いたことないかもしれない。痴漢の刑罰もっと重くすべき
・田舎の電車なので痴漢被害には会いませんでした。しかし、同じ路線利用してた友人は、他人の目線も気にしないような男性から嫌がらせをされたことがあると話していたため、田舎=安全とは言えませんが…。また、その路線以外に利用する公共交通機関がないため、嫌でもその路線を利用するしかありません。朝早いので、一緒に行く友人もいなかったそうです

この他、電車内ではないものの、駅の階段や別の場所で痴漢にあったことがあるという声も、複数寄せられました。

周囲の無知、無理解が被害者を二重に傷つけている

被害者の中には「派手な服装をしているから」「性的魅力があるから」「痴漢は男にとって気晴らし」など、心ない言葉を浴びせられたという人もいました。

・高校時代、生徒指導の男性教諭から「だらしない服装や短いスカートの生徒は痴漢に遭うぞ」と指導されていましたが、実際は校則を破るような派手な子ではなく地味で自分に自信のない大人しそうな少女達が狙われることくらい、女子生徒なら誰でも知っていました。今思い返すと男性教諭の発言はとんでもないセクハラだし、正犯罪被害者の気持ちを侮辱する酷い行為だと思います。
・高校生の頃、通学電車で毎日痴漢に遭っていました。父に相談したら、そういう気晴らしもないとな。といわれました。以来、誰にも言わなかった。男はみんな信じられないと思い込んでいました

「○○だから痴漢にあう」と被害者側に理由を求める考え方がそもそもおかしく、痴漢を「仕方ないこと」として片づけやすくしてしまっているのかもしれません。「電車内の痴漢なんて別に珍しいものでもない」「我慢するのが普通」と軽く扱ってきた問題意識の低さや、社会の無関心が、痴漢という犯罪を助長させてきたのではないでしょうか。

(内野チエ)